不動産の税金

新築 確定申告で損しないための基礎知識

新築住宅を購入したあと、「確定申告が必要なのか」「どんな書類を用意すればいいのか」と悩む人は少なくありません。住宅ローン控除や減価償却など、税制のメリットを最大限に活用できるかどうかで、家計に数十万円単位の差が生まれることもあります。本記事では、新築 確定申告の基礎から最新の2025年度制度までを分かりやすく解説します。読み終える頃には、自分に必要な手続きとメリットが整理でき、申告準備をスムーズに進められるはずです。

新築後に確定申告が必要になる理由

新築後に確定申告が必要になる理由のイメージ

まず押さえておきたいのは、新築住宅を取得したすべての人が確定申告をするわけではないという点です。給与所得のみで年末調整を受ける会社員であっても、住宅ローン控除を初めて適用する場合や、賃貸併用住宅で家賃収入が発生する場合は申告が必要になります。また、不動産取得税や登録免許税を経費として計上するケースでも、確定申告を通じて税負担を調整できます。

一方で、住宅を自宅としてのみ利用し、ローン控除を受けない場合は年末調整だけで完結することもあります。つまり、新築 確定申告が必要かどうかは、所得の種類と控除の有無によって変わるわけです。国税庁の統計では、住宅ローン控除の適用者の約7割が初年度に確定申告を行っています。確定申告を怠った場合、控除を受け損ねるだけでなく、延滞税や無申告加算税が発生するリスクもあるため注意が欠かせません。

新築物件で使える主な控除と必要書類

新築物件で使える主な控除と必要書類のイメージ

ポイントは、控除ごとに必要書類が異なるため、早めに整理しておくことです。住宅ローン控除を例に取ると、登記事項証明書や売買契約書のコピーなど、建物と土地の取得額を証明する書類が必須になります。さらに、長期優良住宅やZEH水準の省エネ住宅であれば、認定通知書や性能証明書も追加で求められます。

賃貸併用や完全賃貸として運用する場合は、建築費の明細や固定資産税の納税通知書も経費計上に欠かせません。2025年度から電子帳簿保存法の要件が段階的に厳格化され、領収書の電子保存を選択する人も増えています。クラウド会計ソフトと連携しておくと、後から書類を探し回る手間が省けるため、時間的コストの削減につながります。

必要書類を一覧で示すと次の通りです。

  • 住民票の写し
  • 登記事項証明書(建物・土地)
  • 売買契約書または建築請負契約書の写し
  • 住宅取得資金に係る借入金残高証明書
  • 長期優良住宅等の認定通知書(該当者のみ)

これらは確定申告書と合わせて提出するため、汚損や紛失を防ぐためにスキャン保存しておくと安心です。

減価償却の基本と計算のポイント

重要なのは、減価償却によって毎年の課税所得をコントロールできる点です。木造住宅の法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造は47年と定められており、新しい建物ほど年間の減価償却費は少なくなります。例えば、建物部分の取得価額が2,200万円で木造の場合、定額法ならば年間100万円程度が経費として計上されます。これにより、家賃収入から差し引けるため手取りが安定しやすくなるわけです。

一方で、自宅と賃貸部分を併用する物件では、按分比率を適切に設定しなければなりません。自宅部分は住宅ローン控除の対象になる一方、賃貸部分は減価償却の対象となるため、按分を誤ると二重控除や控除漏れが発生します。国税庁は「合理的な客観基準」に基づく按分を求めており、床面積や建築費の割合を根拠にするとトラブルを避けやすいです。

さらに、2024年分の改正で定額法が原則化したため、新築でも特別な届け出をしない限り定額法で計算します。定率法に変更したい場合は「減価償却方法の変更承認申請書」を提出する必要がありますが、承認まで3か月ほどかかる点に留意してください。

住宅ローン控除2025年度の適用条件

実は、住宅ローン控除は毎年の税制改正で細かい条件が変わります。2025年度も控除率0.7%、控除期間13年(省エネ基準適合住宅等)または10年(その他)という枠組みが継続します。ただし、床面積要件は原則40㎡以上で、合計所得2,000万円以下の人が対象です。また、2025年12月31日までに入居した新築住宅が対象となるため、入居日がずれ込むと控除を逃す恐れがあります。

控除額は「年末時点のローン残高×0.7%」で計算され、年間上限は、省エネ基準適合住宅で45万円、それ以外で35万円です。控除は所得税から先に差し引かれ、余った分は住民税に最大13万6,500円まで控除されます。所得税が少ない年でも住民税でカバーできるため、安定した節税効果が期待できます。

なお、2025年度の改正で新たに創設された「子育て世帯向けローン控除上乗せ措置」は、自宅として使用する場合に限られ、賃貸併用住宅や投資用物件は対象外です。制度の適用範囲を誤解すると申告内容が認められないため、自身の物件が条件を満たすか必ず確認しましょう。

初めての確定申告をスムーズに進めるコツ

まず、年間スケジュールを逆算することが成功への近道です。必要書類は早ければ1月下旬にはそろい始めるので、2月15日の申告開始を待たずに会計ソフトへ入力を進めると余裕が生まれます。また、e-Taxにマイナンバーカード方式でログインすると、給与所得や保険料控除の情報が自動入力されるため、手打ちミスを大幅に削減できます。

一方で、賃貸収入がある人は家賃入金と経費支出を毎月仕訳しておくと決算書の作成が格段に楽になります。帳簿付けが苦手な場合は、クラウド会計の銀行連携機能を活用し、領収書はスマホ撮影で取り込む方法が便利です。2025年12月時点で主要ソフトは電子帳簿保存法の要件をクリアしており、税務調査でも原本提示を求められにくくなっています。

最後に、税理士への依頼を検討するかどうかは、手間とコストのバランスで判断します。報酬相場は年間10万円前後ですが、減価償却や賃貸併用の按分計算を任せられる安心感は大きいです。特に初年度は仕組み作りの意味でも、一度専門家にチェックを受けると後々のトラブルを防げます。

まとめ

新築 確定申告では、住宅ローン控除や減価償却といった制度を正しく活用することで、納税額を大きく抑えられます。重要なのは、自分が自宅のみで使うのか、賃貸併用なのかといった利用形態を整理し、必要書類を早めにそろえることです。さらに、2025年度の最新制度を把握したうえで、e-Taxやクラウド会計を活用すれば、初めてでもスムーズに申告を終えられます。面倒だからと後回しにせず、早めの準備で家計のキャッシュフローを改善していきましょう。

参考文献・出典

  • 国税庁 – https://www.nta.go.jp/
  • 国土交通省 住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/
  • 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp/
  • e-Tax(国税電子申告・納税システム) – https://www.e-tax.nta.go.jp/
  • 総務省統計局 家計調査 – https://www.stat.go.jp/

関連記事

TOP