不動産の税金

マンション投資 新築vs中古 最新ガイド2025

不動産投資に興味はあるものの、「新築と中古のどちらを選ぶべきか」で足が止まっていませんか。価格や利回り、資産価値の将来性など比較軸が多く、情報も錯綜しています。しかも市場は毎年変化し、2025年のデータを踏まえないと判断を誤る恐れがあります。本記事では最新統計と実務経験をもとに、新築と中古それぞれの特色を整理し、初心者でも自分に合う選択肢を見つけられるよう解説します。読み進めれば、購入前に押さえるべき数字とリスク管理のコツがすっきりつかめるでしょう。

新築マンション投資の魅力と注意点

新築マンション投資の魅力と注意点のイメージ

まず押さえておきたいのは、新築が持つ「初期状態の良さ」と「販売戦略による価格上昇」です。2025年12月時点で東京23区の新築平均価格は7,580万円と、不動産経済研究所の調査で前年比3.2%上昇しました。設備や管理体制が最新仕様のため、入居者が募集しやすく修繕コストも当面低く抑えられます。

しかし価格が高い分、利回りは相対的に低くなります。家賃が周辺相場に連動する一方で物件価格は販売初期の広告費やモデルルーム費用まで含むため、購入直後の評価額はやや割高になりがちです。また固定資産税の軽減措置が最初の数年間しか続かないことも踏まえ、長期保有で回収する覚悟が欠かせません。

さらに金融機関の融資評価は堅いものの、借入額が大きくなる点に注意が必要です。返済期間を延ばすと月々のキャッシュフローは改善しますが、総支払利息は膨らみます。したがって自己資金を2割以上用意し、返済比率を家賃収入の50%以内に保つなど、保守的な計画が望ましいでしょう。

中古マンション投資の強みと課題

中古マンション投資の強みと課題のイメージ

ポイントは、購入価格が割安になりやすく、実質利回りを高めやすいことです。築20年前後の都心ワンルームなら4,000万円台で取得でき、想定家賃と比べると新築より1〜2%高い表面利回りが期待できます。加えて過去の入居履歴や修繕履歴を確認できるため、運営シミュレーションを現実的に作成できます。

一方で、建物の劣化や共用部の修繕積立金不足など隠れたリスクを見逃さない姿勢が不可欠です。国土交通省の調査では、大規模修繕を予定より先送りしている管理組合は全体の約17%に上ります。購入前に長期修繕計画と積立金残高を取り寄せ、必要なら専門家に診断を依頼すると安心です。

資産価値の下落速度も築年数によって異なります。レインズの成約事例をみると、都心部では築30年を過ぎても立地が良ければ価格下落は緩やかですが、郊外では築25年以降に値下がりが加速する傾向があります。つまり立地と管理状態の見極めが、数字以上に重要となるわけです。

キャッシュフローと利回りの最新比較

実は家賃収入の見込みと返済負担のバランスが、投資成否を左右します。新築ワンルームをフルローンで購入した場合、表面利回りが4%前後でも返済比率が高く、手取りは月数千円にとどまるケースが珍しくありません。対して中古で6%の利回りを確保できれば、同じ家賃でも購入価格が抑えられ、返済後に残る現金が増えます。

ただし中古は修繕費が突発的に発生しやすいため、毎月家賃の10%を修繕積立として内部留保する運営が安全です。新築も10年目以降は給湯器やエアコン交換が必要になり、キャッシュフローは徐々に細る点を忘れてはいけません。

日本賃貸住宅管理協会の最新統計では、都心ワンルームの平均空室期間は新築で1.2カ月、中古で1.8カ月と極端な差は見られません。つまり賃貸需要が強いエリアを選べば、築年にかかわらず安定運営が可能です。利回りだけで判断せず、空室リスクと修繕リスクを折り込み、実質利回り(ネット利回り)を算出する姿勢が有効といえます。

資産価値とリスク管理のポイント

重要なのは、将来売却する出口戦略を最初から設計しておくことです。国土交通省「不動産価格指数」によると、東京23区マンション価格は2013年以降右肩上がりですが、エリア間で差が広がっています。駅近かつ再開発が続く地区は需要が底堅く、築古でも値下がりしにくい傾向が確認できます。

耐震基準も無視できません。1981年6月以前の旧耐震物件は、金融機関が融資を渋る場合があります。中古を選ぶなら新耐震基準以降、できれば1998年の省エネ基準も満たす物件が将来の買い手に好まれるでしょう。加えて長期修繕計画が実行されているか、管理費や積立金が適正かを精査すれば、想定外の費用発生を低減できます。

また災害リスクの観点では、自治体のハザードマップを確認し、浸水想定区域かどうかを調べてください。洪水リスクが高いエリアは保険料が上がり、売却時の価格交渉でも不利になりがちです。将来の出口を見据え、「立地」「耐震」「管理」「災害」の四つを総合評価することがリスク管理の軸になります。

2025年度の融資環境と税制トピック

まず金融機関の融資姿勢ですが、2025年度は日銀の緩やかな利上げ観測が続く中、住宅ローン金利は年0.4〜0.9%台で推移しています。投資用ローンは1.8〜3.5%が目安となり、自己資金を多めに入れるほど金利優遇が得られる傾向が強まりました。また耐震性や省エネ性能を満たす物件に対し、金利を0.2%下げる「環境配慮型住宅ローン」を導入する銀行が増えています。

税制面では、新築・中古いずれも減価償却費が節税効果の柱です。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年で、新築なら定額法、中古なら残存年数をもとに定率法または定額法を選べます。築古ほど償却が大きくなり、所得税負担を圧縮しやすくなりますが、赤字が続くと金融機関の評価が下がるため、キャッシュフローとの両立がカギとなります。

さらに2025年度税制改正大綱では、賃貸住宅の省エネ改修に対する固定資産税の一部減免が延長されました。適用期限は2026年3月31日までで、一定の断熱改修工事を完了すると翌年度の固定資産税が1/3軽減されます。中古物件を取得し、省エネ改修を行う投資家にとっては魅力的な制度と言えるでしょう。

まとめ

ここまで新築と中古の最新事情を比較してきました。価格の安定と設備の新しさを求めるなら新築、初期投資を抑え高利回りを狙うなら中古が基本的な考え方です。ただし実際の成否は立地と管理状態、そして融資条件の三つで決まります。投資判断の前には、購入価格だけでなくキャッシュフローと修繕計画を必ず精査してください。そのうえで出口戦略まで描けば、市場環境が変わっても柔軟に対応できます。まずは気になる物件を絞り込んだうえで、金融機関の事前審査と専門家による物件調査を同時進行し、納得いく一歩を踏み出しましょう。

参考文献・出典

  • 不動産経済研究所 – https://www.fudosankeizai.co.jp
  • 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
  • 国土交通省 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
  • 日本賃貸住宅管理協会 賃貸住宅市場景況感調査 – https://www.jpm.jp
  • 国土交通省 ハザードマップポータルサイト – https://disaportal.gsi.go.jp

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