年収が1500万円を超えると、手元資金や与信枠に余裕ができる一方、税負担の大きさに悩む方が増えます。そこで注目されるのが収益物件への投資です。本記事では、高所得者だからこそ活用しやすい融資の組み方、物件タイプの選定、そして税メリットまでを丁寧に解説します。読み終えるころには、ご自身に合った「年収1500万以上 収益物件 おすすめ」の具体像が見えてくるはずです。
年収1500万円世帯が収益物件を選ぶ前に押さえる資金戦略

重要なのは、自己資金と融資をどう組み合わせるかを最初に決めることです。高所得者は審査上の優位性があるものの、レバレッジをかけ過ぎると手残りが減る点に注意が必要です。
まず自己資金は物件価格の二〜三割を目安にします。この比率なら金融機関の評価が高まり、金利優遇を受けやすくなります。また、毎年のキャッシュフローにゆとりを持たせることで、突発的な修繕費にも対応できます。
次に検討したいのがフルローンとオーバーローンの是非です。年収水準が高いと返済比率の条件を満たしやすくなりますが、固定資産税や保険料を含む総返済負担率が四割を超えると、生活費や再投資資金を圧迫します。銀行の提示する「返済比率三五%以内」を一つの目安に、無理のない借入額を算定しましょう。
総費用を把握するためには、購入時の仲介手数料や登記費用だけでなく、金利上昇シナリオも含むシミュレーションを行います。日本銀行のデータでは、2025年10月時点の変動金利平均は1.3%前後ですが、固定金利との差は縮小傾向です。五年後に0.5ポイント上昇するケースまで試算しておけば、より安全な資金計画になります。
キャッシュフローを最大化する物件タイプと立地

ポイントは、高所得者向けローン条件を活かしつつ、空室リスクの低いエリアと間取りを選ぶことです。安定こそが長期投資のリターンを押し上げます。
実は、都心ワンルームよりも郊外のファミリータイプを選ぶ戦略が近年見直されています。国土交通省の住宅着工統計によると、2025年時点で三大都市圏のファミリー向け賃貸需要は堅調です。共働き世帯の増加に伴い、駅徒歩十〜十五分でも駐車場付き物件の稼働率が高まっています。
一方で、単身者向けワンルームは供給過多の地域があり、礼金ゼロやフリーレント競争が常態化しています。年収1500万円クラスであれば、初期投資がやや大きくても、築浅ファミリータイプやテラスハウスを複数戸持つ方が、月々の純収益が安定する傾向にあります。
また、商業地近接の一棟レジデンスにも目を向けましょう。同じ利回りでも区分より減価償却費を多く計上でき、手残りが増えます。東京都心では表面利回り四〜五%が中央値ですが、埼玉や千葉の準都心なら六%超の案件も珍しくありません。立地評価は賃料下落余地とセットで考え、将来の修繕計画を織り込んだ利回りで比較することが肝心です。
税効果を高めるための購入スキーム
まず押さえておきたいのは、所得税の累進課税を和らげるために損益通算を活用する方法です。減価償却費が大きい木造一棟アパートなら、取得初年度から七〜九年は赤字計上もしやすく、高額納税者ほど節税効果が大きくなります。
法人設立も選択肢です。2025年度の中小法人税率は所得八百万円以下で一五%、超過部分が二三・二%です。個人の最高税率四五%と比べると、大きな軽減幅があります。設立費用と事務負担はかかりますが、家族を役員にして給与分散を図る、退職金規定を設けるなど、長期的に見ると利点が増えます。
ただし、金融機関の融資姿勢は法人一期目に厳しく、代表者保証を求められるケースが一般的です。そのため、最初は個人名義で購入し、減価償却が薄くなる七年目以降に法人へ売却する「資産移転型」のスキームも検討価値があります。移転時の譲渡所得税と登録免許税を試算し、トータルで節税になるか見極めてください。
加えて、相続税対策としての評価減も見逃せません。国税庁の路線価評価では、貸家建付地の評価額が自用地の八割程度まで下がります。高所得者は資産規模が大きいほど将来の相続税が膨らむので、早い段階で賃貸不動産を組み込むと、資産移転がスムーズになります。
ポートフォリオ構築で重視すべきリスク管理
まず、物件が増えるほど自然災害リスクや賃料下落リスクが分散される一方、管理体制が複雑になる点を理解しましょう。つまり、収益力と管理コストのバランスを取ることが成功の鍵です。
エリア分散は有効ですが、管理会社がエリア外になると対応が遅れる場合があります。東京都内と隣県の二地域に絞り、同じ管理会社で任せるなど、実務負担を抑える仕組みを作ると良いでしょう。また、火災保険と地震保険は再調達価額で契約し、免責金額を下げすぎないことで、保険料を最適化できます。
金融面では、変動金利と固定金利を組み合わせる「バスケット型」の借入が効果的です。二割から三割を全期間固定にしておけば、金利が急上昇してもキャッシュフローが一気に悪化する事態を避けられます。日本政策金融公庫の統計では、2025年は不動産投資向け固定金利が二%台前半で推移しています。
空室リスク対策としては、リフォーム計画を事前に立てることが大切です。築十年を過ぎたら水回り設備の更新費を積み立て、賃料維持のために室内デザインを定期的にアップデートします。長期入居者に対するリテンション施策として、Wi-Fi無料化や宅配ボックスの設置が費用対効果の高い改善策として人気です。
2025年度の市場動向と投資判断のタイミング
基本的に、金利と物件価格の両面を見て投資タイミングを測る姿勢が欠かせません。2025年は中古マンション価格の上昇が鈍化し、利回りが回復傾向にあります。
国土交通省の不動産価格指数によれば、2025年第三四半期の首都圏中古マンション指数は前年同期比で一・二%の上昇にとどまりました。供給戸数が増えた結果、売主が値下げ交渉に応じやすくなっています。この局面で自己資金を厚く用意し、指値で交渉できれば、表面利回りを〇・五ポイント以上高める余地があります。
一方、日銀は段階的な政策修正を示唆しており、長期金利が緩やかに上昇する公算が大きいです。固定金利は先に上がりやすいため、融資承認後、物件引き渡しまでの期間を短くして金利変動の影響を抑えると安心です。
最後に、賃貸需要が強いエリアでも新築供給が急増すると競争が激化します。総務省の将来人口推計では、二〇三〇年に向けて単身高齢者世帯が増える予測があります。高齢者でも住みやすいエレベーター付き物件や、段差の少ないバリアフリー設計の中規模マンションは、今後の差別化要素になり得ます。
まとめ
この記事では、年収1500万円以上の方が収益物件を選ぶ際の資金戦略、物件タイプ、税効果、リスク管理、そして2025年度の市場動向を解説しました。重要なのは、借入比率を慎重に調整し、空室リスクが低いファミリー向けや一棟レジデンスを中心にポートフォリオを組むことです。さらに、減価償却や法人化を活用すれば、税負担を抑えながら手残りを増やせます。今日から具体的なシミュレーションを行い、自分に最適な投資プランを描いてみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅着工統計 https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/
- 国土交通省 不動産価格指数 https://www.mlit.go.jp/real_estate_price_index/
- 日本銀行 金融経済統計月報 https://www.boj.or.jp/statistics/
- 日本政策金融公庫 融資利率情報 https://www.jfc.go.jp/
- 国税庁 路線価図・税務情報 https://www.rosenka.nta.go.jp/
- 総務省 将来人口推計 https://www.stat.go.jp/