不動産投資を始めたいけれど、何を基準に物件を選び、税金を抑えつつ収益を確保すればよいのか分からない。そう感じている方は少なくありません。本記事では、投資歴15年以上の視点から、収益物件の効率的な探し方と2025年度時点で実際に使える節税策を体系的に解説します。読み終えたときには「収益物件 探し方 節税対策 できる」と自信を持って言えるはずです。
投資目的を明確にしてから探し始める

まず押さえておきたいのは、投資目的を言語化することです。キャッシュフローを重視するのか、資産価値の上昇を狙うのかで選ぶエリアも物件タイプも大きく変わります。たとえば毎月の黒字額を優先するなら、築浅のワンルームより築年数が進んだファミリー向けの方が利回りは高くなりやすい。
一方で資産形成を目的にする場合、都市再開発が進む駅近の区分マンションなど、流動性の高い物件が有利です。国土交通省の「不動産取引価格情報」によると、都心三区の中古マンションは2020年比で2025年に平均12%上昇しています。つまり出口戦略を重視する投資家には魅力的な土壌が整っていると言えます。
重要なのは、期待利回りと将来の売却価額を同時にシミュレーションすることです。自己資金の割合、想定空室率、金利上昇リスクなどを含めた試算を作ることで、現実的な物件条件が自然と浮かび上がります。目的が定まれば、次にどのように物件を探すかが見えてきます。
オンライン検索と現地調査を組み合わせた探し方

ポイントは情報の粒度を変えながら二段階で探すことです。最初にポータルサイトで年間想定利回りや築年数でスクリーニングし、おおまかな市場感を把握します。日本銀行の住宅ローン金利統計を併せて確認すると、金利と利回りの関係を立体的に見られます。
次の段階では、候補物件がある地域の人口動態と賃貸需要を精査します。総務省の住民基本台帳人口移動報告では、2024年度に都心部から郊外への転出超過が縮小傾向にあり、都心部需要の底堅さが示されています。この統計を現地の賃貸仲介店で得た空室率と重ね合わせれば、机上の数字だけでは分からない肌感覚が得られるでしょう。
実は最後の決め手になるのは、現地で感じる生活動線や管理状態です。ゴミ置き場の清潔さ、昼夜の騒音、周辺の再開発計画など、モニター越しでは把握できない要素が長期収益に直結します。複数物件を同日に回ることで比較眼が養われ、割高・割安の判断もスムーズになります。
購入スキームで節税効果を最大化する
重要なのは取得時点から節税設計を組み込むことです。個人名義で全額借り入れるだけが選択肢ではなく、合同会社(LLC)を活用すれば損益通算や事業的規模要件を満たしやすくなります。とくに青色申告特別控除65万円は2025年度も継続しており、帳簿付けさえ適正なら確実に税負担を軽減できます。
さらに、家族を従業員として専従者給与を支払う方法もあります。実質的な手取りを家庭内に留めながら、所得分散によって税率を下げる仕組みです。国税庁のモデルケースでは、年収800万円を夫婦で分散すると最大約40万円の節税効果があると示されています。
ただし節税を優先しすぎると、金融機関の融資姿勢がシビアになる点に注意が必要です。自己資本比率が低い合同会社では融資枠が限定される場合もあるため、個人と法人のどちらで所有するかは、中長期のポートフォリオを見据えて決めましょう。
2025年度に活用できる減価償却と優遇制度
まず押さえておきたいのは、減価償却の計算で大きく税額が変わる点です。木造アパートの耐用年数は22年ですが、築20年超を取得した場合、残存耐用年数4年で加速償却が可能です。これにより取得後4年間はキャッシュフローを大幅に改善できます。
一方で、2025年度も継続する「住宅エコリフォーム減税」は、間取り変更や省エネ設備導入にかかる費用の10%(上限25万円)が所得税から控除されます。築古物件を購入し、この制度を適用しつつ家賃アップを図る戦略は、収益力と資産価値を同時に高める手法として有効です。
また、固定資産税の新築住宅軽減措置は2025年度末入居分まで延長が決定しています。新築区分マンションを検討する場合、最初の3年間は税額が半減されるため、初期キャッシュフローが安定します。期限がある制度はスケジュール管理が不可欠なので、契約から建物完成までのタイムラインを綿密に確認しましょう。
安定運用を実現する管理と出口戦略
ポイントは、購入後の運用フェーズで収益をブレさせないことです。管理会社を選ぶ際は管理報酬率だけでなく、修繕提案の質や入居付けスピードを比較するべきです。国土交通省の賃貸住宅市場調査によると、管理委託物件の平均空室期間は35日ですが、優良管理会社では20日台前半に短縮されています。
さらに、予防保全型の修繕計画を立てることで突発コストを平準化できます。屋上防水や給水管交換など高額修繕は前倒し実施の方が長期的に割安になるケースが多いです。実際、内閣府の住宅メンテナンス調査では、築30年時点での累計修繕費が予防保全派の方が約15%低く抑えられるという結果が示されています。
出口戦略としては、市況が好調なタイミングで一棟売却するだけでなく、区分ごとに分割して売る方法もあります。複数年に分けて譲渡益を分散させれば、累進課税による税負担を低減できるため、節税と資本回収を同時に達成できます。
まとめ
ここまで、投資目的の設定から物件探索、購入スキーム、制度活用、運用管理まで一連の流れを解説しました。目的を明確にし、オンライン検索と現地調査を組み合わせれば高利回り物件を見極められます。さらに、青色申告や減価償却といった制度を賢く使えば税金を抑えつつキャッシュフローを向上させることが可能です。今日紹介したステップを実践すれば、初心者でも収益物件を探し当て、節税対策を講じながら安定経営を続けられるでしょう。
参考文献・出典
- 国土交通省 土地総合情報システム – https://www.land.mlit.go.jp/
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.soumu.go.jp/
- 日本銀行 住宅ローン金利統計 – https://www.boj.or.jp/
- 国税庁 タックスアンサー – https://www.nta.go.jp/
- 内閣府 住宅メンテナンス調査報告 – https://www.cao.go.jp/