年収が安定してきたものの、将来の年金や物価上昇に不安を感じていませんか。実は年収700万円前後の会社員は、金融機関からの信用も高く、マンション投資を始めるには最適なポジションにいます。本記事では、頭金の目安から融資の組み方、物件の選び方、そして2025年度に利用できる税制優遇まで、初心者でも失敗しにくいステップを丁寧に解説します。読み終えるころには、自分に合った投資プランを描けるようになるでしょう。
年収700万円でマンション投資を始める現実的な予算感

まず押さえておきたいのは、自己資金と融資のバランスです。年収700万円の場合、金融機関が想定する年間返済負担率は概ね30〜35%です。つまり年間200万円程度までの返済であれば審査に通りやすく、ローン総額は3,500万〜4,500万円が一つの目安になります。
東京23区の新築平均価格は7,580万円(不動産経済研究所、2025年12月)ですが、投資用区分マンションは中古を含めると2,500万〜4,000万円の物件が豊富です。自己資金として物件価格の2割、たとえば600万円を用意すれば、残りはローンで賄えます。さらに、購入諸費用として価格の7%前後がかかるため、総額で約800万円の現金が必要となる計算です。
一方、自己資金を極力抑えたい場合は頭金1割でも融資が可能ですが、毎月のキャッシュフローが圧迫されます。投資の安全圏を確保するには、空室期間が3カ月続いても赤字にならないラインを設定しましょう。このとき、物件周辺の平均家賃と空室率を調べ、家賃下落シナリオにも耐えられるかを確認する姿勢が重要です。
資金計画と融資の通し方

重要なのは、収入の安定性を金融機関にどう示すかです。給与所得のみの方は、源泉徴収票3年分を準備し、転職歴や副業収入がある場合はその説明資料を添えると審査がスムーズに進みます。また、クレジットカードや自動車ローンなどの既存債務は年間返済額に含まれるため、可能な限り残高を減らしておきましょう。
融資商品は大きく「アパートローン」と「プロパーローン」に分かれます。前者は個人の属性を重視し、固定金利1.8〜3.0%が標準的です。後者は物件評価や事業性をより深く審査するため、変動金利1.2〜1.8%と低めですが、自己資金割合を2割以上求められるケースが多くなります。金利差が0.5%でも、35年で総返済額が数百万円変わるため、複数行に同時打診する価値は大きいでしょう。
さらに、団体信用生命保険(団信)の特約内容も見逃せません。最近はがん団信や就業不能保障付きが標準化しており、保険料が金利に0.2〜0.3%上乗せされる形で組み込まれます。保険を別途契約するより割安になる場合が多いので、比較検討して総コストを最小化してください。
物件選びで失敗しないための立地と間取り
ポイントは、将来の賃貸需要を読み違えないことです。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」では、2025年も20〜34歳の転入超過が続くのは都心5区と主要ターミナル駅周辺です。したがって、賃貸ターゲットを単身社会人と想定するなら、駅徒歩7分以内・20〜30平米の1K〜1LDKが堅実な選択となります。
一方、ファミリー向けの60平米超は空室期間が長引く傾向があります。ただし、再開発が進む湾岸エリアや郊外駅直結の大規模開発地では、分譲賃貸需要が底堅いとの民間調査もあります。つまりエリアの将来計画を調べ、人口増加が見込める地域かどうかを確認する作業が欠かせません。
加えて、修繕積立金の水準を見逃すと収益が崩れます。国土交通省の長期修繕計画に関するガイドラインでは、築10年で月額200円/平米以下の積立金は不足リスクが高いとされています。購入前に管理組合の総会資料を取り寄せ、積立金の残高と改定予定を把握しましょう。これらを総合的に判断して初めて、表面利回りの数字が意味を持ちます。
キャッシュフローとリスク管理の考え方
まず押さえておきたいのは、ネット利回りとローン返済後キャッシュフローを分けて考えることです。ネット利回りは家賃収入から管理費・修繕積立金・固定資産税を差し引いたものを価格で割って算出します。都心区分マンションの場合、4.0〜4.5%が現実的な範囲ですが、ローン金利1.5%なら差し引き2.5%強の利ざやが取れる計算です。
しかし、空室・家賃下落・金利上昇の三つのリスクは必ず織り込む必要があります。空室率はエリア平均の2倍、家賃は現行より10%低下、金利は1%上昇という厳しい条件でシミュレーションし、それでも年間キャッシュフローがプラスなら安心材料になります。また、築15年を過ぎるとエアコンや給湯器の交換が集中するので、別途50万円程度の修繕予備費をプールしておくと突発費用に動じません。
加えて、出口戦略を事前に描くことが大切です。国土交通省「不動産取引価格情報」に照らすと、築20年超の区分マンションは駅距離と管理状況によって価格差が顕著に開きます。定期的に周辺の成約事例をチェックし、売却益と賃料収益のどちらを優先するかを柔軟に見直していきましょう。
2025年度の税制・優遇制度を味方にする
実は、投資用マンションでも利用できる公的優遇は複数あります。まず、2025年度も継続する「新築住宅の固定資産税減額措置」により、貸家でも建物部分の税額が3年間1/2になります。物件価格3,000万円・建物比率60%とすると、年間約12万円の節税効果が期待できます。
次に、不動産取得税の課税標準の特例は2026年3月31日取得分まで延長されており、こちらも投資用区分マンションに適用可能です。床面積が40平米以上240平米以下であれば、課税標準から1,200万円が控除され、取得初年度の負担が大幅に軽減します。
さらに、青色申告特別控除65万円は、賃貸事業を帳簿付けと電子申告で行えば適用されます。管理会社にすべて任せる形でも、家賃収入が年間300万円ある場合、所得税と住民税で合計20万円前後の節税が見込めるケースが多いです。このほか、減価償却を活用すれば毎年の所得圧縮にもつながるため、税理士にシミュレーションを依頼すると安心です。
まとめ
ここまで、年収700万円の会社員がマンション投資を始める際の資金計画、物件選び、リスク管理、そして2025年度の優遇制度まで一通り解説しました。最初に自己資金を無理なく確保し、複数行へ金利と団信を比較しながら融資を申し込むことが成功への第一歩です。次に、将来の賃貸需要を見据えた立地と間取りを選び、保守的なシミュレーションでキャッシュフローを管理してください。最後に、固定資産税や不動産取得税の特例、青色申告控除などの制度を活用すれば、実質利回りをさらに高められます。行動を先送りせず、まずは物件情報の収集と金融機関への相談から始めてみましょう。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 不動産取引価格情報 – https://www.land.mlit.go.jp
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー – https://www.nta.go.jp
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp