年収が1,000万円前後になると、預貯金だけではお金を眠らせている感覚が強まり、「そろそろ資産運用を」と考える方が増えます。しかし株式や暗号資産は値動きが大きく、まとまった金額を一度に投じるのは不安が残ります。そこで安定収益を期待できるマンション投資が候補に上がります。本記事では、そのメリットと始め方を基礎から解説し、2025年の最新データを交えながら、年収1,000万円層に「おすすめできる」理由と注意点を整理します。
マンション投資が年収1000万円層に向く理由

重要なのは、年収1,000万円という水準が金融機関の与信評価で有利に働きやすい点です。住宅ローンとは別枠で投資用ローンを組めるため、自己資金を温存しながらレバレッジ(借入で自己資金効率を高める手法)を活用できます。
まず、与信枠が広いことで金利交渉に余裕が生まれます。たとえば都市銀行の投資用ローンは、年収800万円未満では変動金利2.3%前後が目安ですが、1,000万円を超えると1.8%台へ下がるケースが散見されます。0.5%の差でも30年総返済額は数百万円単位で変わるため、この恩恵は大きいと言えます。
さらに、一定の余裕資金を確保しやすいことから、突発的な修繕や空室発生にも耐えられる点が強みです。マンション投資のリスクは「長期で構えられるキャッシュフロー管理」によって大幅に軽減できます。つまり収入規模がリスク耐性を裏付け、安定運用の土台になります。
最後に、所得税・住民税の節税メリットです。減価償却費を活用すると、不動産所得の赤字を給与所得と通算でき、手取りベースでのキャッシュフローが向上します。税率が23%を超える所得帯だからこそ、この効果が実感しやすい点も大きな魅力と言えるでしょう。
まず押さえておきたい資金計画と融資のポイント

ポイントは、物件価格の20〜30%相当を「自己資金+予備資金」として用意し、残りをローンで賄うバランスです。この比率が金融機関の審査を通りやすくし、返済比率35%以内を保つ目安となります。
最初の段落では、諸費用を見落とさないことが欠かせません。登録免許税、司法書士報酬、ローン手数料などで物件価格の6〜8%が必要です。ここを自己資金に含めずに計画すると、急な資金繰りに苦労します。実は、この初期費用を含め自己資金割合を考えることが、キャッシュフロー(毎月の純収入)の安定化につながります。
次に、返済期間と金利タイプの選定です。2025年12月時点では、変動金利が年1.7〜2.0%、固定金利が2.5〜3.0%が一般的です。長期保有を前提とするマンション投資では、金利上昇リスクに備え、10年固定後の見直しを検討する方法も有効です。一方で、早期繰上返済を視野に入れるなら低金利の変動型が機動的と言えます。
最後に、保守的なシミュレーションが欠かせません。空室率20%、金利上昇1.5%、修繕積立月額1.3倍といった厳しめの条件を設定し、それでも月間キャッシュフローがプラス1万円以上を維持できるか確認してください。こうした試算を通じて、レバレッジの度合いを調整することが失敗を防ぐ近道です。
物件選びで重視すべき最新トレンド
まず押さえておきたいのは、都心近接エリアの単身者需要が依然として堅調だという事実です。不動産経済研究所のデータによれば、2025年の東京23区新築マンション平均価格は7,580万円と高騰していますが、賃料は年2〜3%の上昇を維持しています。この賃料成長が投資利回りを下支えしています。
一方で、フルリノベーション済みの中古区分マンションに注目が集まっています。新築価格が上がるほど中古の相対的魅力が高まり、利回りは新築比で1〜1.5%程度高くなる傾向があります。購入価格を抑えつつ築年数15年以内を選べば、修繕費リスクも限定的です。
また、賃借人のライフスタイル変化に適応した設備が重要です。無料インターネット、防犯性の高いスマートロック、宅配ボックス完備はもはや標準装備となりつつあります。これらがない物件は空室期間が伸びるため、購入時にチェックリスト化しておくべきでしょう。
最後に、立地調査では「駅徒歩10分以内」に加え、周辺の再開発計画と人口動向を確認してください。国勢調査の自治体別人口推計では、品川区や豊島区などで2020〜2025年にかけて若年単身世帯が増加しています。具体的な数字を元に需要を判断すると、賃料下落リスクを抑えられます。
税制優遇と2025年度の公的支援策
実は、マンション投資には2025年度も使える税制メリットが複数存在します。最大のものは「減価償却費の計上」です。鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は47年で、築10年の中古を購入すれば残存37年を償却できます。この費用計上により、手取り所得を圧縮し税負担が軽くなります。
また、所得税法第69条に基づく損益通算により、不動産所得の赤字を給与所得と合算できます。年収1,000万円の場合、所得税と住民税を合わせた実効税率はおよそ28%です。年間100万円の赤字を計上すれば、およそ28万円の節税効果が期待でき、キャッシュフローに直結します。
2025年度の公的支援策として覚えておきたいのが「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」の延長です。直系尊属からの贈与で既存住宅の場合1,000万円まで非課税枠が使えます(適用期限2026年12月契約分まで)。投資用マンションでも、名義を投資家本人とし贈与資金で購入する形なら利用可能です。ただし要件が細かいため、税理士へ事前相談が必須です。
以上のように、税制と支援策を適切に組み合わせることで、実効利回りを1%前後引き上げる余地があります。制度は年度ごとに改正が入るため、必ず最新の国税庁や国土交通省の情報を確認しましょう。
長期安定運用のためのリスク管理
ポイントは、物件取得後の「運営コスト最適化」と「出口戦略」をセットで考えることです。表面利回りが高くても、ランニングコストがかさめば手残りは減ります。
まず、管理委託契約を見直すだけで経費削減が可能です。管理会社の手数料は賃料の3〜5%が一般的ですが、複数物件を同一会社に委託すると2.5%程度に交渉できる場合があります。小さな差でも10年単位でみれば数十万円の削減効果になります。
次に、修繕積立金の推移を把握し、資金繰り表に反映させます。国交省「マンション総合調査」の平均では、築20年時点で月額286円/㎡ですが、築30年で458円/㎡へ上がります。将来の引き上げ幅を織り込めば、収支計画が保守的になります。
最後に出口戦略です。売却益を得るには築15年程度までの段階で市場動向をチェックし、賃料下落より価格下落が緩やかなタイミングで売りに出すことが基本です。そこで重要なのが「流動性の高いエリア選定」を最初から行うことです。流通事例が多い駅徒歩5分圏内なら、査定価格が安定しやすく、最終的なIRR(内部収益率)向上に寄与します。
まとめ
本記事では「年収1000万 マンション投資 おすすめ」というテーマで、資金計画、物件選び、税制優遇、リスク管理までを一気に整理しました。金融機関の優遇を活かして自己資金効率を高める一方、保守的なシミュレーションで空室や金利上昇に備える姿勢が重要です。税制や支援策を活用すれば、手取り利回りをさらに底上げできます。まずは自身の与信枠とキャッシュフロー表を作成し、信頼できる不動産会社や税理士に相談することからスタートしましょう。着実な準備が、長期的な資産形成への最短ルートになります。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudosankei.jp
- 国税庁 – https://www.nta.go.jp
- 国土交通省「マンション総合調査」 – https://www.mlit.go.jp
- 東京カンテイ「賃料動向レポート」 – https://www.kantei.ne.jp
- 日本銀行「貸出金利推移」 – https://www.boj.or.jp