不動産投資で物件を購入された方から、「今後どうしていけばよいでしょうか?」
という質問をよく受けます。
いわゆる「持ち続けていたほうがよいのか、将来売却をしたほうがよいのか」ということです。
出口戦略の重要性と売却した場合の譲渡所得の申告について解説していきます。
私は、物件を購入したときから「持ち続けるのか、将来売却するのか」を決めておくべきだと考えています。
そうしないと、持ち続けようと考えていたところ、やっぱり売却しようと思って、実際に売ってみると損をしてしまう可能性があるからです。
例えば次の2つのケースで考えてみましょう。
大規模修繕や建て替え時期になって、お金がかかるのは嫌だといって、売却に踏み切る方は少なくないです。
でも、そこで売却した場合に、高く売却できるのでしょうか?
おそらく購入する人も大規模修繕、建て替えを見込んで購入するでしょうから、その分の費用を売却金額から引いて欲しいと要望される可能性があるのです。
ストレートな言い方をすれば、安く買い叩かれるのです。
とくに、建て替えは、立ち退き費用、取り壊し費用が多額にかかります。
鉄筋コンクリートの解体費用は、数千万円になることもあるのです。
売却する場合に、買い手がつくかどうかの判断基準は非常に重要です。
つまり、買い手がつかなければ、売却できませんし、買い手が少なければ、価格を下げざるを得ないこともあるのです。
この買い手がつくかどうかは、融資が受けられるかに左右されます。
不動産をキャッシュで購入できる人はごく一部に限られています。
大抵の方は銀行で融資を受けるのです。
この融資が受けられなければ、購入できない人のほうが圧倒的に多いのです。
この融資で大事なことは、融資期間です。
銀行の融資期間は、「法定耐用年数-経過年数」が最大と言われています。
この期間が短ければ、短い期間でしか融資を受けられないことになります。
融資期間が短いと、返済額が高くなります。
現実的に家賃収入では返済できないと、融資してもらえません。
さらに、経過年数が法定耐用年数を超えていると、融資自体が無理な銀行もあります。
このように、築年数によっては売却しづらいという側面があるのです。例例えば、築25年の鉄筋コンクリートのマンションを購入し、15年目に売却しようと考える場合
47年(鉄筋コンクリートの耐用年数)-40年(経過年数)=7年
7年の期間で融資を受けることになります。
よほど家賃収入が高くないと返済ができません。
そうなると、多額の頭金を入れられる方のみが融資を受けて購入できるということになります。
そして、そのような方は数少ないので、立場が強くなります。
ストレートな言い方をすれば、足元を見られるということです。
このように築年数が経てばたつほど、(市場のマーケットとは別に)売却金額が下がるリスクがあるということなのです。
不動産投資をして最終的にどこまで到達したいか、具体的に決めておいたほうがよいです。
物件規模よりも、「収入をどのくらい増やしたいのか」「最終的にどの立地で所有するか」が重要です。
収入については、現在所有している物件でそれがまかなえるのか、不足しているのかによって、今後の対応が変わってきます。
まだ不足しているのであれば、今後も物件を増やしていかないとならないことになります。
また、現在所有している物件の立地が、最終的に所有するところとしてふさわしいのかどうか。
そうなると、その過程で、入れ替えていったほうがよいことがあるのです。
私のお客様で、カリスマ大家さんと呼ばれる方が何人かいらっしゃいます。
お付き合いしていくなかで、カリスマ大家さんとそうでない投資家さんとは、一体何が違うのかがわかってきました。
それは「物件の入れ替えのタイミングが抜群に上手い」ということです。
古くなったタイミングで、より新しい物件、良い立地の物件に入れ替えられているのです。
私は地主の家系なので、建て替えをして賃貸経営を続ける覚悟でやっています。
例え、多額の建て替え費用がかかって、持ち出しが出たとしてもです。
その覚悟でやっています。
しかし、投資家さんは、そこまでの覚悟を持つ必要はないはずです。
まず、投資先の土地を選定し、売り時を見極めて売却し、次の土地に投資することができるのは、土地に執着しない投資家さんならではです。
ですから、私は、物件を購入したての投資家さんに「長く持ち続けることはリスクです。売却時期は今から考えておくようにしてください。」と言っています。
それが、投資家としてのメリットを最大限活かすことになるからです。
・出口戦略は重要。「所有か、売却か」購入した時点から考えましょう。
・カリスマ大家さんに共通するのは、「物件の入れ替えが上手い」こと。
・投資家のメリットを活かすために売却は考えるべき選択肢。