不動産の税金

年収400万から始める不動産投資の始め方

年収400万円では投資なんて遠い世界だと感じていませんか。実は、自己資金と情報の集め方さえ工夫すれば、給与所得が400万円前後でも不動産投資を始めることは十分に可能です。本記事では「年収400万 不動産投資 始め方」という疑問を持つ方に向け、物件選びから資金計画、運営のコツまでを順序立てて解説します。読み終えるころには、無理なく一歩を踏み出すための具体的な手順がイメージできるはずです。

年収400万円でも不動産投資は可能か

年収400万円でも不動産投資は可能かのイメージ

まず押さえておきたいのは、年収400万円でも金融機関は融資を検討してくれるという事実です。国土交通省の「令和6年度(2024)住宅市場動向調査」によると、給与年収が400万円台の個人でも、年間1万件以上の投資用ローンが実行されています。また、地方銀行や信用金庫は、融資審査で「家賃収入を含めた返済負担率」を重視する傾向が強く、物件の収益力が高いほど審査は通りやすくなります。

一方で、自己資金ゼロで挑むのはリスクが大きいと言わざるを得ません。金融機関が求める自己資金は物件価格の10〜20%が目安とされ、修繕や空室に備えた予備費として物件価格の5%程度を別に確保しておくと安心です。つまり、2,000万円の中古マンションを購入する場合、最低でも300万円程度の現金を用意できると計画が立てやすくなります。

重要なのは、返済比率を30%以内に抑えるキャッシュフロー設計です。例えば、年間家賃収入が180万円、年間返済額が90万円なら返済比率は50%となり、安全圏とはいえません。同じ物件でも頭金を増やして借入額を1,200万円に抑えれば、年間返済額は約70万円となり返済比率は39%に下がります。家計に占める負担を可視化し、長期で持ちこたえられるラインを見極めましょう。

物件選びで押さえる三つの視点

物件選びで押さえる三つの視点のイメージ

ポイントは「立地・利回り・管理体制」を一体で考えることです。立地だけ良くても利回りが低ければ収益は伸びず、管理体制が弱ければ空室リスクが高まります。

まず立地については、駅から徒歩10分以内か、人口増加エリアにあることを優先してください。総務省の「地域別人口推計(2025年版)」によると、政令市の中心部では今後5年間で世帯数が2〜4%増える見込みです。賃貸需要が堅調なエリアを選べば、家賃を下げずに入居者を確保しやすくなります。

次に利回りですが、表面利回りだけにとらわれるのは危険です。修繕積立金や管理費、固定資産税を差し引いたネット利回りで6%以上を目標にすると、金利上昇や空室発生時にも耐えやすいといえます。たとえば表面利回り8%でも、共益費が高ければネット利回りは5%に落ち込みます。試算の際は物件資料に加え、管理会社から詳細なランニングコストを取り寄せると精度が上がります。

最後に管理体制です。入居者募集から退去手続き、クレーム対応まで任せられる管理会社を選ぶことで、会社員としての本業を犠牲にせずに済みます。全国賃貸管理ビジネス協会の調査では、管理委託物件の平均入居率は約94%と、自主管理物件より2ポイント高い水準です。管理費は家賃の3〜5%が相場ですが、空室リスクや時間的負担を考えれば充分にペイするといえるでしょう。

資金計画と融資のポイント

実は、年収400万円層が最初につまずくのは物件ではなく資金計画です。金融機関との交渉を有利に進めるためには、毎月の家計収支を整え、信用情報をクリーンに保つことが前提になります。

まず自己資金の準備ですが、ボーナスの積立とiDeCoやNISAの定期売却を組み合わせ、毎月5万円を投資用口座に積み上げる方法が堅実です。3年間で約180万円、ボーナスを合わせて300万円前後の資金が見えてきます。投資用ローンを組む際には、頭金が1割増えるだけで金利が0.2%下がるケースも珍しくありません。日本銀行「金融システムレポート(2025年4月)」によれば、個人向け投資用ローンの平均金利は変動で2.3%、固定10年で2.8%程度に落ち着いています。

融資審査では「返済負担率35%以内」「勤続年数3年以上」が一般的なラインです。ただし、家賃収入が加算されると返済率は下がるため、賃料査定書を事前に取得し、金融機関へ提出しましょう。さらに、2025年度税制では、合計所得1,000万円以下の給与所得者が取得する賃貸住宅に対して、青色申告特別控除65万円を適用できる制度が継続しています。帳簿を整え、翌年の確定申告で節税効果を実感できれば、キャッシュフローはさらに改善します。

最後に、固定か変動かという悩みがありますが、金利上昇リスクに備えるなら固定期間選択型がおすすめです。最初の10年を固定2.4%、以降変動に切り替えるといったプランなら、家賃収入で元本を早期に減らす戦略が立てやすくなります。金利比較サイトで複数行をピックアップし、仮審査を同時進行させると時間を節約できます。

賃貸経営を軌道に乗せる運営術

重要なのは、入居者を長期に引き留めるための「稼働率向上策」を実行することです。家賃を下げるよりも、内装とサービスで付加価値をつける方が長期的に高収益を保てます。

たとえば、入居者ニーズが高いインターネット無料設備は、月額1,500円程度のコストで家賃を3,000円上乗せできるケースがあり、実質利回りを押し上げます。また、照明をLEDに交換すれば光熱費が抑えられ、共用部電気代を管理組合と折半することでオーナーの支出はわずかに済みます。国土交通省「賃貸住宅市場概況(2025年版)」でも、省エネ対応物件は空室期間が平均1.1か月短いというデータがあります。

入居後のフォローも欠かせません。退去連絡からリフォーム見積もり、募集開始までの期間を7日以内に収めると、年間稼働率が3%改善するといわれます。管理会社とチャットツールで即時共有し、原状回復工事をパッケージ化するなど、スピード感を重視すると効率が高まります。

一方で、確定申告や税務管理を怠ると利益が目減りします。青色申告ソフトを導入し、月次で損益を把握する習慣をつけてください。帳簿が整えば、金融機関へ追加融資を打診する際の説得材料にもなります。毎年1月に固定資産税の通知が届いたら、即座に経費計上するなど、ルーティン化することで時間と労力を節約できます。

リスク管理と出口戦略

まず押さえておきたいのは、リスクをゼロにするのではなく「コントロール可能な範囲に収める」ことです。空室、家賃下落、自然災害の三つが代表的な不安要素ですが、それぞれに対策が存在します。

空室リスクには、家賃保証保険の活用が有効です。保険料は家賃の約3%ですが、空室期間6か月まで家賃を補填してくれるプランもあります。家賃下落に対しては、定期的なリフォームで築年数を感じさせない工夫が欠かせません。壁紙と床材を同時に刷新すると物件の印象が大きく変わり、平均3,000円の家賃アップにつながる事例もあります。

災害リスクには、火災保険と地震保険をセットで加入することが基本です。2024年の保険料改定で地震保険料が平均0.9%値下げされ、加入コストは下がりました。耐震診断を受け、耐震等級が確認できれば保険料がさらに割引になる場合もあります。高台やハザードマップで浸水リスクが低い地域を選ぶのもリスクヘッジの一環です。

出口戦略としては、保有5年以内の短期売却か、20年以上の長期保有かで税率が大きく変わります。国税庁「譲渡所得の長期・短期区分」によれば、所有5年超で売却すると税率は約20%、5年以下では約40%です。キャピタルゲインを狙うなら、取得後6年目以降を念頭に売却計画を立てると納税負担を軽くできます。退職金が入る60歳前後に一棟売却し、次の投資に回すというライフプランも選択肢の一つでしょう。

まとめ

ここまで、年収400万円でも無理なく不動産投資を始めるためのステップを解説してきました。大切なのは、自己資金と返済比率をコントロールし、収益性の高い物件を選んだうえで、管理とリスクヘッジを仕組み化することです。着実にキャッシュフローを積み上げれば、数年後には追加投資やライフプランの選択肢が広がります。まずは家計の見直しと情報収集からスタートし、小さな一歩を今日踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅局「令和6年度 住宅市場動向調査」 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行「金融システムレポート 2025年4月」 – https://www.boj.or.jp
  • 総務省統計局「地域別人口推計(2025年版)」 – https://www.stat.go.jp
  • 全国賃貸管理ビジネス協会「賃貸管理業実態調査2025」 – https://www.chinkan.or.jp
  • 国税庁「譲渡所得の長期・短期区分」 – https://www.nta.go.jp
  • 国土交通省「賃貸住宅市場概況 2025年版」 – https://www.mlit.go.jp

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