不動産投資を始めたいけれど、アパートを「どこで買えばいいのか」決められずに悩む方は多いものです。エリア選びを誤ると、高い利回りを期待しても空室が埋まらず収益が伸びません。この記事では、2025年12月時点の最新統計と制度を踏まえ、初心者でも納得できる立地判断のコツを詳しく解説します。読むことで、人口動態や家賃相場、税制優遇まで一体的に考えられるようになり、物件探しの方向性が具体的に見えてくるはずです。
需要を読む第一歩は人口動態の確認

ポイントは、将来も安定して入居者を確保できるかを見極めることです。総務省の住民基本台帳によると、2025年時点で全国の人口減少率は年▲0.5%前後にとどまりますが、都道府県間で差が拡大しています。
まず、地方圏でも県庁所在地の中心部や大学集積エリアは、学生と若年単身者の流入が続くため空室率が低めです。国土交通省住宅統計が示す2025年10月の全国アパート空室率は21.2%ですが、政令市中心部では15%台に抑えられています。一方で郊外の人口減少が進む町では30%を超える地区もあり、同じ県内でも二極化が鮮明です。つまり、人口の微減よりもエリア内の「偏り」を精査することが欠かせません。
さらに、自治体が公表する将来人口推計を確認すると、出生率より転入超過の有無が重要だと分かります。地方大学都市の一部では、入学シーズンに需要が集中し、単身向けアパートの入居待ちが発生するケースも珍しくありません。このように人口データと実際の生活動線を合わせて読むと、見込み違いを防げます。
家賃相場と表面利回りの落とし穴

実は、家賃相場が高いエリアほど利回りが低い傾向があるため、収益性を数字で比較する姿勢が欠かせません。都心ワンルームの平均利回りは4〜5%台ですが、地方中核市では8%前後を狙える物件が見つかります。
しかし、利回り計算では「空室期間」を必ず織り込みましょう。例えば表面利回り8%でも、空室率が25%では実質利回りは6%を切ります。前述の統計を基に、エリア固有の空室リスクを差し引くと、都心5%と地方6%が結果的に同水準になることも珍しくありません。つまり、高利回りだけを追うと期待収益が過大評価されがちです。
加えて、家賃下落のスピードも要チェックです。国土交通省の賃貸住宅市場データによれば、築25年超のアパート家賃は、都心部で築浅比▲20%程度ですが、人口減少地域では▲35%前後に達します。購入時の家賃を前提に長期シミュレーションを行い、耐えられるかを確認することが成功への近道です。
交通インフラと再開発計画を味方につける
まず押さえておきたいのは、交通網が強化されるエリアでは家賃が底堅く推移しやすい点です。2025年開業の北陸新幹線延伸区間では、駅周辺の賃貸需要が前年比5%以上伸びたという民間調査もあります。このように、新駅や路線延伸が予定される場所は中長期で空室率が低下する傾向があります。
一方、再開発プロジェクトが進む市街地では、オフィスや商業施設の増加に伴い単身赴任や若年層の流入が見込めます。自治体の都市計画課が公開する資料を読むと、完成予定時期や用途が把握でき、物件購入のタイミングを測る手助けになります。言い換えると、工事が始まる前に周辺物件を仕込めば、複数年にわたり家賃上昇の恩恵を受けやすいのです。
ただし、交通や再開発は「予定は未定」という側面もあります。資金計画では、完成が遅れるリスクや需要が想定以下で推移する可能性を含めて、最低でも2年間の運転資金を別枠で用意すると安心です。
法制度と税制優遇を踏まえたエリア戦略
重要なのは、2025年度の制度を利用して収益を底上げする視点です。住宅ローン控除は投資用物件に直接適用されませんが、個人の自宅からアパートへ住み替える「マイホーム転用」などで節税メリットが出る場合があります。また、地方税法に基づく固定資産税の新築軽減は、2025年度も2年間分の減額が継続しており、築後2年以内の中古アパートを取得すると残期間の恩恵を受けられます。
さらに、東京都や福岡県など一部自治体では、賃貸住宅の省エネ改修に対する独自補助金が2025年度も継続中です。補助金額は上限100万円前後ですが、設備更新費を抑えられるため、築古物件でも利回り改善が可能になります。ただし、エリアによって条件が異なるので、購入前に自治体窓口で最新情報を確認しましょう。
税制だけでなく、賃貸住宅管理業法に基づく管理会社の義務化が2025年で4年目を迎え、優良管理会社の選別が進んでいます。管理品質が高いエリアでは入居者満足度が向上し、家賃下落を抑えやすい点も見逃せません。
複数物件でリスクを分散する考え方
まず、単一エリアに集中投資すると、地域固有の経済変動に巻き込まれやすいと覚えてください。例えば観光地特化の町でインバウンド需要が減れば空室が急増します。このリスクを避ける方法として、都心1棟と地方中核市1棟を組み合わせる「ポートフォリオ経営」が有効です。
国土交通省のデータでは、地方中核市の平均利回りは都心比で2〜3ポイント高い一方、空室率も5ポイント前後上振れします。二つのエリアを組み合わせると、片方の収益減をもう一方で補う効果が期待できます。つまり、利回りと空室率の相関を逆手に取り、全体収益を平準化する発想が重要です。
資金調達面でも、複数物件を担保にした一括融資より、物件ごとに融資を分ける方が柔軟です。返済負担率が抑えられるうえ、売却やリノベーションを行う際の自由度が高まります。最初の1棟でキャッシュフローを安定させ、2棟目以降を異なるエリアに展開すると、長期的な収益曲線が滑らかになります。
まとめ
人口動態、家賃相場、交通再開発、税制優遇という四つの視点を総合的に検討すれば、「アパート経営 どこで買う」という問いに自分なりの答えが見えてきます。立地選びで迷ったら、まず入居需要の源泉を数字で把握し、次に利回りを実質ベースで計算し、さらに制度や補助金でコストを下げる道を探りましょう。最後に複数エリアへの分散を視野に入れることで、長期にわたり安定したキャッシュフローを得られるはずです。今日から気になるエリアの人口統計と再開発情報をチェックし、一歩踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅統計調査 2025年10月速報 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 2025年版 – https://www.soumu.go.jp
- 東京都環境局 省エネ住宅改修助成 2025年度要綱 – https://www.kankyo.metro.tokyo.jp
- 福岡県 建築住宅課 省エネ改修補助制度 2025年度 – https://www.pref.fukuoka.lg.jp
- 不動産経済研究所 賃貸住宅市場データブック2025 – https://www.fudosankeizai.co.jp