東京で不動産投資を始めたいけれど、「物件価格が高くて手が届かない」「人口減少の時代に本当に賃貸需要はあるのか」と悩む方は多いはずです。実際、東京都心の平均価格は23区外と比べて二倍近くになり、初心者にはハードルが高く感じられます。しかし需要と供給のバランス、資金計画、税制優遇を正しく押さえれば、安定した家賃収入を得ることは十分に可能です。本記事では2025年12月時点の最新データをもとに、東京 不動産投資で失敗しないための五つの戦略を具体的に解説します。
東京市場を読み解く最新トレンド

まず押さえておきたいのは、東京都内でもエリアによって将来性が大きく異なる点です。東京都の推計人口は総務省の2025年7月データで1,398万人と過去最高を更新し、特に千代田・中央・港の都心3区は年間1%以上の世帯数増が続いています。一方、多摩地域の一部では高齢化率が30%を超え、空室率も上昇傾向にあります。
この差を生むのは雇用集中と交通インフラです。都心部は大型再開発が進み、国土交通省資料によると2024〜2027年に完成予定のオフィス・住宅複合施設が延べ床面積で約250万㎡に及びます。つまり職住近接ニーズは当面続くため、単身者向けワンルームやコンパクトタイプが安定した需要を持つと予測できます。
一方で城北・城東エリアは価格が比較的抑えられるうえ、地下鉄延伸や駅前再整備が進行中です。家賃と利回りのバランスを考えると、初めての投資には「駅徒歩10分以内」「JR・地下鉄2路線以上利用可」という条件を満たす築15年以内の中古マンションが狙い目です。価格上昇余地よりキャッシュフロー重視の選択が、現在の東京市場では堅実と言えます。
成功する物件選びの視点

重要なのは数字だけでなく、その背後にある暮らしやすさを見極めることです。投資家同士の競争が激しい東京では、賃貸募集を開始した初月の反響数が退去後の空室期間を決める決定的要素になります。SUUMOの2025年上期データでは、築10年以内・駅徒歩5分以内の物件は平均空室期間30日、同立地で築25年を超えると55日まで延びています。
物件内覧の際には、日当たりや水回りの劣化度合いに加え、通信インフラも必ず確認しましょう。テレワーク普及で光回線の速度は重視され、遅い物件は内見段階で選択肢から外されるケースが増えています。また、管理組合の修繕積立金残高は長期保有の安全性を左右します。国土交通省が示す目安は1㎡あたり月200円以上ですが、都内の築20年マンションで100円未満という例も珍しくありません。賃料の利回りが高くても、将来の一時金徴収リスクが高い物件は避けるべきです。
最後に、賃貸需要を具体的につかむため近隣大学や大規模病院の入居者構成を調べる方法があります。家賃7万円前後のワンルームであれば学生と若手医療従事者がターゲットになり、定期的な入退去があるので家賃の引き下げ圧力を回避しやすい点が魅力です。こうした“借り手の顔”を意識した選定が、長期の空室リスクを減らします。
キャッシュフローと資金計画を固める
ポイントは、表面利回りではなく「実質利回り」を基準に判断することです。実質利回りとは年間家賃収入から管理費や修繕積立金、固定資産税など運営コストを差し引いた後、物件取得総額で割った数値を指します。都心ワンルームの平均表面利回りは約4%ですが、実質は2.5%前後に落ち着くケースが多く、購入時にその差を認識しておく必要があります。
融資については、都市銀行よりも地方銀行やノンバンクの投資ローンが金利面で不利に思えますが、2025年の超低金利環境では差が年0.3%程度に縮小しています。金利だけでなく融資期間の柔軟性を考えると、自己資金2割以上を入れられる場合は地方銀行の長期固定型を選択するほうがキャッシュフローが安定します。たとえば3,000万円の物件に対し自己資金600万円を入れ、金利1.7%・期間25年で借入すると、毎月返済は約12万円です。家賃収入が月13.5万円であれば、固定費を差し引いても月1万円程度の黒字が見込めます。
また、不測の事態に備える内部留保を積み上げることが重要です。国土交通省の「賃貸住宅修繕周期調査」では、築15年時点で平均100万円、築30年では300万円以上の大規模修繕費が必要とされています。家賃収益の10%を毎月積み立てるルールを徹底することで、急な出費に耐えられる運営体制が整います。
2025年度の税制優遇と最新制度
実は税制面の理解が、東京 不動産投資を加速させるカギになります。2025年度も不動産取得税の軽減措置が継続しており、課税標準から1,200万円が控除されます。さらに登録免許税も住宅用家屋証明を取得すると所有権移転0.3%、保存0.1%に引き下げられるため、購入時コストを数十万円単位で圧縮できます。
一方で、所得税の損益通算は厳格化されておらず、賃貸経営で発生する減価償却費を計上することで、給与所得と合算した節税効果が期待できます。土地部分は償却できませんが、建物価格を合理的に按分し、鉄筋コンクリート造なら法定耐用年数47年で償却する仕組みを覚えておくと良いでしょう。
東京都独自の支援策としては、「既存建物の省エネ改修助成」が2025年度も継続しています。賃貸住宅の場合、外壁断熱や高効率給湯器の導入で工事費用の1/3(上限200万円)の補助が受けられ、同時に家賃を維持しながら入居率向上にもつながります。補助金交付後10年間は転売可能で、資本的支出として減価償却に組み込める点も魅力です。
長期で勝つ運用と出口戦略
基本的に東京 不動産投資では、売却益よりインカムゲインを軸に計画すると安定します。東京都心の中古ワンルーム価格は2020年から2025年にかけて平均16%上昇しましたが、同期間の家賃は4%しか上がっていません。このギャップは今後縮小する可能性が高く、過度なキャピタルゲイン期待はリスクが大きいと言えます。
運用中は賃料改定のタイミングを逃さないことがポイントです。賃貸住宅市場レポート(公益財団法人日本賃貸住宅管理協会)によると、更新時に2,000〜3,000円の値上げを試みた場合、入居者維持率は90%を維持しています。逆に入居期間が5年を超えると、設備の見劣りが退去理由になりやすいため、エアコンや照明を計画的に更新し、バリューアップで競争力を維持しましょう。
出口戦略では保有期間10年以上を前提に、譲渡所得税の軽減税率(長期20.315%)を活用することが効果的です。相続対策を視野に入れる場合、都内物件は評価額が高くなるため、小規模宅地等の特例の適用要件を早めに確認しておくと安心です。結論として、出口を見据えた運用計画があってこそ、購入タイミングとリフォーム投資の判断がブレなくなります。
まとめ
東京 不動産投資で成功するには、市場動向を読み、需要が続く立地に絞って物件を選び、数字に基づくキャッシュフロー管理を徹底することが欠かせません。さらに2025年度も続く税制優遇や東京都の省エネ改修助成を活用すれば、取得コストと運営コストを同時に抑えられます。この記事で紹介した五つの戦略を実行し、物件購入前から出口まで一貫したシナリオを描くことで、長期にわたり安定した家賃収入と資産形成を実現できるはずです。今日から情報収集と資金計画を具体的に始め、次の一歩を踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 総務省統計局「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」 https://www.stat.go.jp/
- 国土交通省「都市再生特別措置法に基づく再開発事業の概要」 https://www.mlit.go.jp/
- 東京都環境局「既存建物省エネ改修推進事業」 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/
- 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「賃貸住宅市場レポート」 https://www.jpm.jp/
- 国税庁「令和7年度税制改正のポイント」 https://www.nta.go.jp/