投資用マンションを購入した友人が「ローンの元は何年で回収できるのだろう」と悩んでいる、そんな場面に遭遇したことはありませんか。ローン返済額と家賃収入を比べるだけでは、本当の回収時期は見えてきません。空室や修繕費まで含めたキャッシュフローを考える必要があるからです。本記事では「不動産ローン 何年で元が取れる」という疑問に焦点を当て、2025年時点の金利水準と実例を用いながら、計算方法とリスク管理のコツをわかりやすく解説します。読み終えるころには、自分の物件が何年で投資額を回収できるかを自分でシミュレーションできるようになります。
元が取れるとは何を指すのか

重要なのは「元が取れる」をどう定義するかを最初に明確にすることです。一般的には自己資金とローン返済総額を合計した投下資本を、家賃収入から得られるキャッシュフローで回収した時点を指します。
まず、手出しの自己資金だけを回収目標にする人もいますが、実際にはローンの利息も費用の一部です。つまり、投資判断を誤らないためには返済元本と利息を合わせた総負担額を基準にすべきだといえます。また、確定申告での減価償却や損益通算による節税効果を加味するかどうかで「元が取れる年数」が変わる点も見逃せません。
一方で、売却益まで含めて考えるケースもあります。将来の価格上昇は予測が難しいため、この記事では運用期間中のキャッシュフローだけで回収する「インカム重視型」の目安を採用します。そのうえで、売却益が出ればプラスアルファの利益と考えると、より保守的なプランになります。
要するに、元を取る基準を決めること自体がリスク管理の第一歩です。基準がぶれなければ、途中で金利や空室率が変動しても判断を誤りにくくなります。
返済期間とキャッシュフローの関係

ポイントは、返済期間を短くするほど総利息が減る一方、月々の返済額が増えて手元に残るキャッシュが小さくなることです。逆に返済期間を延ばすと月々の収支は楽になりますが、トータルの利息負担が増え、回収年数が長引く傾向があります。
たとえば、3,000万円のワンルームを自己資金600万円、残りを2.0%の変動金利で借り入れた場合を考えましょう。返済期間20年なら月約15万円を返し、総利息は約600万円です。一方30年返済にすると月11万円まで下がるものの、総利息は約1,000万円に膨らみます。家賃収入が月13万円なら、20年返済では当初から2万円の持ち出しが必要ですが、30年返済なら2万円の黒字です。この差が「元を取る年数」に大きく影響します。
さらに、空室率を年10%、運営費を家賃収入の15%と仮定すると、実質的な可処分キャッシュはもっと小さくなります。全国銀行協会によると、2025年12月時点の投資用ローン変動金利は平均1.8%ですが、金利上昇リスクを見込んで2.5%で試算しておくと安心です。つまり、返済期間と金利設定を保守的に見ることで、後の資金繰りに余裕を持たせられます。
シミュレーションで押さえるべき4つの数値
まず押さえておきたいのは、以下の四つだけで回収年数の目安が作れるという点です。
- 年間家賃収入
- 年間返済額(元利合計)
- 年間運営コスト(管理費・修繕積立・固定資産税など)
- 空室および家賃下落を加味した調整率
最初に年間家賃収入を算出し、管理費や保険など固定費を差し引きます。次に、空室率10%、家賃下落率1%をかけ合わせた「調整率0.89」を乗じると、より現実的な手取り額が得られます。ここから年間返済額を引けば、年間キャッシュフローが算出できます。
たとえば年間家賃156万円、運営コスト30万円の場合、調整後の手取りは112万円です。年間返済額が132万円なら差額はマイナス20万円になります。この赤字を毎年自己資金で補填しつつ、利息を含む返済が終わった時点でプラス転換します。元本完済後は家賃が丸ごと手取りになるため、そこから黒字累積が自己資金を追い越すタイミングで「元が取れる」わけです。
国土交通省の「不動産価格指数」によれば、都心ワンルームの平均家賃は過去5年間で年0.5%上昇していますが、人口動態を考えると将来も上昇が続く保証はありません。こうしたデータを踏まえ、家賃は上がらない前提でシミュレーションするのが安全です。
2025年度の実質利回り目安
実は、多くの投資家が表面利回りだけを見て判断しがちですが、回収年数を語るうえでは実質利回りが欠かせません。実質利回りとは、運営コストと空室リスクを差し引いた後の手取りを物件価格で割った指標です。
2025年度の首都圏ワンルームの表面利回り平均は4.5%前後ですが、運営コスト15%、空室率10%を差し引くと実質利回りは3.0%程度に下がります。投下資本を3,000万円とすると、年間手取りは約90万円です。単純計算では33年で元本が回収できるものの、ローン返済が進むにつれてキャッシュフローが改善し、実際の回収年数は25年前後になるケースが多い、というのが筆者の経験則です。
一方で、地方中核都市の築浅アパートは表面利回り7%台も散見されます。ただし、人口減少で家賃が下落するリスクが高いため、実質利回りは4%程度に留まることが多く、回収年数は都心物件と大差ないという結果になりやすいです。つまり、高利回りをうのみにせず、必ず実質ベースで比較することが求められます。
日本銀行の統計では、2025年のコアCPIは前年比2.1%上昇と予測されています。インフレが続けば家賃上昇もあり得ますが、同時に金利上昇も起こり得るためプラスマイナスは相殺されがちです。インフレヘッジとして不動産を持つ場合でも、シミュレーションは現在の家賃水準と金利に数%の悪化シナリオを乗せるだけで十分といえます。
元を取るためのリスク管理術
ポイントは、不確実な要素を「避ける」のではなく「織り込む」ことにあります。空室リスクをゼロにすることは不可能ですが、長期保証付きのサブリースに依存しすぎると家賃が下方改定される恐れがあるため、あくまで最後の補完策として把握しておく姿勢が大切です。
まず、人口動向や再開発計画などのハードデータを確認し、将来需要が見込めるエリアに絞り込みます。次に、管理会社の選定に時間をかけ、入居率や家賃の査定根拠を具体的にヒアリングしましょう。ここを怠ると、想定より空室期間が伸び、回収年数が大幅に後ずれします。
さらに、修繕積立の不足は突発的に大きな出費を招きます。早い段階から月1万円でも積み立てておけば、10年後に外壁工事が必要になっても対応可能です。こうした準備は数字上の回収年数を延ばすように見えますが、実際には赤字リスクを減らすことで計画を守る効果があります。
最後に、ローン契約時に固定と変動を組み合わせる「ミックス金利」も検討してみてください。変動部分で金利が上がった場合に固定部分がクッションとなり、キャッシュフローの急激な悪化を抑えられます。リスクを最初から織り込めば、「結論として」計画どおり元が取れる可能性は大きく高まります。
まとめ
ここまで、不動産ローンは何年で元が取れるのかを検証するための視点と計算手順を解説しました。まず、投下資本の定義を明確にし、返済期間とキャッシュフローのバランスを理解することが第一歩です。次に、家賃収入・返済額・運営コスト・調整率の四つの数値を用いれば、誰でも簡易シミュレーションが可能です。2025年の実質利回りは都心で3%前後が目安となり、堅実な計画なら25年程度で回収できるケースが多いこともわかりました。ぜひ本記事を参考に、保守的な前提でシミュレーションを行い、自分だけの「何年で元が取れるか」を算出してみてください。行動に移すことで、不動産投資は数字から味方してくれるはずです。
参考文献・出典
- 全国銀行協会 – https://www.zenginkyo.or.jp
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 マネタリーベース統計 – https://www.boj.or.jp
- 東日本不動産流通機構 レインズマーケットインフォメーション – https://www.reins.or.jp