不動産投資を始めたいけれど、どのエリアで何を選べば良いのか分からない――そんな悩みを抱える方は多いものです。特に東京23区 収益物件は価格が高い一方で需要も旺盛なため、正しい知識がないと期待した利回りに届かないケースが目立ちます。本記事では、23区の市場動向から物件タイプ別の特徴、2025年度の税制まで幅広く解説します。読了後には、自分に合った投資戦略を描けるようになるはずです。
東京23区を取り巻く市場環境

まず押さえておきたいのは、東京23区が全国でも群を抜いて人口流入が続く地域だという事実です。東京都総務局の統計では、2024年の転入超過は約7万人で、特に単身世帯の比率が高いことが報告されています。この傾向はテレワークの定着によって一時的に郊外化が進んだ後、再び都心回帰が強まった結果です。つまり、ワンルームや1LDKといったコンパクトな賃貸の需要が引き続き安定しているのです。
一方で、新築マンションの平均価格は2024年に1戸1億円を突破し、中古価格も連動して上昇しました。都心5区と呼ばれる千代田・中央・港・新宿・渋谷では、利回りの平均が4%前後にとどまります。それでも投資家が集まるのは、空室期間の短さと物件価値の下落リスクが小さいからです。したがって、23区で収益物件を探す際は、表面利回りだけでなく、中長期的な資産保全効果にも目を向ける必要があります。
さらに、東京都は2025年度までに新たな住宅供給目標を掲げ、再開発プロジェクトを複数進行中です。国土交通省の都市再生特別措置法によると、駅直結の大規模再開発区域では店舗やオフィスと住宅が複合され、生活利便性が一段と高まります。こうしたエリアは賃料が上振れしやすく、将来的な売却益も期待できます。ただし、完成前に購入する場合は開発スケジュールや周辺の競合物件数を慎重に見極めることが欠かせません。
収益物件のタイプと特徴

重要なのは、同じ東京23区 収益物件でも種類によってリスクとリターンのバランスが大きく異なる点です。区分マンションは少額から始められ、管理会社に賃貸運営を委託しやすいため初心者に向いています。しかし、建物全体の修繕計画が理事会次第で決まるため、想定外の費用負担が発生することがあります。一棟アパートは自主管理や外壁修繕の決定権を持てる反面、空室が出ると収益への影響が直撃します。
また、最近注目されるのが「コンバージョン物件」です。これはオフィスや社宅を住宅に用途変更したもので、新築より取得費が抑えられ、独自性の高い間取りで差別化できる利点があります。東京都の用途変更手続きはオンライン化が進み、最短で2か月程度で完了するケースも出ています。ただし、建築基準法や消防法の適合確認が厳格化されているため、事前に専門家へ調査を依頼することが必須です。
一方、戸建て賃貸はファミリー向け需要を取り込めるものの、23区内では土地価格が高く利回りが圧縮されがちです。特に世田谷区や杉並区で人気ですが、購入額が大きいため長期で安定運用する姿勢が求められます。総じて、投資スタイルや資金計画に合わせて物件タイプを選択し、出口戦略まで描くことが成功への近道になります。
キャッシュフローを左右する主要要素
実は、表面利回りが同じでも手取りのキャッシュフローが大きく変わることがあります。賃料収入から管理費や修繕積立金、ローン返済、固定資産税などを差し引いた後の残額が投資の生命線です。日本政策金融公庫が公表した2025年度の「不動産投資向け融資動向」によると、変動金利は平均1.7%、固定金利は平均2.5%で推移しています。金利差が0.8%あると、借入額5000万円・期間25年の場合、総返済額は約600万円変わる計算です。
さらに、運営コストを抑える工夫として「長期修繕計画の見える化」が挙げられます。国土交通省のガイドラインでは、外壁や屋上防水の修繕周期を12~15年で設定すると長期的な費用逓減効果が得られると示されています。計画を適切に公表すると、入居者が物件の管理体制に信頼を持ち、長期入居につながる例も多いです。
入居募集の手法も収益に直結します。2024年に施行された改正宅建業法では、インターネット広告に関する誇大表示の罰則が強化されました。写真や設備情報を正確に提示することで、内覧数が増え賃料交渉を優位に進められます。加えて、スマートロックや高速インターネットを標準装備にすると、月額賃料を3000円程度上乗せできたという管理会社の実績も報告されています。
成功するエリア選定の視点
ポイントは、人口動態と公共交通の将来計画を組み合わせて考えることです。東京都都市整備局の「都市計画道路事業進捗状況」によれば、2025年度末までに品川区や大田区を中心に環状4号線の整備が進み、羽田空港へのアクセスが大幅に改善します。これに伴い、蒲田や大森周辺では再開発が活発化し、賃貸需要が拡大する見込みです。
一方で、既に利回りが低下している港区や渋谷区でも、超高齢社会への備えとしてサービス付き高齢者向け住宅のニーズが高まっています。厚生労働省のデータでは、東京都の高齢者人口は2030年に約380万人へ増加すると予測されており、バリアフリー仕様の物件は長期的に安定した入居率が期待できます。したがって、単に若年層かファミリーかという視点だけでなく、高齢者向け市場も検討すると選択肢が広がります。
さらに注目なのが、城北エリアの北区・荒川区・足立区です。家賃水準が比較的低く、リノベーション物件を投入すると表面利回り7%台を確保しやすい状況にあります。ただし、人口流入は横ばいであるため、駅徒歩10分以内や複数路線利用可といった競争力を備えた立地を選ぶことが不可欠です。エリア選定では平均家賃と空室率をセットで確認し、将来の賃料下落シナリオまで想定しておきましょう。
2025年度税制と資産形成のコツ
基本的に、不動産投資で得た所得は不動産所得として総合課税の対象になりますが、節税余地を正しく把握すれば手取りを増やせます。2025年度も継続する「不動産取得税の軽減措置」は、新築住宅や耐震改修済み住宅に対して税額を最大1/2に抑える制度です。適用には床面積や築年数の要件があるため、購入前に都税事務所で確認すると安心です。
また、新築から5年以内の木造アパートを取得すると、定額法より早く減価償却できる定率法を選択可能です。国税庁の耐用年数表では木造アパートの法定耐用年数が22年とされていますが、実際の経済的耐用年数は15年程度と評価される場合があり、初期の節税効果が高まります。言い換えると、初年度から赤字計上で所得税・住民税を圧縮し、その分を繰上返済に充てる戦略が有効です。
さらに、2025年度に延長が決まった「固定資産税の新築軽減」は、耐火建築物であれば3年間、非耐火であれば5年間1/2になる措置です。区分マンションを複数戸取得する場合、建物完成から3年以内に引き渡しを受けると恩恵を逃しません。ただし、軽減が終了した4年目以降の税負担増をシミュレーションに織り込んでおかないと、キャッシュフローが急減するリスクがあります。
最後に、インフレ対策として不動産を長期保有する場合でも、出口戦略は必ず設定しましょう。保有期間10年超で売却すると、長期譲渡所得として税率が20.315%に抑えられます。将来、相続税評価額を引き下げるために生前贈与を活用する選択肢も視野に入れ、税理士と早めに相談することが資産形成を加速させる鍵です。
まとめ
東京23区 収益物件は、人口流入の継続と豊富な再開発計画を背景に、2025年以降も安定した需要が見込めます。重要なのは、市場環境を読み解きつつ、物件タイプごとのリスクとリターンを正確に比較することです。さらに、長期修繕計画や税制優遇を組み合わせることでキャッシュフローを最適化できます。今日学んだ視点を基に、自分の投資目的と資金力に合った物件を選び、着実に資産を育てていきましょう。
参考文献・出典
- 東京都総務局統計部 – https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp
- 国土交通省 都市再生特別措置法関連資料 – https://www.mlit.go.jp
- 日本政策金融公庫「不動産投資向け融資動向」2025年度版 – https://www.jfc.go.jp
- 東京都都市整備局「都市計画道路事業進捗状況」 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 国税庁「耐用年数表」及び税制改正大綱2025 – https://www.nta.go.jp