品川区でこれから不動産投資を始めたいと考えているものの、「価格が高くて手が出ないのでは」「今さら買っても利回りが伸びないのでは」と二の足を踏んでいる人は多いはずです。しかし品川区には再開発の進展や人口の堅調な伸びなど、長期的に収益を見込める材料がそろっています。本記事では、最新データを基に品川区の市場動向から資金計画、2025年度の税制優遇までを網羅的に解説します。読み終えるころには、自分に合った投資戦略を具体的に描けるようになるでしょう。
品川区が投資先として注目される理由

まず押さえておきたいのは、品川区が東京23区内でも人口の流入が続く数少ないエリアだという事実です。東京都の「2025年住民基本台帳人口移動報告」によると、区内の転入超過は年間約3,800人で、近隣区と比べても高水準を維持しています。背景には、JR山手線や京急本線に加え、リニア中央新幹線の新駅整備が進む品川・田町開発エリアへの期待感があります。
さらに、国土交通省の住宅着工統計では、品川区の賃貸向け新築着工戸数は2020年から2024年まで年平均1,950戸と安定しており、供給過多の懸念が比較的小さい点も魅力です。つまり、交通利便性と再開発による雇用増が需要を下支えし、空室リスクを相対的に抑えられる環境が整っていると言えます。
一方で、都心5区の中では土地価格が中庸であることも見逃せません。東京都地価調査(2025年版)によれば、品川区の住宅地平均は坪あたり約360万円で、千代田区や港区より2割以上低く、かつ渋谷区よりも安定しています。投資家にとっては、都心クオリティと購入価格のバランスを両立させやすいポジションにあるのです。
家賃相場とキャッシュフローの読み解き方

ポイントは、家賃相場を表面的な平均値で判断せず、駅ごとに細分化することです。不動産情報サービスによる2025年10月のデータでは、同じ品川区でも大井町駅周辺のワンルーム平均賃料は9.3万円、五反田駅では10.1万円と差があります。さらに、築15年以内の物件に絞ると大井町で10.2万円、五反田で11.4万円へ跳ね上がり、築年数が利回りに与える影響が大きいと分かります。
家賃が高いエリアは購入価格も高めですが、修繕費や空室期間を含む総収支で見ると、築浅・高賃料帯のほうが安定するケースが多々あります。実は、東京都住宅政策本部が公表する2024年度の平均空室期間は築20年以上で2.4か月、築10年未満で1.5か月と大きな開きがあり、埋まるスピードが違います。言い換えると、表面利回りはやや下がっても、キャッシュフローは築浅の方が読みやすいのです。
また、金融機関の融資条件もキャッシュフローに直結します。2025年12月時点でメガバンクの投資用ローン変動金利は年2.3%前後ですが、築20年以上の物件だと金利が0.3〜0.5ポイント上乗せされる事例が少なくありません。金利差が0.5%生じると、借入5,000万円・期間25年の場合、総返済額は約350万円増える試算になります。賃料だけでなく、資金調達コストの違いも織り込んでシミュレーションすることが欠かせません。
2025年度の税制・補助制度を味方にする
実は、賃貸住宅向けの直接的な国の補助金は限定的ですが、税制面では投資家が利用できる措置がいくつか存続しています。まず、購入時にかかる不動産取得税の軽減措置(2025年度末まで延長)は、課税標準から1,200万円を控除する仕組みです。物件価格が高い品川区では控除効果が相対的に大きく、取得費の圧縮につながります。
一方、登録免許税の軽減措置も2025年度まで継続予定で、区分所有マンションの所有権移転登記は本則2.0%が0.3%へと大幅に引き下げられます。さらに、耐震基準適合証明を取得した中古マンションなら、固定資産税の新築同様減額(3年間1/2)が適用できる場合があり、築古物件のリノベーション投資を後押しします。
東京都独自の施策としては「ゼロエミ住宅改修補助(2025年度)」があり、賃貸併用住宅や賃貸専用部分でも断熱改修を行えば、1戸あたり最大120万円の補助が受けられます。期限は2026年3月申請分までと定められているため、投資計画が固まっているなら早めの相談が賢明です。こうした制度を利用することで、実質利回りを1ポイント程度底上げできるケースも珍しくありません。
失敗を防ぐ物件選びとリスク管理
重要なのは、数字だけでなく入居者ニーズを肌で感じることです。例えば、法人契約が多い五反田エリアでは家具付き短期賃貸の需要が伸びており、通常より賃料を15〜20%上乗せできる事例があります。一方で、家族層が流入する大井町・西大井では70平米前後のファミリータイプが希少で、空室率が低く長期入居が見込めます。ターゲットを明確にするほど、リフォームや設備投資の優先順位も決まり、無駄な出費を抑えられます。
また、自然災害リスクも避けて通れません。国土交通省のハザードマップポータルによると、品川区は海抜ゼロメートル地帯を一部含み、高潮と内水氾濫のリスクがあります。床下浸水対策を施した物件や、敷地が盛土されている物件は保険料が低くなる場合があり、中長期のコスト差につながります。
融資面では、返済比率を年家賃収入の50%以下に抑えると、金利上昇や空室率上昇のダブルパンチにも耐えやすくなります。具体的には、家賃収入900万円の物件なら年間返済額を450万円以内に設定し、空室率20%・金利+1%のストレステストを行うことが推奨されます。このように、事前に厳しめのシナリオで計算しておくと、予想外の出来事でも慌てずに対処できます。
品川区で実践できる投資戦略のロードマップ
まず、小規模区分マンションからスタートし、家賃相場や管理会社との付き合い方を学ぶ方法が現実的です。家賃収入が安定してきたら、築浅一棟アパートや賃貸併用住宅にステップアップし、キャッシュフローを拡大します。その際、前述の登録免許税軽減やゼロエミ補助を組み合わせることで、持ち出しを抑えたまま規模拡大が可能です。
次の段階では、再開発エリア近接の築古物件を購入し、耐震改修や内装アップグレードで付加価値を高める「バリューアップ戦略」が有効です。国土交通省「既存住宅流通・リフォーム推進事業」のデータでは、耐震改修後の賃料は平均13%上昇し、売却時の評価額も改修費用の8割程度が上乗せされる傾向があります。つまり、出口戦略としての売却益も狙えるわけです。
最後に、インカムゲインとキャピタルゲインのバランスを取りたい場合、タワーマンションの高層階を長期保有し、将来の再開発完了に合わせて売却する手法もあります。ただし、修繕積立金の上昇や建替え議論の長期化といった特有のリスクを把握し、管理組合の財務健全性を購入前に確認しておくことが成功の鍵となります。
まとめ
結論として、品川区 不動産投資で成果を上げるには、人口動態と再開発による需要の底堅さを味方につけつつ、制度面でのコスト削減と詳細なリスクシミュレーションを組み合わせることが不可欠です。まずは自分の資金力に合わせた小規模物件で市場感覚を養い、税制優遇や補助金を活用しながら段階的に規模を広げていきましょう。そうすれば、将来の金利変動や市場調整局面でも、安定したキャッシュフローと資産価値の両方を確保できるはずです。
参考文献・出典
- 東京都総務局統計部「住民基本台帳人口移動報告 2025年版」 – https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp
- 東京都財務局「令和6年度 都道府県地価調査」 – https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp
- 国土交通省「住宅着工統計年報 2024年度」 – https://www.mlit.go.jp
- 国税庁「令和7年度 税制改正の解説(不動産取得税・登録免許税)」 – https://www.nta.go.jp
- 東京都環境局「ゼロエミ住宅改修補助 2025年度案内」 – https://www.kankyo.metro.tokyo.jp
- 不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向 2025年10月」 – https://www.fudousankeizai.co.jp