不動産投資を始めようとするとき、都内でも人気の高い中央区で収益物件を持つことに魅力を感じる方は多いはずです。しかし実際には、「価格が高くて手が出ないのでは」「空室リスクは本当に低いのか」など、不安がつきまといます。本記事では、最新の公的データを交えながら中央区の市場状況を解説し、物件選びから運用までを具体的に示します。読み進めることで、初心者でも中央区の収益物件を安心して検討できるようになるでしょう。
中央区で収益物件を選ぶ前に押さえておきたい市場動向

重要なのは、数字で裏づけされた需要と供給の流れをつかむことです。中央区は東京23区で最も人口密度が高く、2025年の東京都都市整備局推計では昼間人口が夜間人口の約6倍に達すると示されています。つまり、オフィスワーカーを中心に賃貸需要が安定している点が大きな強みです。
一方で、国土交通省「不動産価格指数」によると、中央区の住宅系指数は2020年比で2025年に約17%上昇しました。価格上昇が続く中でも、平均空室率は日本経済新聞社の全国賃貸住宅新聞データで4%前後にとどまっており、需要の底堅さを裏づけています。ただし、ファミリー向け区分マンションは供給が限られ、競争が激しいため割高になりがちです。
将来的な再開発も忘れてはなりません。晴海地区では選手村跡地の民間分譲・賃貸が2027年まで段階的に進みます。オフィスと住居の複合開発が進むことで、単身・DINKS(共働き夫婦)層の入居ニーズがさらに高まる見込みです。したがって、今の時点で需要動向をつかみ、中長期目線で物件価値を評価する姿勢が欠かせません。
利回りを高める物件タイプとその選び方

まず押さえておきたいのは、表面利回りだけに惑わされない視点です。中央区ではワンルーム区分が投資総額を抑えられ、表面利回り4〜5%がひとつの目安になります。ただし、修繕積立金や管理費が月額で高いと実質利回りを削る点に注意が必要です。
一方、築20年以上の小規模一棟アパートは、土地値が相対的に高い中央区では希少ですが、利回り6%前後の掘り出し物が出ることがあります。建物の減価償却が取りやすい点がメリットですが、耐震性能の確認は欠かせません。東京都の2025年度「木造住宅耐震改修助成」は個人投資家も活用でき、補助上限150万円が設定されています。助成を受けて耐震性を高めれば、家賃下落を抑えながら長期運用が期待できます。
さらに、近年はホテルライクなサービス付き小規模レジデンスが注目を集めています。賃料単価は高めですが、入退去サイクルが短い傾向があるため、運営コストを精緻に見積もる姿勢が求められます。言い換えると、物件タイプごとのライフサイクルコストを把握し、実質利回りで比較することが成功への近道となります。
資金計画と融資戦略の基本
ポイントは、自己資金と融資のバランスを見極めることです。中央区の平均成約価格は2025年上半期のREINSデータで坪単価約520万円となり、区分でも5,000万円台が一般的です。自己資金は物件価格の3割を目安に用意し、残りを低金利で借りるのが王道といえます。
住宅ローンと異なり、投資用ローンは金利1.4〜2.0%程度が相場ですが、都内に居住用不動産を保有していると優遇金利が得られるケースがあります。また、日本政策金融公庫の「中小企業事業融資」や銀行のアパートローンを比較し、総返済負担率を30%以内に抑える計画が望ましいです。ここで、空室率15%・金利上昇1%のストレスシナリオでもキャッシュフローが黒字かどうか検証します。
保険の活用も忘れてはいけません。団体信用生命保険が付帯しないローンを利用する場合、投資家自身のリスクに備えて外部の収入保障保険を組み合わせる方法があります。つまり、資金計画では返済能力だけでなく、予期せぬライフイベントに耐える仕組みを整えることが長期安定の鍵となります。
空室リスクを抑える運用テクニック
実は、中央区だからといって放置していても満室が続くわけではありません。入居者層は都心で働く20〜40代が中心で、ネット環境や宅配ボックスの有無が選択基準になる傾向があります。したがって、築古物件でも共用部Wi-Fiを設置し、スマートロックを導入するだけで成約スピードが上がるケースが多いのです。
賃料設定にも戦略が要ります。周辺の募集賃料を単純に合わせるのではなく、初期費用の総額で競合と差別化する方法が有効です。たとえば礼金ゼロにしてフリーレント1か月を付けると、短期入居でも表面利回りへの影響は限定的で、結果的に稼働率を高められます。
管理会社との連携も運用成果を左右します。月額管理料は5%前後が相場ですが、24時間駆けつけサービスを含むプランは入居者満足度を上げ、長期入居につながります。中央区の入居者は情報感度が高いため、退去時アンケートを実施し、改善点を迅速に反映するPDCAが効果的です。こうした小さな積み重ねが、最終的に実質利回りを底上げします。
2025年度制度を活用した投資メリット
まず押さえておきたいのは、減税や補助金を組み合わせることでキャッシュフローが改善する点です。2025年度の「住宅ローン減税(投資用は対象外)」とは別に、賃貸住宅の省エネ改修に対して国土交通省の「既存建築物省エネ化推進事業」があり、賃貸部分の改修費用の三分の一(上限200万円)が補助されます。中央区は築古区分が多いため、この制度と耐震改修助成を併用すると、実質投資額を大幅に抑えられます。
固定資産税についても、築後10年以上の木造住宅で耐震改修を行った場合、翌年度の税額が2分の1に軽減される特例が適用可能です(適用期限:2027年3月31日)。改修前に区役所の担当窓口へ事前相談し、必要書類をそろえることが必須となります。
さらに、東京都は2025年度から賃貸住宅の屋上緑化補助を拡充し、中央区で30m²以上の緑化を行う場合、工事費の上限120万円を支援しています。屋上緑化は見栄えだけでなく断熱効果を高め、エネルギーコストを抑える副次的メリットもあります。つまり、制度を活用したバリューアップは、賃料アップと税負担軽減の両面でリターンを押し上げる有効な手段となります。
まとめ
中央区で収益物件を保有する魅力は、安定した賃貸需要と再開発による資産価値の上昇期待にあります。市場データを読み解き、物件タイプごとの収支構造を理解したうえで、自己資金とローンをバランス良く組み合わせれば過度なリスクを避けられます。さらに、入居者目線の設備投資や2025年度の補助制度を賢く使うことで、実質利回りを底上げできます。結論として、データに基づく判断と制度活用の両輪が、中央区の収益物件投資を成功に導く近道といえるでしょう。今日から一歩踏み出し、具体的な物件調査と資金計画に取り組んでみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/
- 東京都都市整備局 人口推計データ – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/
- 中央区役所 統計年報 – https://www.city.chuo.lg.jp/
- 日本経済新聞社 全国賃貸住宅新聞データ – https://www.nikkei.com/
- 独立行政法人住宅金融支援機構 2025年度制度概要 – https://www.jhf.go.jp/