家賃収入で将来の資産を築きたいものの、「本当に安定するのか」「借金リスクは大丈夫か」と不安を抱く方は多いはずです。実は、不動産投資にはリスクとリターンが表裏一体で存在し、両者を正しく理解すれば初心者でも着実に利益を伸ばせます。本記事ではメリット・デメリットを整理しつつ、そのうえでメリットを最大化する視点を示します。資金計画や税制優遇など2025年12月時点の最新情報も交え、今日から実践できる具体策を解説していきます。読み終える頃には、自分に合った投資判断の軸が明確になるでしょう。
メリットが生まれる仕組み

まず押さえておきたいのは、家賃収入が「インカムゲイン」、売却益が「キャピタルゲイン」と呼ばれ、二つの現金流入が投資利回りを構成する点です。インカムゲインは毎月の家賃が源泉であり、空室率と賃料水準が安定性を左右します。一方、キャピタルゲインは将来の価格上昇を見込んで物件を売却した際に得られる差益です。
日本不動産研究所の2025年7月調査によると、東京23区のワンルーム平均空室率は3.5%で、地方中核都市の6.8%を大きく下回ります。このデータは、立地次第で安定収入の確度が高まることを示唆します。また、国土交通省の不動産価格指数では、都心部中古マンションは2015年比で約32%上昇しており、適切な物件選定がキャピタルゲインを後押しした例といえます。投資家が利益を得る構図は以上の二本柱によって生まれるのです。
重要なのは、インカムとキャピタルを両立させる視点を持つことです。たとえば都心駅近の築浅ワンルームは家賃が安定し、将来的にも価値が落ちにくい傾向があります。つまり、二重の安全網こそが不動産投資の最大のメリットとなり得ます。
デメリットを最小化する視点

しかし、メリットの裏側には必ずデメリットが潜みます。空室リスク、修繕費、金利上昇といった要素は収益を圧迫し、キャッシュフローが一気に悪化する可能性があります。特に築古物件は表面利回りが高く見えても、大規模修繕の費用が重くのしかかるため注意が必要です。
総務省の住宅・土地統計調査(2023年改訂版)では、建築後30年以上経過した共同住宅の空室率が12.1%と、新築物件の約3倍に達しました。数字で見ると、築年数と空室リスクが強く相関することが理解できます。また、日本銀行が2025年11月に示した試算では、変動金利が1%上昇した場合、平均的な投資用ローン(残高3000万円・残期間25年)の年間返済額は約26万円増えるとのことです。つまり、金利リスク対策は欠かせません。
デメリットをコントロールするコツは三つです。第一に、立地と築年数をシビアに比較し、将来の修繕コストまで試算すること。第二に、長期固定ローンや金利上昇時の繰上返済準備金を確保すること。第三に、複数物件を保有して収入源を分散し、一棟全空室のような極端な事態を避けることです。リスクを認識したうえで手を打てば、デメリットは大幅に縮小できます。
資金計画で差がつく理由
ポイントは、自己資金比率と返済比率を早期に決めることです。金融機関は返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が30〜35%以内なら融資姿勢が前向きです。自己資金を物件価格の20%用意すれば、返済額が抑えられるだけでなく、金利優遇を受けられるケースも増えます。
たとえば3000万円の区分マンションを自己資金600万円で購入し、残り2400万円を金利1.9%・期間30年で借りると月返済は約8.7万円です。家賃が11万円なら、管理費や修繕積立金、固定資産税を差し引いても月3万円前後の手残りが期待できます。ここに空室1カ月を見込むと、年36万円がバッファーとして必要になるため、購入前に手元資金を合計100万円程度余分に確保しておくと安心です。
さらに、物件取得時の諸費用は8〜10%かかります。登記費用、不動産取得税、仲介手数料などを含めると、自己資金を物件価格の25%程度用意しておくと資金繰りが安定します。余裕ある計画こそが長期投資を支える土台になるのです。
長期保有と出口戦略の関係
基本的に、不動産投資は長期保有を前提にしたほうがリスクが低減します。家賃収入でローン元本を返済しつつ、減価償却費を活用して課税所得を圧縮できるためです。2025年度の税制では、木造22年、鉄筋コンクリート47年という法定耐用年数に変更はなく、築浅ほど減価償却費が小さくなる点にも留意しましょう。
一方で、保有し続ければ常にメリットが大きいとは限りません。築20年を超えると修繕費が急増し、減価償却による節税メリットが減少します。そこで、ローン残高より市場価格が大きいタイミングで売却し、次の投資物件に乗り換える「出口戦略」が重要になります。
東日本不動産流通機構のレインズデータでは、築15〜20年での区分マンション売却益が平均7.3%と最も高く、築25年を過ぎると逆にマイナスに転じる傾向が出ています。つまり、15年目までに売却を視野に入れ、再投資することでメリットを最大化しやすいのです。
税制優遇を活かすコツ
実は、税金の知識が収益を押し上げる最後のピースです。投資用物件の減価償却費は「非現金支出」であり、キャッシュフローを維持したまま課税所得を抑えます。また、所得税の総合課税では、給与所得と不動産所得を合算したうえで課税額が決まるため、欠損金が給与と損益通算されれば還付を受けられるケースもあります。
2025年度の個人所得税法では、不動産所得の赤字を給与所得と通算できる制度が継続予定です。ただし、過大な設備投資による赤字は税務調査で否認される例もあるため、市場価格とかい離した高額設備を計上しないことが重要です。
さらに、相続税対策としても物件評価が路線価で算定されるため、時価より低く評価される傾向があります。金融資産を不動産に組み替えるだけで、評価額が3割ほど圧縮されるケースも珍しくありません。こうした節税メリットは知識と実行力があってこそ享受できます。
まとめ
本記事では、家賃収入と売却益という二本柱が生む利益構造、空室や金利上昇がもたらすデメリット、そして資金計画・長期保有・税制優遇を通じて「メリット・デメリット メリット」を最大化する方法を紹介しました。最終的に重視すべきは、自身のリスク許容度を把握したうえで、立地と資金を適切に組み合わせることです。これから物件を探す読者は、今日得た知識を基に収支シミュレーションを作成し、少額でも先に行動して経験値を積むことを強くおすすめします。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 日本不動産研究所 市場調査レポート – https://www.reinet.or.jp
- 総務省 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp
- 東日本不動産流通機構(レインズ) 2025年市場動向 – https://www.reins.or.jp