年収が1500万円を超えると、可処分所得は十分にある一方で、所得税と住民税の負担感が強まりやすいものです。高い税率に直面しながら「資産を手元に残すにはどうすればよいのか」と悩む方も多いでしょう。本記事では、そんな悩みを抱える高額収入層に向けて、不動産投資がどのように節税と資産形成を同時に実現するかを解説します。具体的な資金調達のコツや2025年度の税制に沿った最新情報も交え、初心者でも理解しやすい流れでまとめました。読み進めることで、自分に合った投資戦略を描きやすくなるはずです。
税率50%超を抑える損益通算と減価償却の力

重要なのは、年収1500万以上 不動産投資 メリットの筆頭が「所得税の圧縮」にある点です。税率が45%に達する層でも、不動産所得の赤字を活用すると課税所得を小さくできます。
まず、不動産投資では物件購入時にかかった建物価格を法定耐用年数にわたり費用化する「減価償却費」を計上できます。この費用は実際の支出を伴わないため、キャッシュフローを維持したまま所得を圧縮できる点が大きな魅力です。また、建物価格のうち木造なら22年、RC造は47年と定められている耐用年数を過ぎた物件を購入すれば、4〜6年程度で償却でき、短期的に損益通算効果を高められます。
一方で、2021年以降に議論された赤字制限の強化案は2025年度税制では見送られました。そのため、家賃収入が黒字化するまでは、管理費やローン金利を含む経費と減価償却費を組み合わせて損益通算を行う基本構造は維持されています。つまり、給与所得と不動産所得を合算して申告するだけで、最大で数百万円の課税所得を抑制できる可能性が続いているわけです。高税率帯であればあるほど、現金流出を伴わない経費計上の恩恵は大きくなります。
さらに、青色申告を選択し、複式簿記で帳簿を付ければ「青色申告特別控除」として最大65万円の追加控除が得られます。e-Taxで提出する場合は55万円控除にさらに10万円が上乗せされるため、デジタル申告への切り替えは必須と言えるでしょう。
好条件で借りられるレバレッジの優位性

ポイントは、高年収層が金融機関から受けられる評価の高さです。同じ物件価格でも、年収700万円台の投資家と比べ、融資枠や金利条件が優遇されやすくなります。
具体的には、メガバンクや信託銀行を相手にする場合、自己資金10〜20%を用意できれば年利1.5%前後の長期固定金利を提示される事例が珍しくありません。日本政策金融公庫の「新規開業資金」よりも低い水準で借入できるケースもあり、借入コストの低さがキャッシュフローの安定性を生み出します。また、年収1500万円クラスは総資産確認を求められても、金融資産を一定額保有している場合が多く、銀行側も返済リスクを低く見積もります。これにより、複数物件への同時投資や、大型の一棟マンション購入といったスピード感ある拡大戦略を描けるのです。
一方で、レバレッジを過度にかければ空室や金利上昇に弱くなる点は避けられません。金融庁が公表する「金融モニタリング年次報告(2025年版)」では、借入比率が80%を超える投資家に返済負担率の悪化が見られると指摘しています。高い借入余力を生かしつつも、自己資金を25%程度入れてローン返済比率を一定以下に抑えるのが堅実な戦略です。結果として、長期にわたり安定した家賃収入と資産増を両立できます。
インフレと円安に強い実物資産へシフト
まず押さえておきたいのは、実物資産である不動産がインフレヘッジとして機能する点です。総務省「消費者物価指数(CPI)」は2025年10月時点で前年同月比2.6%上昇と発表され、物価上昇の流れは緩やかでも続いています。
物価が上がると、家賃相場も緩やかに連動する傾向があります。都心部のワンルーム賃料は、2020年比で平均5%程度の上昇を示しており、物価上昇を家賃収入に転嫁できる環境が整いつつあります。加えて、国土交通省の不動産価格指数(住宅)は2025年第2四半期まで15期連続で上昇しました。土地価格が長期的に下支えされると、保有資産の時価も上がりやすく、バランスシート上の純資産が膨らむ効果が期待できます。
円安局面では、海外資産の値上がりでインフレが加速しやすい反面、国内不動産は外貨建てで見た割安感から海外投資家の需要が高まりがちです。この需要増は流動性の向上につながり、出口戦略で売却益を狙う際の下支えとなります。実は、このダブルメリットが株式や投資信託のみで運用している場合には得られにくい点であり、年収1500万円以上の投資家がポートフォリオを多様化する大きな理由になります。
退職後のキャッシュフローと相続設計を同時に整える
実は、高収入層ほど退職後の年金と生活費のギャップが大きくなりやすいと言われます。厚生労働省「2024年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、標準報酬月額62万円を上限とする現行制度では、年収1500万円の方でも年金支給額は月額約28万円にとどまります。生活水準を維持するには追加のキャッシュフローが欠かせません。
不動産投資で形成した家賃収入は、ローン完済後に手取りを大きく増やします。例えば、利回り4.5%の都心区分マンションを4戸保有し、平均取得価格が総額1億2千万円の場合、ローン完済後には管理費や税金を差し引いても年間350万円前後の手取りが期待できます。この額は年金の不足分を補うだけでなく、旅行や教育費などゆとりある支出にも充てられます。
また、2024年の民法改正で法定相続情報一覧図のオンライン取得が全国で可能となり、2025年度は相続登記義務化の2年目にあたります。早期に登記を行うことで、相続人の負担が軽くなるのはもちろん、遺産分割で不動産を共有名義にするリスクも減らせます。相続税については、2025年度税制で基礎控除「3000万円+600万円×法定相続人」が維持されており、債務控除として残債を差し引ける仕組みも変わっていません。ローンが残るうちに相続が発生した場合でも、課税財産評価を下げられるため、相続税の圧縮に寄与します。
2025年度に活用できる制度と実務ポイント
ポイントは、現在使える制度を正しく把握し、期限内に手続きを済ませることです。まず、不動産所得が年間300万円以下の赤字であっても給与所得と損益通算できる仕組みは2025年度も有効です。税務署への届出は不要ですが、青色申告の承認申請書は3月15日までに提出する必要があります。
次に、固定資産税の軽減措置として、2025年度までは新築住宅に対する「固定資産税減額(3年間½)」が継続しています。区分マンションを新築で取得した場合、3年間は建物部分の評価が半分になるため、キャッシュフローの初期改善に役立ちます。ただし、1戸あたり120㎡までが対象である点に注意してください。
また、2025年12月31日までは「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税特例」が存続し、親からの資金援助を受けて投資用物件を取得する際にも適用可能です。非課税枠は最大1000万円(省エネ基準を満たす建物は1500万円)とされ、贈与税率が高い富裕層にとって資金移動のハードルを下げる貴重な制度となっています。
最後に、環境性能を高めた「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」は都市部での新築投資案件として注目されています。経済産業省の「2025年度ZEH支援事業」は、戸あたり最大70万円の補助金を予定しており、販売会社が申請主体となるケースが一般的です。取得価格を抑えながら高い入居需要を取り込めるため、長期運用での利回り向上が見込めます。
まとめ
年収1500万以上 不動産投資 メリットは、税負担の軽減、好条件での資金調達、インフレに強い資産形成、そして退職後や相続まで視野に入れたキャッシュフロー確保に集約されます。高収入ゆえの信用力を生かしつつ、2025年度の税制と各種制度を活用すれば、手残りの最大化とリスク管理を同時に進められます。まずは減価償却と損益通算の仕組みを理解し、青色申告の準備から着手することが第一歩です。行動を早めるほど、時間を味方に付けた資産形成が可能になります。
参考文献・出典
- 国税庁 – https://www.nta.go.jp
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 消費者物価指数 – https://www.stat.go.jp
- 厚生労働省 厚生年金事業の概況 – https://www.mhlw.go.jp
- 金融庁 金融モニタリング年次報告 – https://www.fsa.go.jp