不動産の税金

店舗と土地の活用で差をつける!REITと税金まで分かる不動産投資ガイド

地方の空き店舗をどう活かすか、土地を持て余しているが売却か賃貸か迷う、そんな悩みは珍しくありません。さらに、REIT(リート)という言葉は聞くものの仕組みが分からず手を出せない、税金も複雑そうで不安――多くの初心者が抱える疑問です。本記事では「店舗」「土地」「REIT」「税金」という四つのキーワードを軸に、実物資産と金融商品を組み合わせた最新の投資戦略を丁寧に解説します。読み終える頃には、自分に合った手法を選び、2025年度の税制に沿って賢く行動するイメージがつかめるはずです。

店舗投資と土地活用の基本を押さえる

店舗投資と土地活用の基本を押さえるのイメージ

重要なのは、店舗物件特有の収益構造と土地の潜在価値を同時に見る視点です。まず、店舗は賃料に売上連動型を採用しやすい特徴があります。一方で土地は更地のままでも固定資産税が発生するため、収益化せずに放置するとキャッシュアウトが続きます。

店舗物件を選ぶ際は商圏人口と周辺の競合状況が鍵になります。経済産業省の商業統計(2024年確報)によると、半径500メートルの人口が5千人を下回るエリアでは小売店舗の廃業率が平均の1.4倍に上昇しました。つまり、郊外立地であってもファンを獲得できる業態か、複数テナントを想定した造りが不可欠です。

土地については路線価と実勢価格の差を確認し、長期保有か売却かを決めます。路線価が実勢価格の8割を切っている場合、相続税評価が有利になるため保有戦略が働きやすくなります。また都市計画法の用途地域を調べ、店舗兼住宅やコインパーキングなど複合的な活用余地を検討すると選択肢が広がります。

REITで広がる分散投資の選択肢

REITで広がる分散投資の選択肢のイメージ

まず押さえておきたいのは、REITが少額で複数の物件に分散投資できる金融商品だという点です。投資家は証券取引所に上場する投資口を買うだけで、プロが運用する商業施設や物流倉庫に間接的に参画できます。

東京証券取引所のデータでは、2025年9月時点で国内REITの平均分配利回りは3.6%でした。店舗に特化したJ-REIT銘柄は依然としてコロナ禍前の水準に戻りきっておらず、割安感が指摘されています。ただし、商業系REITは空室リスクが景気変動に連動しやすい特徴があります。言い換えると、住宅系や物流系と組み合わせることでポートフォリオの安定性を高められるわけです。

REIT投資で意外と見落とされるのが内部留保の水準です。内部留保比率10%を超える銘柄は修繕費が増えても分配金を維持しやすい傾向があります。また、2025年度から適用される「投資法人の情報開示ガイドライン改訂」により、環境認証の取得状況が詳細に公表されるようになりました。ESG評価が高い銘柄は長期資金の流入が強まり、価格変動がマイルドになる点も覚えておきましょう。

2025年度の税金ルールを理解する

ポイントは、店舗と土地を直接所有する場合とREITに投資する場合で課税体系が異なることです。店舗・土地の賃料収入は総合課税の不動産所得に分類され、累進課税で最高45%の所得税率が適用される可能性があります。対してREITの分配金は配当所得として課税され、上場株式と同じく20.315%の申告分離課税が原則です。

2025年度も「不動産取得税の税率特例(標準3%→2.7%)」は継続予定で、2026年3月31日までに取得した店舗や土地が対象です。また、小規模宅地等の特例は商業用地でも一定条件を満たせば評価額を最大50%減額できます。相続対策として店舗併用住宅を計画するケースでは、この制度活用が大きな節税効果を生みます。

減価償却については、鉄骨造店舗の場合耐用年数34年を採用します。中古取得後の残存耐用年数は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算する2025年度ルールが継続しています。中古店舗は減価償却費を積み増しやすいため、所得税と住民税の圧縮に直結します。一方、REITは法人課税を免れる仕組みの代わりに投資家側で分配課税を受けるので、減価償却の節税メリットは直接享受できません。

キャッシュフロー管理とリスク対策

実は、税引後キャッシュフローを常に把握することが安定経営の核心です。たとえば、家賃収入月100万円の路面店舗を保有し、空室率10%、修繕積立5%、税金とローン返済で60%を引かれると、手元残りは23万円程度に過ぎません。過度なレバレッジをかけると、金利上昇時に即赤字化する構造が見て取れます。

日本銀行の金融システムレポート(2025年4月)によれば、変動金利比率は依然72%と高く、1%の金利上昇で年間返済負担は平均約70万円増える試算が示されています。つまり、店舗や土地を直接保有するなら固定金利の選択や繰上返済の余地を確保することが賢明です。

一方でREITは無借金で保有できるため金利リスクを物理的に回避できます。しかし価格変動リスクはマーケットと連動します。過去10年間、東証REIT指数は最大で年27%下落した年もありました。個別物件の空室リスクと比べ、値動きのボラティリティを精神的に許容できるかが投資スタイル選択の分岐点となります。

成功事例から学ぶ実践ポイント

まず、郊外ロードサイドの中古店舗を取得したAさんは、敷地の一部を駐車場として第三者に時間貸ししました。これにより単一テナントの売上変動を補う副収入が生まれ、空室時でも赤字を回避できました。複数の収益源を持つことで融資審査も好転し、追加で隣接土地を買い増す際に低金利を引き出せたのです。

次に、投資口50万円からREITを積立購入したBさんは、分配金を再投資しながら価格調整局面で買い増しました。2023年以降の利上げ観測で価格が下落した局面を利用し、平均取得価格を押し下げた結果、2025年時点で年間4.2%の実質利回りを確保しています。手間が少なく、複利効果を実感できる点がREITの魅力だといえます。

結論として、自分の時間と資金、リスク許容度を冷静に見極め、店舗・土地の直接投資とREITを組み合わせることで収益の安定度は飛躍的に高まります。制度や税金を味方につけ、キャッシュフローを数字で管理する習慣が成功への近道です。

まとめ

店舗物件は商圏分析と複合活用が利益を左右し、土地は路線価と用途地域を踏まえた保有戦略が鍵になります。そしてREITは少額で分散投資が可能ですが、市場価格の変動には注意が必要です。2025年度の税制では不動産取得税の特例や小規模宅地等の特例が活用できるため、事前にシミュレーションを行いましょう。最後に、収益よりも先に税引後キャッシュフローを確認し、金利上昇や空室に耐える余裕を持つことが大切です。読者の皆さんも、本記事を参考に自分に合った投資プランを練り、次の一歩を踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 経済産業省 商業統計 2024年確報 – https://www.meti.go.jp
  • 東京証券取引所 REIT市場統計 2025年9月 – https://www.jpx.co.jp
  • 国税庁 相続税・贈与税に関するFAQ 2025年度版 – https://www.nta.go.jp
  • 日本銀行 金融システムレポート 2025年4月 – https://www.boj.or.jp
  • 国土交通省 不動産取得税の税率特例について 2025年度 – https://www.mlit.go.jp

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