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葛飾区 収益物件で安定収入を築く方法

下町情緒が残る葛飾区で、収益物件に興味を持つ人が増えています。家賃相場は都心より穏やかでも、東西南北へ伸びる鉄道網のおかげで通勤利便性は高く、実需と投資のバランスが取れたエリアだからです。ただ、路線選びや建物タイプを間違えると、空室や修繕コストに悩まされることもあります。この記事では「葛飾区 収益物件」を検討する初心者のために、立地分析から資金計画、そして2025年度時点で使える制度までを体系的に解説します。読み終えたときには、物件選定の基準と投資シミュレーションの作り方がイメージできるようになります。

葛飾区が投資先として注目される理由

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重要なのは、葛飾区の賃貸ニーズが人口動態と交通網の両面から支えられている点です。総務省の住民基本台帳人口移動報告(2025年7月公表)によると、葛飾区の転入超過は年間およそ3,200人で、23区中8位のプラス幅でした。つまり、区内には常に新たな住民需要が流入しています。

次に交通面を見てみましょう。JR常磐線・総武線、京成線、つくばエクスプレスなど計10路線が区内外へつながり、都心主要部へ30分前後で到達できます。東京の東端に位置しながら、この移動時間は中央区や港区への通勤者にも十分魅力的です。そのため、家賃を抑えたい単身者やファミリー層が継続的に流入し、表面利回り6〜7%の区分マンションでも稼働率は95%前後で推移しています。

さらに地価動向も追い風です。国土交通省の地価公示(2025年)では、葛飾区の住宅地平均は1平方メートルあたり29.8万円で、23区平均の約半分にとどまります。初期投資が抑えられるうえ、都心部より下落リスクが小さいため、長期保有に向くといえます。

収益を左右するエリア選定のコツ

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まず押さえておきたいのは、葛飾区内でも駅力が異なる点です。たとえば金町駅周辺は東京理科大学キャンパスの完成で学生需要が増え、ワンルームの空室期間が平均12日短縮されました。一方で青砥駅は快速停車駅として都営浅草線と直通するため、羽田空港勤務者や国際線クルーの短期賃貸ニーズが高まっています。

実は同じ沿線でも徒歩10分を超えるかどうかで平均家賃が月4,000円下がる傾向があります。東京都住宅政策本部の賃貸住宅実態調査(2025年度)によれば、徒歩7分圏の区分マンションは年間稼働率97%、徒歩12分圏では92%と差が明確です。したがって、物件価格が1割高くても駅近を優先したほうが長期的な損益分岐点は下がります。

また河川近接地ではハザードマップを必ず確認してください。中川沿いの低地帯は2024年の台風で一部浸水実績があるため、保険料が上乗せされます。利回りが高めに見える物件でも、保険と修繕費を含めたネット利回りで比較することが大切です。

資金計画と融資の最新事情

ポイントは、2025年時点の低金利環境でも自己資金2割を確保することです。日本銀行の金融政策決定会合(2025年10月)で短期金利はマイナス0.1%を維持していますが、地銀のアパートローン固定金利は平均2.3%まで上昇しました。つまり、2010年代後半に比べ金利負担は大きくなりつつあります。

仮に3,000万円の区分マンションを金利2.3%、期間30年で借り入れると、月返済は約11.5万円です。葛飾区内ワンルームの平均家賃は7.8万円なので、そのままでは赤字に見えます。しかし、自己資金700万円を投入し借入を2,300万円に抑えれば、月返済は8.8万円となり管理費を差し引いてもキャッシュフローがプラスに転じます。

融資審査では物件の担保評価が鍵です。築20年以内で耐震基準適合証明を取得できるRC造(鉄筋コンクリート)は、評価額が購入価格の8割弱まで上がるため、自己資金を抑えやすくなります。また、2025年度の「住宅ローン減税」は自己居住用が対象ですが、併用住宅で50%以上を自宅とする場合、投資部分の金利も一部控除対象になるケースがあります。税理士に試算を依頼するとよいでしょう。

改修・管理コストを抑えるテクニック

まず、築古物件を手頃に取得してリノベーションする戦略があります。国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」(2025年度)は、耐震性や省エネ性を高める改修に対し上限250万円の補助を実施中です。補助要件には性能向上計画の認定が必要ですが、ワンルームをファミリー向け1LDKに転換し、家賃を2万円上乗せできた事例もあります。

管理コストではサブリース契約の検討が欠かせません。しかし、家賃保証率が90%を切る場合、委託管理(8%前後)と比較して純収益が逆転することがあります。日本賃貸住宅管理協会の統計(2025年版)では、区分マンションの平均管理料は7.3%です。保証料との差をシミュレーションし、3年ごとに契約条件を見直す姿勢が望まれます。

さらに、IoT設備の導入で長期的に空室を減らす例が増えています。スマートロックやネット無料化は初期費用が1戸当たり8万円前後ですが、更新時の退去率を15%以上下げたという調査結果もあります。出口戦略を考え、売却時に付加価値として評価される設備を選ぶとよいでしょう。

2025年度に活用できる税制・補助制度

実は、税制を把握するだけで利回りが1%以上改善することがあります。新築住宅に適用される固定資産税の減額特例(2025年度)は、関東大都市圏でも耐火構造で3年間、非耐火構造で5年間、税額が1/2になります。葛飾区内で新築木造アパートを建てた場合、年間固定資産税が約30万円減る試算もあります。

また東京都は「ゼロエミ住宅導入促進事業」(2025年度)を継続中で、太陽光発電と蓄電池を設置した集合住宅に最大500万円を補助しています。売電収入と共用部電気代削減を合わせると、実質利回りを0.4〜0.6ポイント押し上げられる計算です。ただし、予算枠に達すると終了するため、申請スケジュールを管理会社と共有することが欠かせません。

一方で、かつて人気だったグリーン住宅ポイント制度は既に終了しています。混同しないよう、2025年度に有効な制度のみを前提に資金計画を組んでください。制度活用の可否は物件タイプや戸数で変わるため、契約前に行政窓口か専門家へ確認しましょう。

まとめ

葛飾区の収益物件は、手頃な地価と安定した人口流入が魅力です。駅近を重視し、自己資金を厚めに用意することで、ネット利回りを高められます。さらに、2025年度に利用できる減税や補助を組み合わせれば、表面利回り以上の実質収益を実現できます。まずは物件ごとにキャッシュフローを作成し、最悪ケースでも黒字化できるプランを確認することから始めてください。実行と検証を繰り返せば、葛飾区の収益物件で長期的な資産形成は十分可能です。

参考文献・出典

  • 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告(2025年) – https://www.stat.go.jp
  • 国土交通省 地価公示(2025年) – https://www.mlit.go.jp
  • 東京都住宅政策本部 賃貸住宅実態調査(2025年度) – https://www.metro.tokyo.lg.jp
  • 日本銀行 金融政策決定会合資料(2025年10月) – https://www.boj.or.jp
  • 日本賃貸住宅管理協会 全国賃貸管理ビジネス統計(2025年版) – https://www.jpm.or.jp

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