不動産の税金

東京 ワンルーム投資で失敗しない5つの視点

東京都心でワンルームマンションに投資すべきか迷っている人は多いはずです。家賃が高い一方で物件価格も伸びており、「今から買っても本当に儲かるのか」という不安は尽きません。本記事では、家賃相場の動向や金融機関の最新融資姿勢、2025年度の税制までを整理し、初心者でも納得して一歩を踏み出せる情報をまとめます。読み終えるころには、自分に合った投資判断を下すための基準が見えてくるでしょう。

今なぜ東京のワンルームが注目されるのか

今なぜ東京のワンルームが注目されるのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、東京の人口動態と賃貸需要が依然として堅調な点です。東京都総務局の推計では、23区の単身世帯数は2025年末時点で約335万世帯に達し、2015年比で10%増えています。背景には転職の自由度向上や晩婚化があり、この傾向は当面続くと考えられます。

一方で新築ワンルームの供給は厳しく制限されています。2019年に改正された条例により、30㎡未満の住戸を一定数以上含む開発は、同面積以上のファミリー向け住戸を併設しなければならなくなりました。その結果、23区内のワンルーム着工戸数はピーク時の半分以下となり、希少性がじわりと高まっています。

家賃水準も堅調です。民間調査会社の2025年8月レポートによると、山手線内の平均募集賃料は前年同月比で3.2%上昇し、コロナ禍前の水準を上回りました。つまり、需給バランスの観点から東京 ワンルーム投資は依然として着目に値します。ただし物件価格も上がっているため、次章以降で利回りやキャッシュフローを丁寧に検証する必要があります。

収益を左右する家賃相場と空室リスク

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ポイントは、家賃が下がりにくいエリアを選び、空室期間を最小限に抑えることです。山手線内側と東京メトロ主要駅から徒歩5分圏は依然として成約スピードが速く、2025年上期の平均空室期間は31日にとどまっています。一方、最寄り駅徒歩10分超の築20年以上物件では、空室期間が60日を超える事例も散見されます。

つまり、同じワンルームでも立地と築年数によって稼働率は大きく変わります。表面利回りが高い郊外駅徒歩15分の物件は数字だけ見ると魅力的ですが、長期的な空室リスクを含めると手残りは縮小しがちです。加えて、リノベーション費用が積み重なれば、想定利回りとの差が開きます。

また、入居者層の変化にも注意が必要です。テレワークの浸透で「駅距離より室内面積」を重視する層が増え、25㎡前後の広めのワンルームが選ばれやすくなっています。投資家としては、築浅かつ25㎡以上の部屋にターゲットを絞ることで将来の賃料下落リスクを抑えられるでしょう。

利回り計算とキャッシュフローの落とし穴

重要なのは、表面利回りだけに頼らず、運営費を加味した実質利回りを算出することです。管理費と修繕積立金は月額1万円前後が一般的ですが、築20年超では1.5万円を超えるケースもあります。この差だけで年間数万円のキャッシュフローが変わるため、購入前に管理組合の長期修繕計画を確認すると安心です。

さらに、固定資産税と都市計画税は23区内で年間6万〜12万円が目安です。税額は評価額に連動するため、築年数が浅い物件ほど高めになります。加えて、仲介手数料や登記費用など初期コストも忘れずに織り込むと、購入初年度の実質利回りは表示より0.5〜1.0ポイント低下することが多いです。

資金計画を立てる際は、空室率5%アップ、金利1%上昇といった厳しめのシナリオでシミュレーションすると失敗を避けやすくなります。例えば、購入価格2,800万円、家賃10万円、借入金利2%・35年返済の場合、空室率15%かつ金利3%でも手取りが黒字になる物件を選べば、景気変動に強いポートフォリオが作れます。

2025年度の税制と融資を味方に付ける方法

まず、投資用マンションは住宅ローン控除の対象外ですが、減価償却費を経費計上できる点が魅力です。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年で、築10年なら残り37年を均等に償却できます。これにより、所得税と住民税の負担を抑えながらキャッシュを温存する戦略が現実的になります。

2025年度の改正点として、中古住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置が1年延長され、個人投資家でも建物部分の税率が1.5%から0.3%に下がる場合があります。対象となるのは築25年以内で一定の耐震基準を満たす住戸に限られるため、購入前に登記簿と耐震基準適合証明書を確認しましょう。

融資環境も追い風です。メガバンクはワンルーム投資に慎重ですが、都内地銀や信用金庫では2025年時点で年2.2〜2.8%の長期固定金利商品を提供しています。自己資金を2割以上入れれば、金利が0.3ポイント低減されるケースもあり、総返済額を大きく抑えられます。加えて、賃料収入の70%を返済原資として見なす金融機関が増えており、会社員でも属性次第で複数戸を保有しやすいのが現状です。

成功する物件選びのチェックポイント

実は、優良物件はインターネットに掲載される前に成約することが少なくありません。そのため、信頼できる管理会社や仲介会社と早めに関係を築き、レインズ登録前の情報を得る努力が欠かせません。特に管理に強い会社は、家賃設定や入居者対応も一気通貫で任せられるため、長期的な収益が安定しやすくなります。

物件を見る際は、建物の共用部と管理状況に注目しましょう。郵便受けにチラシが散乱していたり、照明が切れたまま放置されているマンションは、入居者の質も下がりやすく、将来的なトラブルの火種になります。また、修繕積立金が月額5,000円以下の場合、将来の大規模修繕で一時金が必要になることがあるため避けた方が無難です。

最後に、出口戦略も忘れてはいけません。築20年を超えると価格が安定し、賃料とのバランスが取れた「利回り型」になりますが、築30年を超えると管理費や修繕積立金が急増し始めます。購入から10〜12年で次の投資家へ売却する計画を立てておけば、資産価値を維持しながらキャピタルゲインも狙えるでしょう。

まとめ

東京 ワンルーム投資で大切なのは、賃貸需要と供給規制という構造的な強みを理解したうえで、キャッシュフローの精緻な計算と出口戦略を描くことです。家賃相場や税制、融資条件といった外部要因は年々変化しますが、立地と管理品質を妥協しなければ長期的なリターンは安定します。投資判断を下す前に、実質利回りと空室リスクを保守的に試算し、専門家にセカンドオピニオンを求める行動が、将来の後悔を防ぐ近道となるでしょう。

参考文献・出典

  • 東京都総務局統計部 — https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp
  • 国土交通省 住宅着工統計 — https://www.mlit.go.jp
  • 日本不動産研究所 市場動向レポート — https://www.reinet.or.jp
  • 東京都 不動産規制条例資料 — https://www.metro.tokyo.lg.jp
  • 財務省 税制改正大綱(2025年度) — https://www.mof.go.jp

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