不動産の税金

中央区 不動産投資で失敗しない戦略

東京で堅実に資産を築きたい人にとって、中央区は常に魅力的な選択肢です。銀座や日本橋という世界的ブランドが並び、賃借人の層も多様で家賃水準が安定しているからです。しかし物件価格が高い分、利回りを確保するには綿密な計画が欠かせません。本記事では、中央区 不動産投資のマーケット特性から資金計画、2025年度の優遇制度までを網羅し、初心者でも実践できる戦略を示します。読み終えた頃には、購入前に押さえるべき数字とリスク管理の勘所が具体的にイメージできるはずです。

中央区市場が投資家を引きつける理由

中央区市場が投資家を引きつける理由のイメージ

ポイントは人口密度の高さと企業集積による賃貸需要の底堅さです。まず、総務省の2025年国勢調査速報では、中央区の夜間人口は15年間で約1.3倍に増えています。同期間に23区全体の増加率は1.1倍にとどまり、都心回帰の勢いが際立ちます。

次に、東京都都市整備局の住宅市場動向調査では、中央区の平均空室率は2025年時点で3.4%と低水準です。これは都心3区平均(4.1%)より0.7ポイント良好で、物件取得価格が高くても空室リスクを抑えられる環境を示しています。家賃中央値はワンルームで月12万円前後と高めですが、堅調な需要があるため賃料の下落幅も限定的です。

さらに、日本銀行が公表する「不動産投資関連融資動向」では、中央区所在物件への融資残高が2020年比で12%増えています。金融機関がリスクを低いと判断している証左であり、金利面でも優遇されやすい傾向があります。一方、取得競争が激しく価格上昇が続くため、表面利回りが4%台前半にとどまる物件も珍しくありません。つまり、長期目線でのインカムゲインと資産価値の維持が投資テーマとなります。

物件タイプ別に見るリターンとリスク

物件タイプ別に見るリターンとリスクのイメージ

まず押さえておきたいのは、物件タイプにより収益構造が大きく異なる点です。中央区ではワンルームとコンパクトファミリーの供給が多く、それぞれに異なるメリットがあります。

ワンルームは銀座・新富町周辺に集中しており、平均購入価格3,500万円前後、利回りは4.0〜4.5%が目安です。転勤族や単身富裕層がターゲットになり、賃料減額交渉が起きにくいのが強みです。しかし、昨今の民泊規制強化で短期貸しの出口は描きにくく、長期賃貸に特化した運用を前提にする必要があります。

一方、50㎡前後のコンパクトファミリー物件は月額賃料25万円台で回せるため、実質利回りは4.3〜4.8%とワンルームと大差ありません。それでも、家賃の絶対額が高いため空室期間が長引くリスクがあります。管理会社の募集戦略次第で収益がぶれやすい点を把握しておきましょう。

オフィス区分や店舗区分も選択肢ですが、2023年以降リモートワーク定着でフロア需要が戻りきっていません。都によると中央区の小規模オフィス空室率は7%台と住宅より高く、初心者にはハードルが高いのが実情です。つまり、居住用区分を軸にし、用途変更やリノベーションで付加価値を付ける戦略が現実的と言えます。

資金計画と融資の最新動向

実は、中央区の物件を購入する際は、金利よりも自己資金比率が収支に与える影響が大きくなります。物件価格が高いため、自己資金を20%以上投入すると返済比率が一気に下がり、キャッシュフローが安定します。

たとえば4,000万円のワンルームを金利1.5%・35年でフルローンすると、月返済は約11万7千円です。管理費ほか月1万8千円を加えると支出は13万5千円となり、家賃12万円では赤字になります。自己資金800万円を入れ、融資額を3,200万円に抑えれば、月返済が約9万4千円に下がり、年間30万円弱の黒字に転じます。

金融機関の姿勢にも変化があります。日本政策金融公庫は2025年度も個人向けアパートローンを継続し、耐震・省エネ基準を満たす物件には0.2%の金利優遇を実施しています。都市銀行は区分マンションへの融資をLTV(融資比率)80%までに制限する傾向ですが、その分固定金利を1%台前半で提示するケースが見られます。複数行を比較し、繰上返済の可否や団信(団体信用生命保険)の内容をチェックすることが重要です。

もう一点、購入時諸費用として物件価格の6〜8%が必要になります。登記費用や修繕積立基金を含むため、手元資金が物件価格の25%程度あれば、想定外の出費にも柔軟に対応できます。

運用管理で差がつくポイント

基本的に、中央区では立地よりも「部屋の質」が賃料を左右します。駅近でも築年が古く設備が旧式だと、賃料が相場より2万円以上下がる例も珍しくありません。そこで、購入後のリノベーション計画を前提に価格交渉する手法が効果的です。

たとえば築25年のワンルームを200万円で内装更新し、浴室を最新ユニットに変更すると、月額賃料が1万5千円上がるケースが多く見られます。年間18万円の増収となり、投資額の回収期間は約11年です。減価償却を活用すれば課税所得を圧縮できるため、実質回収期間はさらに短くなります。

管理会社との連携も欠かせません。日本橋や勝どきエリアでは外国籍テナントの比率が高まっており、英語対応や24時間サポートの有無が成約に直結しています。半年に一度の賃料査定を依頼し、周辺相場の変化に合わせて募集条件を微調整すると、空室期間を平均1.2か月以内に抑えやすくなります。

さらに、デジタルツールの活用で業務効率を高めることが可能です。2025年に全面解禁されたオンライン重要事項説明を取り入れると、入居審査から契約までを遠隔で完結でき、転勤前の内見が難しい顧客を取り込めます。こうした運用ノウハウが長期的な収益差となって現れます。

2025年度の制度と税制優遇を活用する

重要なのは、現行制度を正しく理解し、キャッシュフローに反映させることです。まず、住宅ローン減税は2025年度入居分まで適用され、床面積40㎡以上の区分所有でも控除対象となります。個人が自宅兼投資として取得し、将来賃貸に転用する計画なら、最初の13年間は年末ローン残高の0.7%を所得税から差し引けます。

投資専用物件の場合は、減価償却費による節税効果が鍵です。築25年超の耐用年数切れ区分を購入すれば、最短4年で大部分を償却できます。国税庁の耐用年数表は2025年度も変更がなく、鉄筋コンクリート造(RC)は47年が基準です。中古物件を短期で償却する場合、残存耐用年数×0.2で計算されるため、実効税率30%の高所得者ほどキャッシュフローが向上します。

補助金も見逃せません。国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は2025年度も継続し、登録施工業者を通じて耐震・省エネ改修を行うと最大100万円の補助を受け取れます。中央区の古いマンションで耐震評点が不足している場合、この制度を活用すると物件価値の底上げと修繕費軽減を同時に実現できます。

最後に、東京都の「ゼロエミ住宅推進事業」が区分マンションの共用部にも拡大され、太陽光パネル設置に対して1kWあたり10万円の補助が出ます。管理組合と連携して導入すれば、電気料金の削減で管理費の上昇を抑えられ、長期的な競争力を確保できます。

まとめ

中央区は人口増とブランド力に支えられ、安定した賃貸需要が続いています。それでも物件価格の高さが収益を圧迫するため、自己資金比率と長期保有を前提にした資金計画が欠かせません。ワンルームでもファミリータイプでも、リノベーションや高品質な管理で付加価値を付けることが収益向上の近道です。さらに、2025年度の減税や補助金を活用すると、実質利回りを1ポイント以上引き上げる余地があります。今こそ制度と市場データを味方につけ、計画的に一歩を踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 総務省統計局 2025年国勢調査速報 – https://www.stat.go.jp
  • 東京都都市整備局 住宅市場動向調査2025 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
  • 日本銀行 金融システムレポート附属統計 2025 – https://www.boj.or.jp
  • 国税庁 法人税基本通達 耐用年数表(2025年版) – https://www.nta.go.jp
  • 国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業 2025 – https://www.mlit.go.jp
  • 東京都 環境局 ゼロエミ住宅推進事業 2025 – https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp

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