年収500万円前後でアパート経営を検討すると、「本当に融資が通るのか」「失敗したら家計はどうなるか」と不安が尽きません。特にインターネット上には成功談とともに破綻例も溢れ、何を信じればよいのか迷う方が多いでしょう。本記事では、年収500万の会社員が直面しやすいリスクとその回避策を、2025年時点の最新データを交えながら具体的に解説します。読み終える頃には、ご自身の条件で投資を始めるべきかどうか、判断材料が手に入るはずです。
年収500万円でも融資は受けられるのか

まず押さえておきたいのは、融資審査で重視されるのは年収だけではないという点です。金融機関は勤続年数、自己資金割合、既存の借入状況を総合的に評価し、返済能力を測ります。国土交通省の「住宅ローン利用状況調査」によると、2025年上期に投資用ローンを新規で組んだ個人の平均年収は613万円でした。つまり年収500万円でも、自己資金や物件の収益性が高ければ十分に融資対象となります。
実は、借入額の目安として「年収の7〜8倍」が一つの基準とされています。年収500万円なら最大4000万円程度までが安全圏ですが、ここに管理費や修繕積立金などのランニングコストを含めてシミュレーションすることが不可欠です。さらに、融資金利が1%変わるだけで30年総返済額は数百万円単位で動くため、複数行を比較し固定か変動かを慎重に選びましょう。
最後に、自己資金は物件価格の20%程度を目標にすることで、金利優遇や返済期間の柔軟性を得やすくなります。手元に余力を残すと、突発的な修繕でも心理的な負担が少なく、事業継続の安心感が違います。
キャッシュフローを左右する三大コスト

ポイントは、表面利回りだけでなく実質利回りに目を向けることです。実質利回りは家賃収入から諸費用を差し引き、投下資本で割った数字で、手残りを測る現実的な指標になります。
まず、管理委託料は入居者募集と家賃集金を外部に任せる際に発生します。一般的に家賃の3〜5%が相場ですが、入居率保証を付けると7%を超えることも珍しくありません。次に、修繕費は築年数とともに増加します。国交省「民間賃貸住宅の維持管理実態調査」では、築20年超の木造アパートで年間家賃収入の15%前後が修繕に消えています。
さらに見落とされやすいのが税金です。固定資産税・都市計画税は毎年1月1日の所有者に課税され、土地評価額が上がると税額も上昇します。2024年に地価が上がった首都圏の一部では、前年より10%以上税負担が増えた事例も出ています。これら三大コストを合算すると、家賃収入の25〜30%が消える計算になり、手元のキャッシュフローに直結します。
空室リスクを減らすエリア分析の方法
重要なのは、全国平均ではなく「駅徒歩」「人口動態」「競合状況」という3層のデータでエリアを読み解くことです。2025年10月の全国アパート空室率は21.2%(前年比−0.3%)ですが、都心5区の駅徒歩5分圏は10%台前半、郊外のバス便エリアは30%超と二極化しています。
まず、駅距離は家賃設定に直結します。徒歩10分を境に平均2割家賃が下がるとの調査結果もあり、空室期間も長くなる傾向です。また、総務省の地域人口推計を確認し、15〜44歳人口が今後5年以上増える見込みの市区町村に限定するだけでも空室リスクは大幅に軽減されます。
競合状況の把握には、近隣の築浅アパートの募集賃料と成約スピードを必ずチェックしましょう。ポータルサイト上で常に掲載されている物件が多いエリアは供給過多のサインです。反対に、新着情報がすぐ消えるエリアは需要が強く、家賃下落耐性も高いと考えられます。このように多層的に分析すると、数字で空室リスクを判断でき、感情的な判断ミスを防げます。
レバレッジと破綻リスクのバランス
実は、融資を活用したレバレッジ効果はアパート経営の醍醐味ですが、同時に最大のリスク源でもあります。自己資金を少なくすれば利回りは高く見えますが、月々の返済が増え、1%の空室率上昇でもキャッシュフローが赤字に転落することがあります。
たとえば、表面利回り8%、融資比率90%、金利2.0%、返済期間25年のモデルケースでは、空室率が5%から15%に上がると年間手残りはプラス50万円からマイナス20万円へ急降下します。一方、自己資金30%、同条件で計算すると、空室率15%でも手残りがプラス11万円で踏みとどまります。つまり、レバレッジは「諸刃の剣」であり、許容できるローン比率は家計の余力と投資家のリスク許容度で決めるべきです。
加えて、変動金利を選ぶ場合は金利上昇耐性を検証します。日本銀行の金融政策は緩和基調を維持していますが、2025年4月の政策修正以降、長期金利はわずかに上昇傾向です。返済シミュレーションでは「金利+1.5%」のストレス条件にも耐えられるか確認し、難しければ固定金利や期間固定型を選択しましょう。
2025年度の税制と補助を味方にするには
まず、2025年度の不動産取得税軽減措置は新築賃貸住宅にも条件付きで適用される点を知っておくと有利です。具体的には、床面積40〜240㎡で耐震基準を満たすアパートを取得した場合、固定資産税評価額から最大1,200万円が控除されます。適用期限は2026年3月31日取得分までの予定で、建築スケジュールを逆算する必要があります。
一方で、賃貸住宅向けの補助金として「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が2025年度も継続しています。賃貸併用住宅を含む改修で、省エネ・耐震工事を行う場合、工事費の1/3(上限200万円)の補助が受けられます。これにより大規模修繕の資金負担を抑えつつ、入居者募集で「断熱性能」「耐震性能」をアピールでき、空室対策にも直結します。
さらに、青色申告特別控除65万円を活用すれば所得税の節税効果が期待できます。帳簿付けは手間ですが、クラウド会計ソフトを使えば家賃入金と経費支払を自動仕訳できるため、初心者でもハードルは下がっています。節税を前提に投資するのではなく、「利益を残す仕組みの一部」として税制を上手に使う視点が重要です。
まとめ
ここまで、年収500万の会社員がアパート経営で直面しやすい融資、コスト、空室、金利、税制の各リスクを見てきました。重要なのは、数字を根拠にレバレッジの度合いと物件選定を最適化し、家計の安全帯を確保することです。そのうえで2025年度に有効な税制や補助金を組み合わせれば、リスクをコントロールしながら安定収益を狙えます。まずは収支シミュレーションを保守的に作成し、家賃が2割下がっても耐えられるラインを見極めてください。それが、継続的にキャッシュフローを生み出すアパート経営への第一歩になります。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅ローン利用状況調査(2025年版) – https://www.mlit.go.jp
- 国土交通省 住宅統計調査(空室率データ2025年10月) – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 人口推計(2024年10月確定値) – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合議事要旨(2025年4月) – https://www.boj.or.jp
- 国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業 2025年度概要 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku