不動産投資に興味はあっても、「まとまった資金がないから無理」と感じていないでしょうか。実は、収益物件は数十万円の自己資金からでも始められるケースがあります。本記事では、収益物件を購入する際の費用構成を整理し、必要な自己資金の目安や小規模投資の選択肢まで丁寧に解説します。さらに、最新の市場データを用いてリスク管理の考え方を示すので、読み終えたころには自分に合ったスタートラインが見えてくるはずです。
収益物件の初期費用を構成するもの

まず押さえておきたいのは、物件価格以外にも多様な費用が発生する点です。これを理解しないと、後で資金繰りに詰まるリスクが高まります。
登記費用や仲介手数料、火災保険料などは、購入時に必ず必要となる諸費用です。一般的には物件価格の約6〜8%が目安とされます。また、賃貸経営を始めるための設備投資や簡単なリフォーム費用も考慮する必要があります。例えば、国土交通省「賃貸住宅市場の実態調査」では、単身者向けワンルームの平均リフォーム費用は30万〜50万円と報告されています。
さらに、金融機関から融資を受ける場合は、保証料や事務手数料も発生します。金利が低く見えても、一括前払いの保証料が高額になるケースがあるため、年利換算して総コストを把握する姿勢が欠かせません。つまり、購入総額=物件価格+諸費用+改装費+融資関連費用となり、これを基に自己資金を逆算する流れが基本です。
自己資金はいくら必要か

ポイントは、「自己資金=頭金+当面の運転資金」で考えることです。頭金だけで満足すると、想定外の修繕や空室に耐えられません。
住宅ローンと異なり、賃貸用物件では金融機関が2〜3割の自己資金を求めるのが一般的です。仮に1,500万円の区分マンションを購入する場合、頭金として300万〜450万円が必要となります。加えて、空室が続いた際のキャッシュフローを支えるため、家賃収入の3〜6か月分を運転資金として確保しておくと安心です。月6万円の家賃なら18万〜36万円が目安になります。
一方で、昨今はフルローンやオーバーローン(諸費用まで含む融資)を扱うノンバンクも増えています。しかし、金利が年4%を超えるケースも多く、利回りが高くなければ手取りが減少する点に注意が必要です。2025年時点の民間金融機関平均金利(国土交通省「民間住宅ローン実態調査」)は年2.3%前後で推移しており、これを大きく上回る提案は慎重に検討する必要があります。
小規模投資の選択肢と実例
実は、数十万円の自己資金でも収益物件に近い投資を始める方法があります。小口化商品を活用すれば、経験を積みながら資金を増やすことが可能です。
まず、クラウドファンディング型不動産投資は1口1万円から参加できる案件もあり、平均利回りは年4〜6%が多いです。元本保証はないものの、案件ごとに運用期間が決まっているため、比較的出口戦略を描きやすい点が魅力と言えます。また、上場不動産投資信託(J-REIT)は証券口座から数万円で購入でき、分配金利回りは年3〜4%台が中心です。東京証券取引所のデータでは、2025年の平均分配金利回りは3.7%となっており、株式より値動きが穏やかな傾向が見られます。
さらに、資金を貯めつつ現物投資の勉強を進めたい場合、築古アパートの1室を現金購入する手段もあります。地方都市では200万円台の物件が散見され、表面利回りが15%を超える例も珍しくありません。ただし、キャッシュで買える価格帯ほど修繕リスクが大きく、構造や設備の状態を専門家にチェックしてもらうことが前提となります。
資金調達と融資のポイント
重要なのは、融資条件と返済期間がキャッシュフローに与える影響を理解することです。金利がわずかに違うだけでも、長期では収益を大きく左右します。
金融機関は物件の収益力だけでなく、借り手の属性も大きく評価します。年収が500万円を超えると、都市銀行での融資審査が通りやすくなる傾向がありますが、地元信用金庫や地方銀行は家賃収入を上乗せ評価してくれる場合があります。自己資金を2割以上用意できれば、金利を0.2〜0.3%下げてもらえる交渉余地が生まれることも多いです。
返済期間は長いほど月々の支払いが減り、キャッシュフローが安定します。ただし、35年ローンを組むと完済時年齢が高くなり、追加融資のチャンスが減る可能性がある点には留意すべきです。一方で、20年ローンなら返済総額が少なくなり、売却時の残債も圧縮できます。シミュレーションでは、金利2.0%、借入1,200万円の場合、20年返済と30年返済で総返済額に約170万円の差が生じる計算です。
ポイントは、複数の金融機関に事前相談を行い、見積もりを比較することです。2025年度はオンライン面談に対応する銀行が増え、地方に住む投資家でも都市銀行のローンにアクセスしやすくなっています。つまり、時間をかけた情報収集が、結果的に返済負担を大幅に減らす近道となります。
スタート時に注意すべきリスク管理
まず押さえておきたいのは、初期費用を抑えることとリスクを抑えることは同義ではない点です。安さだけを追うと、思わぬ修繕費が利益を圧迫します。
空室リスクを減らす方法として、エリアの人口動態を確認することが欠かせません。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、2024年から2025年にかけて都心5区の転入超過は前年比1.4%増でしたが、郊外ベッドタウンの一部では転出超過が続いています。数字を読み解くと、単身者向け物件は都心に需要が集中しやすく、ファミリー向けは学区や生活インフラの質が明暗を分けることが分かります。
また、修繕積立の見通しを甘く見るとキャッシュアウトが突然訪れます。築20年超のRCマンションでは、エレベーター更新だけで200万円以上かかるケースが少なくありません。購入前に管理組合の長期修繕計画を確認し、積立金が不足していないかチェックしましょう。さらに、火災保険は補償範囲が広いプランを選ぶことで、突発的な水漏れや自然災害に備えることができます。
最後に、出口戦略を持たないまま購入すると、含み損を抱えたまま手放せなくなる可能性があります。国土交通省「不動産価格指数」によれば、地方圏の中古マンション価格は2023年以降横ばいが続いており、値上がり益を期待しにくい状況です。購入時点で5年後、10年後にどう売却するかまで想定し、利回りと価格の両面で妥当性を判断する姿勢が求められます。
まとめ
ここまで、収益物件を始める際の費用構成、自己資金の目安、小規模投資の選択肢、融資交渉のコツ、そしてリスク管理の視点を順を追って解説しました。物件価格の2〜3割を自己資金として用意しつつ、運転資金も確保することが安定経営の土台になります。とはいえ、クラウドファンディングやJ-REITなど少額スタートの手段を使えば、数十万円から市場経験を積むことも十分に可能です。まずは各種シミュレーションと金融機関相談を並行し、自分が安心して続けられる投資プランを描きましょう。行動に移す勇気こそが、将来の安定したキャッシュフローへの第一歩です。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 国土交通省 賃貸住宅市場の実態調査 – https://www.mlit.go.jp
- 国土交通省 民間住宅ローン実態調査 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.soumu.go.jp
- 東京証券取引所 J-REIT市場データ – https://www.jpx.co.jp