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収益物件でしくじる人の共通点5選|失敗する人の特徴とは?

不動産投資は「安定収入の王道」と言われますが、現実には毎年一定数のオーナーが収益物件で苦い経験をしています。購入後に空室が埋まらない、返済が重くて手放す、想定外の修繕費で赤字になる——こうした声は後を絶ちません。本記事では「収益物件 失敗する人の特徴」をテーマに、資金計画から物件選定、運営管理、心理面までありがちな落とし穴を整理します。初心者でも再現しやすい対策を示すので、読み終えた頃には「知らずに踏む地雷」を避ける具体的なイメージが得られるはずです。

なぜ失敗例が後を絶たないのか

なぜ失敗例が後を絶たないのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、失敗には一つの原因ではなく複数の要素が絡むという点です。国土交通省の「令和6年度賃貸住宅市場動向調査」によると、首都圏全体の平均空室率は18%前後で推移しています。つまり、満室経営が前提の収支計画はリスクが高いのが現実です。さらに、日本銀行の貸出約定平均金利データを見ると、住宅ローンと比べ投資用ローンは約1%高い水準で推移しており、返済負担が想定より膨らむケースも多発しています。これらの数字は「買って放置」では安定収入にならないことを示唆しています。

次に、情報量と行動スピードのギャップが失敗に結びつくことを理解しましょう。インターネット上には収益物件情報が溢れていますが、その分、経験豊富な投資家が優良案件を素早く押さえてしまいます。後発の初心者が深い検証をせずに焦って購入すると、割高物件をつかみやすいのです。また、管理会社に丸投げすれば安心と思い込む人もいますが、実態を把握しないまま委任すると修繕費や広告費が膨らみ、収益を圧迫します。このように、失敗は外部環境と内的要因が重なって起こる点を忘れてはいけません。

資金計画を軽視する人の落とし穴

資金計画を軽視する人の落とし穴のイメージ

重要なのは、自分のキャッシュフローを客観的に把握することです。不動産投資では頭金の額、ローン金利、返済期間、固定資産税、保険料、修繕積立金など、複数の費用が同時に動きます。総務省「家計調査報告(2025年版)」によれば、年間可処分所得が500万円未満の家庭では、ローン返済額が可処分所得の30%を超えると生活防衛資金が枯渇しやすいというデータがあります。つまり、自己資金を厚めに準備しないと家計と投資の双方が危うくなるのです。

また、楽観シナリオだけでシミュレーションを組むことも典型的な失敗パターンです。例えば、金利が1%上昇した場合、35年返済で3000万円借入すると総返済額は約600万円増えます。人口減少が進む地方都市では空室率が25%を超える地域もあり、家賃下落も加味する必要があります。金融機関は2025年度もストレスシナリオを提出させる傾向が続いており、自己資金2割・空室率15%・金利2%上昇でも回る試算が求められるケースが増えています。融資審査のハードルは失敗を防ぐフィルターでもあるので、厳しい条件で耐えられなければ再検討すべきです。

物件選びで陥る典型的なミス

ポイントは、「利回り」と「実質利回り」を区別することにあります。表面利回りが10%でも、管理費や修繕費、空室リスクを引くと実質利回りが5%台に落ち込む例は珍しくありません。不動産経済研究所の2025年10月レポートによれば、築25年以上のワンルーム区分で実質利回りが7%を維持できているのは、東京23区のターミナル駅徒歩5分以内に限られています。つまり、数字だけで地方高利回り物件に飛びつくと、入居付けの苦戦で収支が崩れがちです。

一方で「新築は安心」と考えるのも早計です。新築ワンルームは家賃設定が周辺相場より高くなる傾向があるため、3年目以降に賃料が下落しやすいという調査結果があります。さらに、建築費の高騰で販売価格も上昇しており、利回りは圧縮される一方です。大切なのは「周辺家賃水準と販売価格のバランス」を確認することで、これを怠ると想定キャッシュフローが一気に崩れます。

加えて、将来のエリア人口を無視するのも失敗要因です。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2025年から2035年にかけて地方の人口は平均で9%減少します。長期保有を前提とするなら、人口減少率が緩やかな政令市や再開発予定のエリアを選定する必要があります。立地調査を怠ると、賃料下落と空室リスクが同時に進み、損切りのタイミングすら逃してしまうのです。

運営と管理を外注任せにするリスク

実は、物件取得後の運営フェーズこそ収益の成否を左右します。管理会社に任せるのは合理的ですが、手数料体系や広告費負担の取り決めを理解しないまま契約すると痛手を負います。公益財団法人不動産流通推進センターが公表する「賃貸管理実務アンケート(2025年版)」では、オーナーとのトラブル原因の37%が「追加費用の説明不足」と報告されています。つまり、契約前に細部を詰める努力を怠ったオーナーほど失敗しやすいのです。

また、建物の長期修繕計画を持たないまま運営すると、突発的な出費でキャッシュアウトします。築20年を超えると防水工事や給排水管交換が重なり、1戸あたり50万〜80万円かかるケースもあります。修繕積立を先送りすれば一時的にキャッシュフローは良く見えますが、いずれ大きな赤字となって跳ね返ります。定期的なDIYや自主管理で費用を抑える方法もありますが、労力と時間を天秤にかけて最適解を選ぶ必要があります。

さらに、入居者満足度を上げる小さな改善策を取り入れないと、退去と募集を繰り返す悪循環に陥ります。LED照明やスマートロック設置など、2025年度の国土交通省「住宅省エネ2025補助金」対象となる設備もあるので、制度を活用しつつ差別化を図ると入居期間が延び、結果としてコストを抑えやすくなります。

心理面が招く判断のゆがみ

まず、人は「損失回避バイアス」によって損を確定させる行動を避ける傾向があります。購入後に家賃が下がっても「いずれ戻るだろう」と値下げに踏み切れず、空室期間を伸ばしてしまうのは典型例です。この心理的抵抗が、収益悪化を長引かせる原因になります。また、SNSやセミナーで聞いた成功談に影響され、「自分も同じようにうまくいくはず」と過大な自信をもつ「楽観バイアス」も危険です。日本FP協会の2025年リサーチでは、自己流で投資判断を下す初心者ほど、過去データを過小評価する傾向が指摘されています。

一方で、情報過多による「分析まひ」も失敗を呼び込みます。検討期間が長すぎて市場環境が変化し、金利と物件価格が上昇して利回りが低下する場面は少なくありません。重要なのは、決断の期限を設けて行動することです。経験値が少ない間は、信頼できる専門家や実績ある先輩投資家に相談し、バイアスを修正する仕組みを持つと過剰なリスクを避けやすくなります。

まとめ

本記事では「収益物件 失敗する人の特徴」を資金計画、物件選び、管理運営、心理面の四つの切り口で整理しました。家計を圧迫しない自己資金比率、エリア人口と家賃相場の確認、管理契約の透明化、そして自分の思考バイアスのチェック——この四つを徹底するだけで失敗確率は大幅に下がります。次に物件情報を検討するときは、今日触れたポイントをチェックリスト化してみてください。不安が残る場合は専門家へ相談し、学びを行動に移すことで安定したキャッシュフローに近づけます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅局「令和6年度賃貸住宅市場動向調査」 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行「貸出約定平均金利統計」 – https://www.boj.or.jp
  • 総務省統計局「家計調査報告(2025年版)」 – https://www.stat.go.jp
  • 不動産経済研究所「首都圏ワンルーム市場レポート 2025/10」 – https://www.fudousankeizai.co.jp
  • 公益財団法人不動産流通推進センター「賃貸管理実務アンケート 2025年版」 – https://www.retpc.jp
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2023年推計)」 – https://www.ipss.go.jp

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