札幌の収益物件に興味はあるものの、「人口減少が不安」「雪国特有の修繕費が読めない」と迷っていませんか。実は札幌は全国屈指の賃貸需要を維持しており、適切なエリアと物件を選べば安定したキャッシュフローを期待できます。本記事では最新の市場データを交えつつ、初心者でも失敗しにくい戦略をわかりやすく解説します。読み終えるころには、札幌での投資判断に必要な視点をひと通り整理できるはずです。
札幌市場が収益物件に向く理由

まず押さえておきたいのは、札幌が人口196万人を抱える日本第5の都市でありながら、ワンルーム平均家賃が東京23区の6割程度にとどまる点です。国土交通省の家賃指数(2025年8月)によると、札幌市の指数は127で全国平均より約15ポイント高く、家賃水準は緩やかに上昇しています。また、総務省の住民基本台帳人口移動報告では、札幌市の転入超過は2024年に続き2025年上半期も7,300人を記録しました。つまり賃貸需要は依然として底堅いのです。
一方で地価は政令指定都市の中でもまだ伸びしろがあります。北海道地価調査(2025年9月)は中央区の住宅地を前年比+5.2%と示しましたが、豊平区や手稲区は+1%台にとどまりました。価格と需要のギャップが大きい地域が散在しているため、投資家は比較的安価に仕入れ、安定賃料を確保しやすい状況が続いています。
さらに、地下鉄南北線・東西線・東豊線の沿線に大学や専門学校が集中しており、若年単身層の一定流入が見込めます。雪による生活コスト増を懸念する声もありますが、札幌市の除雪費用は市税でまかなわれるため、入居者負担は限定的です。こうした都市構造が、空室率を全国主要都市平均より約1ポイント低く保っている大きな理由となっています。
エリア別利回りの現状

ポイントは、同じ札幌でも区によって利回りが大きく異なることです。2025年7月時点の主要区分マンション実質利回り(仲介大手4社平均)は次のとおりでした。
- 中央区 4.1%
- 北区 4.8%
- 豊平区 5.2%
- 白石区 5.6%
- 手稲区 6.0%
中央区はオフィス需要と観光需要が重なるため家賃が高く空室リスクが低い反面、取得価格も上昇しています。利回りを重視するなら、地下鉄駅から徒歩10分圏内の白石区や利便施設が増えつつある手稲区が候補になります。ただし手稲区は豪雪地帯でもあるため、屋根や外壁の融雪対策に年間+3〜4万円の維持費を見込むべきでしょう。
一方で北区は北海道大学をはじめとするキャンパスが集積しており、春の入退去の波が読みにくいのが特徴です。入居募集の時期を早め、ネット無料設備を整えるなど学生向け施策を徹底すれば、表面利回り以上にキャッシュフローを伸ばせる可能性があります。
物件種別と投資戦略の組み合わせ
実は札幌では、築20年以上の鉄筋コンクリート造区分マンションが収益物件として人気です。建物自体の断熱性能が高く、冬季の暖房コスト差で築浅物件と競争できるからです。家賃は築年数より室内リフォームの質に影響されやすく、浴室乾燥機やWi-Fi対応といった設備投資が収益を底上げします。
一方、木造アパートは取得価格が抑えられるものの、除雪や屋根の雪下ろし体制をオーナーが組織する必要があります。外注費を含めた実質利回りが想定より下がる例が多いので、月額管理料に除雪サービスが組まれた管理会社を選ぶことが重要です。
戸建て賃貸も選択肢として浮上しますが、札幌の家族世帯は郊外で持ち家志向が強く、賃貸ニーズは限定的です。よって初心者がキャッシュフロー重視で始めるなら、単身者向け区分マンションに絞り、余裕資金で木造アパートを追加する段階的戦略が現実的と言えます。
融資と税制を味方にするコツ
基本的に地元金融機関はエリアを熟知しており、札幌市内物件には積極的です。北海道信用金庫のアパートローン(2025年10月改訂)は最大融資期間35年、金利年1.9%〜2.4%の固定型を提示しており、都市銀行より柔軟な評価が期待できます。また、物件評価額の80%までフルローンが可能なケースもあるため、自己資金の温存がしやすい点が魅力です。
税制面では不動産所得を青色申告にすると、2025年度も最大65万円の特別控除を利用できます。さらに減価償却費を適切に計上すれば、キャッシュを残しながら課税所得を抑えられます。ただし木造は耐用年数22年、RC造は47年と法定年数が異なるため、長期保有を前提とするならRC造の節税メリットが後年まで持続することを覚えておきましょう。
融資審査で評価されるのは、空室期間と修繕費を保守的に見積もった収支表です。家賃下落率1%/年、空室率10%を織り込み、金利上昇2%のストレスをかけても手残りが出る計画を提示すると、金融機関の信頼を得やすくなります。
2025年度に活用できる支援策
重要なのは、国や自治体の支援を適切に利用しながら投資効率を高めることです。環境省の「賃貸住宅ZEH化支援事業」(2025年度)は、外皮性能を一定基準まで高めた賃貸物件に対し、1戸あたり最大55万円を補助します。新築アパートを計画する場合、断熱材を強化しても実質コスト増を抑えられるため、長期的な空室対策としても有効です。
また札幌市は2025年度も「札幌市スマート断熱改修補助金」を継続しており、既存マンションの共用部断熱工事に対して工事費の3分の1(上限150万円)を支給しています。区分所有者全体の合意が前提となりますが、実現すれば暖房費を平均10%前後削減できるため、入居者満足度向上につながります。
さらに、国土交通省のIT重説社会実験が本格適用されたことで、オンライン内見と電子契約が広がりました。遠方在住者の契約率が高まり、繁忙期以外のリーシングがスムーズになるため、空室期間短縮という副次的なメリットも期待できます。
まとめ
札幌で収益物件を選ぶ際は、人口動態と家賃水準のギャップに注目し、エリア別の実質利回りを比較することが第一歩です。次に、雪国特有の維持費を踏まえて物件種別を選択し、地元金融機関の融資条件と青色申告による節税を組み合わせましょう。さらに2025年度のエネルギー関連補助金を活用すれば、長期的な空室対策とコスト削減を同時に実現できます。この記事を参考に、自分の資金計画とリスク許容度に合った札幌投資プランを具体化し、安定したキャッシュフローを手に入れてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 土地総合情報システム – https://www.mlit.go.jp/
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 2025年上半期 – https://www.soumu.go.jp/
- 北海道地価調査 2025 – https://www.pref.hokkaido.lg.jp/
- 環境省 賃貸住宅ZEH化支援事業 2025年度概要 – https://www.env.go.jp/
- 札幌市 スマート断熱改修補助金 2025年度 – https://www.city.sapporo.jp/