ワンルームマンション投資に興味はあるものの、「本当に安全なのか」「損をした人はいないのか」と不安を抱く方は少なくありません。確かに少額から始められる手軽さは魅力ですが、表面化しにくいリスクを理解せずに購入すると、大切な資産を長期にわたり縛ってしまう可能性があります。本記事では、2025年10月時点の最新データと現役投資家としての経験を交え、初心者でもわかる言葉でワンルームマンション投資 危険性の本質を解説します。読み終える頃には、リスクを把握したうえで自分に合った投資判断ができるようになるはずです。
なぜワンルームマンションが人気なのか

まず押さえておきたいのは、ワンルームマンションの人気が高い理由です。少ない自己資金で始められ、管理も業者に任せやすい点が投資家を引きつけています。日本賃貸住宅管理協会の統計では、都心部の単身世帯は2025年時点でも増加傾向にあり、「需要が続くから安全」というイメージが先行しています。
しかし、表面的な需要だけで判断すると失敗を招きます。都心ワンルームの供給も同時に増え続けているため、将来の賃料競争は避けられません。例えば、東京23区のワンルーム新規供給戸数は2020年比で2024年に15%増、2025年も同水準が継続しています。需要と供給が拮抗すれば賃料は横ばい、場合によっては下落します。
さらに、利回りのわかりやすさが人気を押し上げていますが、パンフレットに記載された利回りは「表面利回り」であることがほとんどです。この数字だけを信じると、後述する経費や空室によって手取りが激減する現実に直面します。人気の裏に潜む過当競争と情報の非対称性こそ、ワンルームマンション投資 危険性の第一歩です。
表面利回りと実質利回りの落とし穴

重要なのは、表面利回りと実質利回りをしっかり区別することです。表面利回りは賃料収入を物件価格で割った単純な数字ですが、実質利回りは諸経費を差し引いた後の手取りをベースに算出します。つまり、実際の収益力を測る指標は実質利回りなのです。
国土交通省の「賃貸住宅市場定期調査」によると、都心ワンルームの平均表面利回りは4.2%ですが、管理費・修繕積立金・固定資産税・空室損などを加味した実質利回りは2%台に低下します。2%の利回りでは、借入金利が1.5%を超えるとキャッシュフローがほぼ残らない計算です。
さらに、広告では空室率を5%前後で設定するケースが多いものの、実際の単身者向け住宅の平均入居期間は2年弱です。退去後のリフォームと新規募集の期間を考えると、年間空室率10%近くになることも珍しくありません。空室期間が1か月延びるだけで、その年の実質利回りが大きく下がる点は見落とされがちです。
加えて、家賃保証(サブリース)契約を結んだ場合でも、2020年のサブリース法改正以降、家賃の減額交渉が合法的に行われています。保証だからと安心していると、利回りが半分になるケースも報告されています。見かけの数字だけで判断しない姿勢が、ワンルームマンション投資 危険性を避ける最短ルートです。
空室リスクと人口動態の現実
実は、空室リスクの大きさは立地だけでなく、人口動態に左右されます。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では、東京23区の15〜44歳人口は2035年まで横ばいですが、近隣政令市では減少傾向が顕著です。単身者の割合は全体人口に連動するため、エリアを間違えると想定外の空室が続くリスクがあります。
一方で、都心でも空室がゼロになるわけではありません。2024年の総務省住宅・土地統計調査では、東京23区のワンルーム空室率が11.3%に達しました。短期賃貸や民泊への転用が進んだ結果、通常賃貸に回る物件の稼働率が低下しているのです。
人口の減少が始まると、賃料は真っ先に下げ圧力を受けます。家賃を5000円下げるだけで年間6万円の減収になり、実質利回りは簡単に0.3〜0.4ポイント下がります。仮にローン返済と諸経費でキャッシュフローがギリギリの状態なら、その影響は致命的です。
こうした空室リスクを抑えるには、駅徒歩5分圏内かつ複数路線利用可能といった「将来も競争力が落ちにくい立地」を選ぶ必要があります。言い換えると、そのような好立地ほど物件価格は高く、利回りが低いというジレンマが生じるわけです。ここに、ワンルームマンション投資 危険性が潜んでいます。
修繕積立金と大規模修繕の費用負担
まず押さえておきたいのは、マンションは消耗品であるという事実です。国土交通省「マンション大規模修繕実態調査」によれば、築12〜15年で1回目、25〜30年で2回目の大規模修繕が行われ、平均工事費は1戸あたり100万円前後に上ります。
修繕積立金は築年数とともに増加するのが一般的で、築浅で月額8000円だったものが築20年で1万5000円になるケースもあります。家賃が横ばいでも固定費が上がるため、実質利回りは年々低下します。過去に成立したワンルーム投資のシミュレーションが10年後に成り立たなくなる大きな要因です。
また、管理組合の合意形成が進まないと修繕時期が遅れ、設備不良による空室リスクが拡大します。投資家が一室所有の場合、自らの意思だけで修繕計画を動かせません。結果として資産価値の下落を受け入れるしかなくなる可能性があります。
さらに、2024年度から国交省が導入した「長期修繕計画ガイドライン」の改訂で、計画の精度向上が求められています。計画を策定していない管理組合は金融機関の融資評価が下がり、将来の買い手が付きにくくなる点も問題です。このように、修繕コストとガバナンスは密接に絡み合い、ワンルームマンション投資 危険性を高めています。
2025年時点の法規制と今後の市場動向
ポイントは、制度改正が投資収益に与える影響を随時チェックすることです。2025年度も住宅ローン減税は新築・中古ともに控除率0.7%、控除期間13年が適用されていますが、賃貸目的のワンルーム購入には基本的に使えません。このため、自宅購入と比べ税制メリットは限定的です。
また、2023年施行の「インボイス制度」は2026年10月に免税事業者の経過措置が終了予定で、個人オーナーでも課税事業者を選択するかどうかで消費税還付と納税が発生します。ワンルーム投資の家賃は非課税ですが、管理費や広告費には消費税がかかるため、仕入税額控除を受けられない点が収益をさらに圧迫します。
金融環境にも注目が必要です。日本銀行は2024年4月にマイナス金利を解除し、2025年10月現在の政策金利は0.25%です。地銀の不動産投資ローン金利は平均2.1%台へ上昇しており、低利回り物件ではキャッシュフローが出にくくなっています。金利上昇局面で固定金利に誘導されると、さらなる利回り悪化が避けられません。
一方で、少子高齢化と在宅勤務の定着により、今後は「広めの1LDK」や「郊外のリモート対応物件」への需要が伸びる見通しです。ワンルーム特化のマンションは将来的に陳腐化リスクを抱える可能性があり、出口戦略を考えるなら売却需要の多い築浅段階で手放す方法も検討すべきでしょう。結果として、ワンルームマンション投資 危険性を減らすには、政策・金利・社会動向を総合的にチェックし続ける姿勢が不可欠です。
まとめ
ここまで、ワンルームマンション投資 危険性を表面利回りの誤解、空室リスク、修繕費用、そして制度・金利の変化という観点から整理しました。人気の高さとは裏腹に、実質利回りは低下しやすく、長期保有ほどキャッシュフローが圧迫される構造です。もし投資を検討するなら、好立地でも実質利回り3%以上を確保し、空室や修繕費のシミュレーションを保守的に行うことが第一歩になります。最終的には、購入前に専門家へセカンドオピニオンを求め、出口戦略まで含めた長期計画を立てることでリスクを抑えた投資が可能になります。将来の資産形成を成功させるために、情報を鵜呑みにせず自ら検証する姿勢を大切にしてください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 賃貸住宅市場定期調査 – https://www.mlit.go.jp
- 国立社会保障・人口問題研究所 将来人口推計 – https://www.ipss.go.jp
- 総務省 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp