不動産の税金

2025年に狙う「投資物件 東京」の選び方と実務ガイド

東京での物件購入を検討するあなたは、「価格が高すぎて利回りが合わないのでは」と不安かもしれません。しかし実際には、エリア選定と資金計画を工夫すれば、都心でも安定したキャッシュフローを得ることは可能です。本記事では、2025年10月時点の最新データをもとに、東京市場の現況、立地判断のコツ、融資や税制のポイントまでを整理します。読み終えたとき、あなたは具体的な行動ステップと判断基準を手にしているはずです。

東京の投資市場は今どう動いているか

東京の投資市場は今どう動いているかのイメージ

まず押さえておきたいのは、東京全体の賃貸需要が依然として底堅い点です。国交省の住宅着工統計によると、23区の単身向け賃貸住宅は2024年度比で2%増にとどまる一方、外国人就労者とリモートワーカーの流入が続き、空室率は5%台で推移しています。この安定需要が、家賃下落リスクを緩和する大きな要素です。

一方で価格は緩やかな上昇を続けています。東京都の不動産取引価格情報では、2025年上期の中古区分マンション中央値が前年同期比3.1%上昇しました。ただし、城東エリアや多摩地域など、上昇率が1%未満にとどまる区もあり、全域が一様ではありません。つまり、市場全体は堅調でも、エリアごとに温度差があるわけです。

重要なのは、インフレと金利のバランスです。日銀が2024年末に実施したマイナス金利解除後も、長期固定金利は1.4%前後に抑えられています。そのため、家賃上昇期待よりも低金利メリットが大きく、レバレッジ効果を活かしやすい状況が続いています。これらの要素が、東京の投資物件を選ぶうえでの前提条件となります。

成功する立地選びは「駅距離」より「沿線価値」

成功する立地選びは「駅距離」より「沿線価値」のイメージ

ポイントは、従来の「駅徒歩◯分」だけでなく、沿線の将来価値まで読み解くことです。具体的には、再開発計画と人口動態を掛け合わせて判断します。東京都の都市計画情報によれば、JR山手線内側や品川〜田町エリアは大型オフィスが完成し、昼間人口の増加が見込まれます。こうした地域は空室期間が短く、長期保有に有利です。

一方、家賃と購入価格のバランスを重視するなら、城北・城東エリアを検討すべきです。足立区の綾瀬駅周辺は、千代田線直通で都心アクセスが良好にもかかわらず、㎡単価が山手線内側の6割程度にとどまります。さらに、豊洲や有明など湾岸部は共働きファミリーの流入が続き、3LDKタイプの成約期間が平均一か月未満というデータもあります。

沿線価値を測るうえで、鉄道会社の長期投資計画は外せません。例えば東急電鉄は2025年度までに田園都市線のホーム延伸工事を終え、混雑緩和と増発を行う予定です。乗換時間の短縮が実現すれば、二子玉川や溝の口周辺の賃料が上昇する可能性があります。つまり、交通インフラの改善余地が大きい沿線は、将来的な資産価値の底上げが期待できるのです。

資金計画と融資環境の最新事情

実は、自己資金の比率が物件選定を大きく左右します。都市銀行は2025年現在、東京都内の投資用区分マンションに対し、属性が安定していればフルローンに近い90%融資を提示しています。ただし金利は変動1.0%前後に設定されるため、返済負担率を抑えるには自己資金2割を目標にしたいところです。

さらに、フラット35投資用の登場が注目されています。住宅金融支援機構は2025年度から、一定の省エネ基準を満たす賃貸併用住宅に対し、固定1.5%台の長期融資を提供しています。これを活用すれば、金利上昇リスクを抑えつつ長期安定収支を確保できます。また、地銀や信用金庫は、築古RC物件に対し2.5%前後の金利で融資を行い、返済期間を最長35年に設定するケースが増えています。

下記に代表的な金利水準を整理します。

  • 都市銀行変動:年1.0%前後
  • 地銀固定10年:年1.8〜2.0%
  • 信金長期固定:年2.3〜2.5%

このように金利差が大きいため、シミュレーションでは少なくとも3金融機関を比較すると良いでしょう。言い換えると、金利0.5%の差が30年総返済額で数百万円に及ぶことも珍しくないのです。

リスク管理と出口戦略をどう設計するか

まず押さえておきたいのは、長期保有と売却の両面でリスクを把握することです。空室リスクに備えるには、家賃下落率3%、空室率10%といった悲観シナリオを毎年のキャッシュフロー表に組み込むべきです。東京都住宅政策本部のデータでは、2024年度の平均空室期間は約40日で、敷金礼金を調整すれば60日以内の成約が80%を占めています。この統計を前提に、90日を超える場合でも資金繰りが持つか確認すると安心です。

一方で設備故障や大規模修繕も見逃せません。築20年を超えるRCマンションでは、外壁補修と配管更新で平均250万円規模の費用が発生します。現金準備を難しいと感じるなら、2025年度も継続する「中小企業経営強化税制」の即時償却を利用し、修繕に充てる資金の節税効果を狙う方法があります。

出口戦略としては、築15年までに一度売却益を確定させるか、築30年超で土地値に近づいた段階で更地売却を検討する二極化が王道です。レインズの成約データによれば、築15年以内の区分マンションは購入時価格の95%前後で転売されています。また、2025年の相続税評価改定以降も、土地値は相続対策ニーズで下支えされる見通しです。これらを踏まえ、周辺の成約価格と残債のバランスを定期的に確認することが肝要です。

2025年度に使える税制と優遇措置

重要なのは、現行制度の中で確実に使えるものだけを押さえることです。まず、所得税の損益通算は2025年度も存続しており、減価償却費や金利を給与所得と相殺できます。ただし不動産所得が赤字続きの場合、税務調査で事業性を問われるケースが増えているため、適正な家賃設定と収支計画を提示できるようにしましょう。

次に、住宅性能向上計画認定(旧・長期優良住宅)の新築賃貸物件は、固定資産税が5年間半額になる措置が継続しています。東京都では、認定手数料を一部助成する区もあり、墨田区や品川区では申請費用の半額が補助されます。期限はいずれも2026年3月末引き渡し分までなので、今から着工する計画でギリギリ間に合うかどうかが分岐点です。

また、カーボンニュートラル化を促進するため、2030年まで続くグリーン投資減税が中小法人向けに拡充されました。太陽光発電を設置した賃貸アパートは、即時償却または10%税額控除の選択が可能です。区分所有でも共用部への導入なら対象になるため、管理組合で議題に挙げる価値があります。つまり、環境対応を絡めることで、中長期の収益と節税を同時に実現できるわけです。

まとめ

東京の投資物件は価格が高いものの、人口集中と低金利が続く現在は、安定収益を得やすいフェーズにあります。市場動向を踏まえたエリア選び、省エネ認定や税制優遇の活用、そして悲観シナリオを組み込んだ資金計画が成功の鍵になります。最後に、購入前の数値シミュレーションと複数金融機関の比較を徹底し、自分のリスク許容度に合った投資戦略を採用してください。行動すれば、東京という巨大市場の持つ安定力をあなたのキャッシュフローに変えられるはずです。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅着工統計 – https://www.mlit.go.jp/statistics/
  • 東京都 不動産取引価格情報 – https://www.reinzkanto.org/
  • 東京都都市計画情報サービス – https://www.toshikei.metro.tokyo.lg.jp/
  • 住宅金融支援機構 フラット35商品概要 – https://www.flat35.com/
  • 国税庁 タックスアンサー 不動産所得 – https://www.nta.go.jp/taxes/answer/

関連記事

TOP