年収は十分でも、銀行預金だけではお金が増えない――そんな悩みを抱える方は少なくありません。投資信託や株も考えたものの、値動きが激しく不安定だと感じていませんか。実は、安定収益と節税を同時にねらえる手段としてアパート経営があります。本記事では、年収1000万クラスの会社員や医師、士業の方がアパート経営に挑戦するメリットと注意点を、最新データを交えて分かりやすく解説します。読み終えるころには、物件選びから融資交渉、リスク管理まで一連の流れがつかめるはずです。
アパート経営が年収1000万の人に向く理由

まず押さえておきたいのは、年収1000万の層は金融機関からの信頼が高く、融資条件が有利になりやすい点です。月々のキャッシュフロー(実際に手元に残る現金)が黒字化しやすく、自己資金を効率よくレバレッジに生かせます。また、高所得者にとって所得税と住民税の負担は大きく、減価償却をはじめとする経費計上による節税効果が家計に与えるインパクトは見逃せません。
一方で、給与収入が安定しているからこそ「副業リスク」を抑えたい気持ちもあるでしょう。アパート経営は、管理会社を上手に活用すれば手間を最小限に抑えながら長期収益を目指せます。国土交通省の住宅統計によると、2025年10月時点の全国アパート空室率は21.2%で前年より0.3ポイント改善しました。適切な立地と運営を選べば、いまも十分勝算があることがわかります。
重要なのは、手元資金を「何に」「どれだけ」投入するかです。年収1000万クラスの場合、生活防衛資金を差し引いても500〜1000万円程度の投資余力があるケースが多いでしょう。この資金を頭金に回し、残りを金融機関から低金利で調達することで、自己資金比率を抑えつつ年間家賃収入800〜1200万円規模を狙うシナリオが現実味を帯びます。
初期資金と融資戦略を組み立てる

ポイントは、自己資金を三つに分けることです。第一に購入時の頭金、第二に諸費用、第三に運転資金(修繕・空室期間の備え)を確保します。頭金は物件価格の20〜30%が目安で、諸費用は7〜10%を見込むと不足しにくいです。運転資金として家賃収入の半年分程度をプールしておくと、突発的な空室や設備交換にも慌てずに済みます。
融資交渉では、返済比率と金利タイプが生命線になります。例えば物件価格7000万円、自己資金2000万円、融資5000万円を金利1.5%、期間30年で借りた場合、元利均等返済は月17万円前後です。家賃収入が月55万円、運営費率35%とすると、手元には月19万円ほど残る計算になります。返済比率(返済額÷家賃収入)は31%となり、金融機関が好む40%以下の基準をクリアできます。
また、年収1000万層は複数行から同時に事前審査を取り、金利と融資期間を比較する余裕があります。変動金利は1%台前半が主流ですが、長期固定でも1%台後半が提示される事例が増えています。金利上昇リスクを抑えたい場合は、期間固定や全期間固定を織り交ぜるハイブリッド型も検討すると安心です。
最後に、団体信用生命保険(団信)の特約を忘れてはいけません。疾病保障付き団信を選べば、万が一の際に残債がゼロになり、家族へ無借金の収益物件を残せます。保険料相当の金利上乗せは年0.1〜0.3%が一般的ですが、高所得者にとってはリスクヘッジの価値が勝ります。
収益を左右する物件選び
実は、物件選びで失敗しないためには「賃貸需要の源」を見極める視点が欠かせません。都心駅近は空室リスクが低い一方、利回りは5%前後にとどまります。郊外や地方中核都市は利回り7〜9%も期待できますが、人口減少や市況変動の影響を受けやすい点に注意が必要です。
具体的には、単身世帯が多いエリアでは1Kや1Rの需要が安定しています。国勢調査によると、2025年の単身世帯比率は全国平均で38%に達し、都心部では50%を超える区もあります。こうした地域で築15年前後の木造アパートをフルリフォームし、家賃設定を市場相場の5%下に抑える戦略は空室対策に有効です。
一方、ファミリー向け需要が根強いエリアでは2LDK以上の間取りが好まれます。自治体が子育て支援に積極的な場合、入居期間が長く、家賃下落も緩やかです。例えば埼玉県のある市では、2025年度も子育て世帯向け家賃補助が継続されており、ファミリー層の転入が増えています。このような地域では、築20年以上でも室内設備を最新化すれば競争力を保てます。
最後に、物件の設備と管理体制をチェックしましょう。インターネット無料、宅配ボックス、防犯カメラはもはや標準装備になりつつあります。加えて、24時間駆けつけサービスを導入するとクレーム対応が減り、オーナーの負担も軽くなります。管理会社の評判や修繕計画の提案力を確認することが、長期安定経営の鍵です。
リスク管理と出口戦略
基本的に、アパート経営のリスクは四つに集約できます。空室、家賃下落、修繕コスト、そして金利上昇です。空室と家賃下落は立地と管理でコントロールし、修繕コストは長期修繕計画と積立で平準化します。また、金利上昇は固定金利や短期借り換えを組み合わせることで影響を抑えられます。
空室リスクを数字で把握するために、購入前に「損益分岐入居率」を試算しておきましょう。先ほどの事例で月家賃が55万円、支出が合計36万円だとすると、入居率65%でやっと赤字を免れます。この数字が80%を超える物件は、余裕が少なく危険度が高いと判断できます。
出口戦略も早い段階から考えておくと安心です。築25年を超えた木造アパートは、土地値+建物残価が売却価格のベースになります。近隣で新築ラッシュが始まる兆しが見えたら、早めに売却査定を取り、市況が悪化する前に出口を取る判断が現実的です。一方で、相続を想定する場合は、建物評価が低くなる分、相続税評価額を圧縮できるメリットもあります。
さらに、地震や風水害への備えとして、耐震基準適合証明や水災補償付き火災保険の加入を検討してください。2025年1月以降、保険料は全国平均で約4%上昇しましたが、高額所得者にとっては安定収益を守る保険料と割り切るべきです。
2025年度の税制優遇と活用法
重要なのは、現行の税制を正しく理解し、グレーな節税に手を出さないことです。個人が木造アパートを取得した場合、建物本体は4年定額法で減価償却できます。2025年度もこのルールは継続しており、家賃収入から毎年大きな償却費を引けるため、課税所得を圧縮できます。
また、住宅取得等資金の贈与税非課税措置は2025年12月まで延長され、最大1000万円(省エネ住宅は1500万円)まで非課税です。親や祖父母から頭金の援助を受ける場合に活用すれば、自己資金比率を高めながら贈与税を回避できます。ただし、適用要件として工事完了期限や登記時期が定められているため、必ず税理士に確認しましょう。
設備投資では、「中小企業経営強化税制」を個人事業として活用すると、一定の省エネ設備を取得した年に即時償却か税額控除を選択できます。2025年度もアパートの共同住宅用太陽光発電や高効率給湯器が対象です。初年度に大きな経費を計上し、所得税を節約できるため、課税最高税率33%の年収1000万層には有利に働きます。
加えて、ふるさと納税の控除上限が高い点も見逃せません。アパート経営で節税したうえで、控除枠を最大限利用することで、実質負担2000円で地域特産品を受け取れます。税制優遇を多面的に使いこなすことで、手取りベースのキャッシュフローをさらに高められるのです。
まとめ
本記事では、年収1000万の方がアパート経営に挑戦する際の資金計画、物件選び、リスク管理、そして2025年度の税制優遇までを解説しました。要するに、高所得者の信用力とキャッシュフローを最大化する融資戦略を軸に、需要のある立地で競争力の高い物件を取得し、長期安定経営を図ることが成功への近道です。まずは自己資金の配分と金融機関の比較から着手し、信頼できる管理会社とチームを組むことをおすすめします。堅実な計画と最新制度の活用で、あなたの不動産ポートフォリオは着実に拡大するでしょう。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅市場動向調査2025年版 – https://www.mlit.go.jp/
- 総務省 国勢調査2025速報 – https://www.stat.go.jp/
- 財務省 税制改正大綱2025年度 – https://www.mof.go.jp/
- 日本政策金融公庫 融資事例集2025 – https://www.jfc.go.jp/
- 気象庁 保険料率改定に関する気候リスク報告2025 – https://www.jma.go.jp/