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不動産投資 どこがいい?地域選び最新ガイド

不動産投資を始めるとき、多くの人が最初につまずくのが「エリア選び」です。家賃相場や人口動態、将来性など考えるべき要素が多すぎて、結局どこがいいのか分からなくなる──そんな悩みを抱えていませんか。この記事では「不動産投資 どこがいい」という疑問に答えるため、15年以上の実務経験と2025年10月時点の最新データをもとに、地域選定のポイントを体系的に解説します。読み終えるころには、自分の投資目的に合ったエリアを自信を持って選べるようになります。

立地が収益を左右する理由

立地が収益を左右する理由のイメージ

重要なのは、立地がキャッシュフローと資産価値の両面に影響するという事実です。賃貸需要が高い地域では空室期間が短く、家賃下落のリスクも低く抑えられます。さらに、流動性が高いエリアでは売却時に買い手が付きやすく、出口戦略を柔軟に描けます。

国土交通省の令和6年地価調査によると、全国平均の商業地は前年比+1.6%でしたが、東京23区の駅徒歩10分圏内に絞ると+4.8%まで上昇しています。つまり、同じ物件規模でも立地によって評価額の伸びが大きく変わるわけです。収益と資産性の両立を狙うなら、まず需要が底堅い地域を候補にする必要があります。

一方で、利回りだけを追って郊外や地方の高利回り物件を選ぶと、空室率の上昇や修繕コストの増加でキャッシュフローが悪化するケースが少なくありません。とくに築年数が進んだ木造アパートは、外壁や屋根の大規模修繕が重くのしかかり、利回りの“見た目”が当てにならなくなることがあります。

また、立地は融資条件にも影響します。金融機関は物件評価に加えてエリアの将来性を重視するため、人口減少が顕著な地域では融資期間が短くなる傾向があります。結果として月々の返済額が増え、利回りが良くてもCF(キャッシュフロー)が圧迫されるのです。

投資効率を高めるには、賃貸需要・資産価値・融資条件の3点を同時に満たすことが鍵です。立地選びを誤ると、このバランスが崩れ、出口戦略の幅も狭まります。だからこそ、まず立地を徹底的に精査することが成功への近道になります。

都心・郊外・地方それぞれのメリット

都心・郊外・地方それぞれのメリットのイメージ

まず押さえておきたいのは、エリアごとに求められる戦略がまったく異なる点です。都心は初期投資額が大きいものの、空室リスクが低く安定収益を得やすい一方で、郊外や地方は高利回り物件が多く、自己資金を抑えたい投資家に向いています。

都心物件の強みは、需要層が多様でシングルからファミリーまで幅広いテナントが見込めることです。さらに、インフラ整備や再開発が継続的に進むため、資産価値が下支えされる傾向があります。東京都の住宅着工統計によると、23区のワンルーム需要は2024年度も前年を上回りました。これはテレワークの定着で「職住近接」を重視する層が増えたためです。

一方で郊外は、家賃と間取りのバランスを求めるファミリー層に根強い人気があります。駐車場付きやペット可など、広さとライフスタイルを両立できる条件が支持されているのです。ただし、人口減少が続くエリアでは将来の空室リスクを見越して、学区や商業施設の充実度にも目を配る必要があります。

地方都市は新幹線駅周辺や政令指定都市の中心部なら、賃貸需要が安定しています。さらに、市街化区域の再開発に伴い、築古ビルのリノベーション需要が高まっている点も見逃せません。日本政策金融公庫の調査では、地方主要都市の一棟RC(鉄筋コンクリート)マンションでも融資期間30年が一般的になってきました。つまり、物件種別と立地が合致すれば、地方でも長期融資を引き出せる可能性があるわけです。

ただし、地方投資では管理会社の力量が結果を左右します。物件近隣に支店を持ち、退去から次の入居付けまでの平均日数が短い管理会社を選ぶことが不可欠です。距離が離れている分、現地対応の質が収益を大きく左右します。

2025年注目エリアを選ぶ視点

実は、エリア選びで最も大切なのは「再開発とインフラ整備のスケジュールを押さえること」です。再開発は数年単位で進むため、着工前に仕込めば値上がり益を狙いやすくなります。2025年10月時点で見逃せないのは、東京・品川〜田町周辺、大阪・うめきた2期、そして福岡・天神ビッグバンです。

たとえば、田町駅東口では2027年度完成予定の大型複合ビルが進行中で、就業人口の増加が期待されています。東京都都市整備局の試算によると、完成後の昼間人口は現状比で約1.3倍になる見込みです。賃貸ニーズが高まる前に周辺の中古区分マンションを押さえておけば、家賃上昇と資産価値上昇の二重取りが狙えます。

大阪のうめきた2期区域では、2027年度に商業・オフィス・住宅が一体となった街区が開業予定です。JR大阪駅地下ホームの開業により交通利便性が飛躍的に向上し、周辺マンションの坪単価が2023年比で平均15%上昇したという民間調査もあります。インバウンド需要の回復が続く関西圏では、短期賃貸やホテル転用を視野に入れる投資家も増えています。

福岡市の天神ビッグバンは、2024年から2030年にかけて20棟超のビルが建替予定です。地元で働く若年層の定着率が高く、総務省住民基本台帳によると福岡市の15〜39歳人口は10年連続でプラスを維持しています。つまり、地方都市でありながら、賃貸需要の底堅さは政令指定都市の中でもトップクラスといえるでしょう。

再開発エリアを狙う際は、完成後の需給バランスをシミュレーションすることが肝心です。供給が一気に増えるエリアでは競合が激化し家賃下落が起こる可能性もあります。自治体の公開資料や都市計画図を確認し、供給戸数と人口増のペースを比較することでリスク管理が容易になります。

データで見る人口動態と賃貸需要

ポイントは、数字を読み解くことで将来の空室リスクを減らせる点です。総務省の2025年推計人口によれば、全国の総人口は減少傾向が続きますが、東京23区、名古屋市、福岡市など主要都市は微増または横ばいです。この「局所集中型」の人口動態を踏まえて投資エリアを選ぶことが、安定収益の鍵になります。

また、国立社会保障・人口問題研究所が公表する将来推計では、2040年までに単身世帯が全世帯の約4割に達すると予測されています。単身者向けのコンパクトな部屋は、今後も一定の需要が見込めるわけです。都心の駅近ワンルームだけでなく、地方中核都市の繁華街徒歩圏も要チェックです。

賃貸需要を測る指標として、「募集から成約までの日数」を確認する方法があります。レインズマーケットインフォメーションの2025年上期データでは、東京23区ワンルームの平均は21日、福岡市中心部は24日、札幌市は28日でした。30日以内であれば堅調と判断できるため、このラインを目安にエリアを評価すると空室リスクを把握しやすくなります。

ただし、人口増加エリアでも家賃が高止まりすると需要が伸び悩む可能性があります。家賃支払い能力は平均所得に依存するため、厚生労働省の賃金構造基本統計を併せて確認することで、賃料設定の妥当性を見極められます。所得水準に対して家賃が高すぎる場合、長期空室のリスクが高まる点に注意が必要です。

加えて、大学や企業の移転計画も賃貸需要を左右します。文部科学省のデータでは、首都圏の大学キャンパス再編が進んでおり、郊外キャンパスを都心へ集約する動きが見られます。学生需要を狙う場合は、学部移転のスケジュールを早めに把握することで、空室リスクを避けられるでしょう。

エリア別戦略の立て方

まず、自分の投資目的を明確にし、それに応じてエリアを絞り込むことが大切です。キャピタルゲイン(売却益)を狙うなら再開発前の都心部、インカムゲイン(家賃収入)の最大化なら高利回りの地方中核都市が候補になります。資産形成の時間軸を考慮して、短期・中期・長期の目標を設定すると、エリア選定の基準がぶれません。

次に、融資条件をシミュレーションします。たとえば、同じ利回り8%でも、融資期間20年と35年では手残りキャッシュフローが大きく違います。地方RCマンションで長期融資が受けられるなら、表面利回りが低くても手残りを厚くできるケースがあります。反対に、都心区分マンションで融資期間が短い場合は、家賃下落や金利上昇の耐性が弱まるため、頭金を多めに入れるなど安全策が必要です。

管理体制も戦略の一部です。遠方物件では管理会社への依存度が高まるため、退去から次の入居付けまでの平均期間や賃貸募集の手法を事前にチェックしましょう。オンライン内見を導入している会社は、国外在住者や忙しい社会人の需要を取り込みやすく、空室期間が短縮される傾向があります。

最後に、出口戦略を逆算します。相続対策なら節税効果が薄れた後も家族が運用しやすい立地を、売却益狙いなら将来の買い手が多い駅近物件を選ぶといった具合に、出口から逆算することで購入時の条件が明確になります。途中で戦略変更が必要になった場合でも、流動性の高いエリアを選んでおけば柔軟に対応できます。

結論として、エリア選びは投資の成否を左右する“最初の関門”です。豊富なデータと地域特性を把握し、自分の投資目的に合った戦略を組み立てることで、不確実な市場でも安定したリターンを得やすくなります。

まとめ

この記事では「不動産投資 どこがいい」という疑問に対し、立地が収益に与える影響、都心・郊外・地方の特徴、2025年に注目すべき再開発エリア、人口動態の読み方、そして戦略立案の手順を解説しました。大切なのは、賃貸需要・資産価値・融資条件の3点がそろったエリアを選び、出口戦略まで逆算して購入することです。まずは気になる地域の人口推計や再開発情報をチェックし、数字と現地調査を組み合わせて、あなたの投資目的に最適なエリアを選びましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省 地価調査(2025年) – https://www.mlit.go.jp/
  • 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp/
  • 日本政策金融公庫 融資利用動向調査 – https://www.jfc.go.jp/
  • レインズマーケットインフォメーション(不動産流通機構) – https://www.reins.or.jp/
  • 東京都都市整備局 再開発情報 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/

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