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未来を見据えた東京23区 アパート経営の始め方と稼ぎ方

東京23区でアパート経営を検討していると、「物件価格が高すぎるのでは」「空室リスクは本当に低いのか」といった不安を抱く方が少なくありません。確かに首都圏の不動産市場は常に変動しており、一歩間違えると想定外の負担を背負うこともあります。しかし最新データを踏まえてポイントを押さえれば、安定収益と資産形成の両立が見込めます。本記事では、23区ならではの市場動向、立地と資金計画のコツ、2025年度に利用できる制度までを具体例で解説します。読了後には、自分なりの投資基準を持って行動に移せるはずです。

東京23区でアパート経営が注目される理由

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まず押さえておきたいのは、23区の賃貸需要が依然として底堅いことです。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、2025年1月時点の東京23区の転入超過は7万2千人で、国内の都市圏で唯一プラス幅を拡大しました。こうした人口流入は単身・DINKs層の住まい需要につながり、ワンルーム中心のアパート経営に追い風となります。

一方で物件価格は高水準が続き、表面利回りは平均5%前後にとどまるのが現実です。ただ国土交通省が2025年10月に発表した全国アパート空室率は21.2%と前年より0.3ポイント改善し、23区の主要エリアでは10%台前半にまで低下しています。つまり家賃収入の安定性が高く、管理を徹底すれば実質利回りを底上げできる環境が整っていると言えます。

さらに、23区内は公共交通が張り巡らされているため、駅距離が徒歩10分程度でも入居付けがしやすい傾向があります。地方に比べて土地値が下支えされる点も、中長期での資産保全に効果的です。加えて、再開発やインフラ更新が絶え間なく行われるため、築年数が経過した後も立地自体の競争力は保ちやすいのが特徴です。

収益を左右する立地とターゲット戦略

収益を左右する立地とターゲット戦略のイメージ

ポイントは、家賃設定と空室リスクをセットで考えることです。たとえば山手線内側の駅近物件は家賃単価が高く、回収スピードも早いものの、取得価格が膨らむため自己資金比率が低いとキャッシュフローが圧迫されがちです。一方で東武スカイツリーライン沿線の荒川区や足立区のエリアは、購入価格を抑えつつも都心への通勤利便性が確保でき、実質利回り6%超を狙えることがあります。

実は立地評価では「将来の人口増減」「駅の乗降客数」「周辺の新規供給計画」を重ね合わせることが欠かせません。東京都都市整備局が公表する都市計画情報を確認すると、2025年以降も湾岸部や品川周辺で大規模再開発が予定されています。こうした地域は新築高層マンションが増える一方、手頃な賃料帯の築浅アパートが不足しがちです。つまり賃料帯のギャップを突くことで差別化が可能になります。

ターゲット選定では、物件規模と間取りをマッチさせると効果的です。単身向けなら20〜25㎡の1Kが定番ですが、共用部にWi-Fiや宅配ボックスを導入することで入居期間が長くなる傾向があります。家族向けであれば、ファミリーニーズが旺盛な城南・城西エリアで40〜50㎡台の2DKを考えると、法人契約が取りやすく、賃料下落にも強くなります。

最後に、立地とターゲットが定まったら近隣競合の平均賃料と設備水準を調査し、5%程度の価格優位性を持たせると空室期間を短縮できます。競合が追随して値上げした際には段階的に家賃改定を行い、キャッシュフローの改善を図りましょう。

ファイナンスとキャッシュフロー管理の基本

重要なのは、融資条件と自己資金のバランスが収益性を左右するという点です。都市銀行は変動金利1%前後、融資期間30年が主流ですが、自己資金20%を入れることで金利を0.1〜0.2ポイント下げられるケースがあります。この差は元利均等返済の場合、総返済額で数百万円の違いを生むため、長期的な収益に直結します。

また、地方銀行や信用金庫はエリア密着型で23区の案件にも積極的です。2025年時点では固定金利2%台のアパートローンを提示する金融機関もあり、金利変動リスクを抑えたい投資家には選択肢となります。もっとも固定金利は返済額が大きくなるため、平均空室率15%まで耐えられるシミュレーションを作成し、余裕資金を残しておくことが欠かせません。

キャッシュフロー計算では、管理費・修繕費を家賃収入の15%程度で見積もると安全です。築10年目以降に外壁塗装や給排水管の更新費用が重なるため、年間家賃の10%を修繕積立として確保しておくと資金繰りが安定します。さらに、家賃保証会社を利用する場合は保証料を家賃の5%程度に抑え、滞納リスクをコントロールしましょう。

最後に、確定申告で減価償却を適切に計上することで所得税・住民税を圧縮できます。木造アパートなら法定耐用年数22年を採用し、築古物件を取得した場合は残存耐用年数で償却できるため、当初の節税インパクトが大きくなります。

2025年度の税制・補助制度の上手な活用法

まず、2025年度も継続する固定資産税の新築住宅軽減措置は見逃せません。一定の床面積要件を満たす新築アパートであれば、最初の3年間、税額が2分の1に減免されます。年間固定資産税が60万円想定の物件なら、合計90万円近い節税効果になり、初期キャッシュフローを大幅に改善できます。

次に、国土交通省が実施する賃貸住宅リフォーム等支援事業(2025年度)は、バリアフリー化や省エネ改修に対し上限120万円の補助が受けられます。高齢入居者の受け皿を増やす政策の一環であり、将来の空室対策にも直結します。

また、東京都が独自に運用する「ゼロエミ住宅推進融資」は、太陽光パネルや高断熱仕様を採用した賃貸住宅に対して金利0.3%優遇を行います。補助金ではなく金利優遇型ですが、借入総額が大きいアパートローンでは実質100万円以上の利息削減につながる例もあります。

これらの制度を利用する際は、着工前の申請が必須である点に注意してください。融資担当者や施工会社と早期に連携し、工程表に余裕を持たせることで、申請漏れや工期遅延による補助対象外を避けられます。

将来リスクと出口戦略をどう描くか

基本的に、23区のアパート経営は長期保有が王道ですが、ライフプランに合わせた出口戦略を設定しておくとリスクを低減できます。たとえば築15〜20年時点でリノベーションを実施して家賃を維持し、キャップレートが下がった好況期に売却益を狙う方法があります。

しかし、金利上昇や人口減少が加速すると、保有し続けるメリットが薄れる可能性もあります。そこで、購入時から10年後・20年後の売却シナリオを複数用意し、想定利回りと残債額の関係を確認しておくことが大切です。

さらに、個人名義だけでなく合同会社や資産管理会社の活用を検討すると、相続税や譲渡所得税の負担を分散できます。2025年税制改正で小規模宅地等の特例は継続しているため、居住用区分と併用することで評価額を下げる選択肢もあります。

結論として、出口を意識しながら運営指標(空室率・修繕積立額・ローン残高)を定期点検することで、突発的な市場変化にも機動的に対応できます。

まとめ

この記事では、東京23区でアパート経営を行う際の市場動向、立地戦略、資金計画、制度活用、そして出口までを一気に整理しました。人口流入が続く23区は賃貸需要が堅調で、適切な立地選定と資金管理を行えば安定したキャッシュフローと資産形成が可能です。また、2025年度の税制優遇や補助制度を活かすことで初期負担を抑えられます。次のステップとして、自分の目標利回りと資金計画を具体的な数字でシミュレーションし、金融機関や専門家と相談しながら物件探しを始めてみてください。行動を早めるほど好条件の物件に出会える確率は高まります。

参考文献・出典

  • 国土交通省住宅統計 – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
  • 東京都都市整備局 都市計画情報 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
  • 国土交通省 賃貸住宅リフォーム等支援事業 2025 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku
  • 東京都 環境局 ゼロエミ住宅推進事業 – https://www.kankyo.metro.tokyo.jp

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