不動産投資の申告で、実は物件を購入したときが難しいのです。
物件を購入した年には、売買代金(建築代金)以外にもさまざまな諸費用がかかります。
この諸費用をすべて経費にしては間違いです。
中には資産に計上しなければならないものがあります(建物に計上されたものは減価償却によって経費化されます)。
何が経費になって、何が経費にならないかを確認しておきましょう。
不動産の売買契約書や建築の請負契約書には、記載された金額に応じた印紙税がかかります。
そこに貼る収入印紙は、経費に計上します。
不動産を取得したときに、自分の名前に登記を変更するために、登記費用(登録免許税、司法書士報酬)がかかります。
この費用は、必要経費に計上します。
不動産を取得後、3ヵ月~6ヵ月後くらいに不動産取得税がかかります。
課税通知がきたとき、又は払ったときに必要経費に計上します。
(注)個人事業主の場合には、登録免許税、不動産取得税は必要経費に計上することになります。しかし、法人名義で取得した場合の登録免許税、不動産取得税は必要経費に計上するか、資産に計上するかを選択することができます。
融資を受けるために金融機関に支払った事務手数料は必要経費に計上します。
金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会の保証をつけるため保証料を支払った場合、経費に計上できるのですが、全額を経費にするわけではありません。
また、将来繰上げ返済した場合に、返還されるかされないかによって若干処理が異なります。・返還される場合は、前払費用として資産計上し、その年に対応する期間分を期間按分し、経費計上していきます。
・返還されない場合は、繰延資産として資産計上し、保証期間で均等に償却していきます(その年に対応する期間分だけ経費にできるのは、前払費用と同じ)。
・繰延資産となった場合、保証料の総額が20万円未満であれば、少額の繰延資産として全額をその年の必要経費に計上することができます。
1年を超える期間の保険料を支払った場合には、前払費用として資産計上し、その年に対応する期間分を期間按分し、経費計上していきます。
1年以内の保険料の前払分については、短期前払費用として全額その年の必要経費にすることができます。
建物が完成後に発生する支出になるため、必要経費に計上します。
購入した減価償却資産の取得価額には、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用も含まれます。
不動産を購入するにあたり、不動産会社に支払う仲介手数料は購入手数料に該当しますので、資産の取得価額に計上することになります。
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を保有している方に課税されるもので、年の途中で売却しても納税義務者は変わりません。
そのため、不動産の引渡し時には、買主に引渡し以降の固定資産税の負担をしてもらうために、その固定資産税分を売主に支払うことで精算をします。
この精算金は、固定資産税そのものの税金ではなく、売買の慣習で行っているものに過ぎません。
ですから、税務上は固定資産税の精算金は、売買金額の一部として取り扱うことになっており、取得価額に計上します。
所得税法基本通達38-1の規定によると、「固定資産の取得価額に算入する」とされています。
つまり、必要経費ではなく、土地や建物などの資産に計上することになります。
なお、賃貸を開始した後の期間に対応する借入金利息は、必要経費に計上することになります。
修繕費であれば、その年に全額経費にすることは可能です。
しかし、内容が修繕費であったとしても、賃貸するため(事業の用に供するため)に支出したものは資産計上することになります。
ボロ物件を購入して、全面リフォームして賃貸するような場合です。
この場合、クロスの張り替えなど、内容が修繕費に該当するものであったとしても、修繕費にはなりません。資本的支出として、資産計上します。
建物の完成前に発生する支出となるため、建物の取得費に計上します。
建物建設のために支出したものとして、建物の取得費に計上します。
いかがでしょうか。
かなり細かい内容ですが、経費になるのか資産になるのかで、税金が大きく変わることがあります。
購入時には是非気をつけてください。