土地だけを先に購入したいと考えたとき、多くの方が最初にぶつかるのが「土地のみでも住宅ローンは使えるのか」という疑問です。実は、その答えは土地を買う目的や利用する金融機関によって大きく変わります。同じ「土地のみ」でも、将来自宅を建てる前提なのか、投資目的なのかで、使える融資商品も団体信用生命保険(団信)の扱いもまったく異なってくるのです。
この記事では、土地のみ購入でローンを組む仕組みから、東邦銀行をはじめとする主要金融機関の具体的な条件、団信に入れない場合の代替手段、さらに見落とされがちな住宅ローン控除の注意点まで詳しく解説します。銀行名ベースで実務的に整理していますので、土地購入を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
土地のみの購入で住宅ローンは使えるのか
まず押さえておきたいのは、純粋に「土地だけ」を購入する場合、一般的な住宅ローンは原則として使えないという点です。住宅ローンは居住用の住宅とその敷地を取得するための融資であり、建物の建築計画がない土地購入には基本的に対応していません。
たとえば住信SBIネット銀行の土地先行プランでは、その説明書に「土地購入資金のみのご融資には、ご利用いただくことはできません」と明記されています。同じ銀行のなかでも商品によって扱いが分かれ、東邦銀行でも無担保住宅ローンの新築購入プランでは「土地のみの取得費用は対象外」とされています。つまり、住宅ローンを使いたいなら、その土地に自宅を建てる計画があることが前提になるわけです。
一方で、地域の信用金庫などでは限定的に土地のみの購入へ対応する例もあります。杜の都信用金庫では、隣地や底地、家族のための土地購入であれば利用でき、借入額は50万円以上8,000万円以内、期間は1年以上35年以内、団信の保険料は信用金庫が負担するとしています。ただしこうした商品は用途が厳しく絞られており、投資用や資産保有目的の土地取得にそのまま使えるわけではありません。純粋な投資用地を狙う場合は、後述する不動産担保ローンなど別の手段を検討する必要があります。
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将来自宅を建てるなら「プラス7」など土地先行融資が有力
将来の住宅建築を前提とするなら、多くの金融機関が用意する「土地先行融資」が有力な選択肢になります。これは建物完成前の段階で、土地購入資金を住宅ローンの枠組みで借りられる制度です。
特に注目したいのが東邦銀行のスーパー住宅ローン「プラス7」です。この商品は、住宅を建てる時期が未確定でも、近い将来自宅を建てる前提の土地購入資金を対象にできる点が大きな特徴です。多くの銀行が「原則1年以内の着工」を条件とするなか、建築時期が定まっていない段階でも相談できるのは、土地探しから始めたい方にとって心強いポイントといえます。借入額は100万円以上1億円以内で、一定条件を満たせば必要資金の100%以内まで借りられ、土地購入資金のみの場合の返済期間は1年以上40年以内と長めに設定されています。
申込条件としては、借入時に満20歳以上満70歳以下で完済時が満84歳以下、勤続1年以上(自営業は営業2年以上)、前年の税込年収が200万円以上であることなどが求められます。年収や勤続の要件は一般的な住宅ローンと大きく変わらない水準ですので、給与所得者であれば比較的検討しやすい商品です。
同様の土地先行融資は他行にもあります。イオン銀行の土地先行住宅ローンは、原則1年以内に建物を建築予定の土地購入資金を対象とし、自己居住用に限定されます。借入額は200万円以上1億円以内、借入期間は1年以上35年以内で、年齢は借入時満71歳未満、完済時満80歳未満が条件です。ただし建物資金の融資が実行されるまでの間、土地資金は店頭表示利率での借り入れとなる点には注意しておきましょう。三井住友銀行も土地先行融資を扱っていますが、借入の都度、融資金額に対して2.2%の銀行手数料がかかる仕組みです。りそな銀行も土地代と建物代の2回に分けた借り入れに対応しています。
つなぎローンとの違いを「いつ何を払うか」で理解する
土地先行融資と並んでよく登場するのが「つなぎローン」です。これは住宅ローンが実行されるまでの間、土地代金や着工金、中間金などを一時的に立て替える短期融資を指します。注文住宅では支払いのタイミングが複数回に分かれるため、住宅ローン一本では資金が間に合わない場面に対応する仕組みです。
両者の違いは、支払いの流れを追うとわかりやすくなります。イオン銀行の注文住宅スキームでは、土地の手付金は自己資金で用意し、土地の残代金は土地購入用の住宅ローンで支払い、その後の着工金や中間金はつなぎローンで工務店に支払うという役割分担になっています。一方の土地先行融資は、住宅ローンそのものを2回に分けて実行する形で、最初に土地分を借り、建物完成後に2本目を実行するという組み立てです。
コスト面の差も見逃せません。ドコモSMTBネット銀行の土地先行プランは、正式審査が土地購入時の1回だけで済み、建物完成までは1回目の融資分について利息のみを返済する仕組みです。同行の比較では、つなぎ融資が通常2〜4%程度の金利で手数料も都度発生するのに対し、土地先行プランなら住宅ローン金利と手数料が一本分で済むとされています。事務取扱手数料は融資金額の2.2%です。同じネット銀行でも扱いは分かれており、auじぶん銀行は建物完成時の一括融資のみで、土地代や中間金のタイミングでの分割融資はできません。「ネット銀行だから土地に弱い」と一括りにせず、個別に確認することが大切です。
土地先行融資でも団信は必要になる
土地のみの段階で借り入れる場合でも、団信への加入は避けて通れないポイントです。団信とは、ローン返済中に契約者が死亡または高度障害状態になったとき、残りのローン残高が保険金で完済される仕組みの保険です。万が一のときに遺族が借金を背負わずに済むため、借り手にとっても金融機関にとっても欠かせない保障となっています。
東邦銀行では、住宅ローンを利用する場合は必ず団信に加入することが求められます。裏を返せば、団信に加入できない人は同じ住宅ローン商品をそのまま使えない前提で考える必要があるということです。団信の保障は選ぶプランによって金利上乗せが変わり、一般団信は上乗せなし、がん団信は年0.10%、全傷病団信αは年0.20%、ワイド団信とライフサポート団信は年0.30%となっています。手厚くするほど安心感は増しますが、その分コストが上がる点を理解しておきましょう。
イオン銀行の土地先行住宅ローンでも団信加入は必須です。ここで注意したいのは、健康上の理由で通常の団信に入れない人向けのワイド団信について、借入時満50歳未満・完済時満80歳未満という年齢条件があり、金利は年0.3%上乗せされる点です。年齢によって選べる団信の種類が変わるため、特に50代前後で検討する方は早めの確認が欠かせません。
団信に入れないときの代替手段
健康上の理由で通常の団信に加入できない場合でも、選択肢はいくつかあります。まず検討したいのが引受条件を緩和したワイド団信です。高血圧や糖尿病などの持病があっても、症状が安定していれば加入できる可能性があります。東邦銀行のワイド団信は借入時満20歳以上満50歳以下、最終返済時満80歳以下が条件で、金利は年0.30%の上乗せです。ただし年齢の上限が通常より厳しめに設定されている点には留意しましょう。
ワイド団信でも難しい場合の有力な代替候補が、住宅金融支援機構のフラット35です。フラット35は団信への加入が任意で、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合でも利用できるとされています。民間銀行の団信必須型ローンで断られた人にとって、現実的な受け皿となる仕組みです。フラット35の新機構団信は加入時の年齢が満15歳以上満70歳未満で、保障は満80歳の誕生日の属する月末までとされています。また新3大疾病付機構団信が否決となっても、一般の新機構団信へ切り替えて加入できる場合があるなど、間口の広さも特徴です。
ただしフラット35にも制約があります。住宅の建設とあわせて購入した土地であれば借入対象になりますが、土地の購入費のみを単独で借りることはできません。団信に加入しない場合は、収入保障保険のように保障額が年々減っていくタイプの民間保険で備える方法も合理的です。ローン残高の減少に合わせやすく、遺族の負担を軽くする効果が期待できます。
保険料負担なしの団信がある金融機関も
金融機関のなかには、基本の団信を保険料負担なしでセットしているところもあります。近畿ろうきんの住宅ローンは、住宅建築のための土地購入資金も対象にでき、ろうきん団信は保険料の利用者負担がありません。限度額は最高1億円、期間は最長50年で、会員組合員であれば保証料が無料になるうえ、がん団信の付保にかかる金利上乗せもないとされています。
2026年7月1日時点の優遇後金利は、変動金利型が年1.235%、固定金利選択型10年が年2.35%、全期間固定金利型が年3.25%でした。労働金庫や信用金庫の商品は、立場や区分によってコストが変わるため、自分がどの区分に該当するかを事前に確認しておくと判断しやすくなります。
投資用の土地なら不動産担保ローンという道
住宅建築を伴わない純粋な投資用や資産保有目的の土地では、住宅ローンや土地先行融資はほぼ使えません。この場合に候補となるのが不動産担保ローンです。オリックス銀行の不動産担保ローンは、既存の不動産を担保に不動産の購入や建築へ充てられるため、住宅ローンが使えない人の代替手段になり得ます。
同商品は原則2,000万円以上2億円以内、借入期間は1年以上35年以内で、団信への加入と借入額の2.20%以内の事務手数料が前提となっています。借入額の下限が高めなので、小規模な土地取得には向きませんが、まとまった資金を長期で調達したい場合には検討する価値があります。
見落としがちな住宅ローン控除の注意点
土地のみで先にローンを組むときは、税務面の扱いにも注意が必要です。住宅ローン控除は所得税などが軽減される制度ですが、土地のローンだけでは対象にならない可能性があります。国税庁のQ&Aでは、土地のみの住宅ローンで建物の新築に係る住宅ローンがない場合、住宅借入金等特別控除の適用は受けられないとされています。
土地購入分を控除に含めるには、住宅の新築・取得と一体であることが必要で、一定期間内に建築するなどの要件を満たさなければなりません。土地を買ったまま建築計画が進まない状態が続くと、控除のメリットを受けられなくなる恐れがあります。控除を見込んで資金計画を立てている方は、建築スケジュールを含めて税理士や金融機関に相談しておくと安心です。なお制度の詳細や要件は変わる可能性があるため、最新情報は必ず国税庁の公式サイトで確認してください。
金利と条件は必ず最新情報を確認する
住宅ローンや土地先行融資の金利は市場環境で頻繁に変わります。東邦銀行の店頭表示金利は2026年8月3日時点で変動が3.375%でしたが、給与振込やアプリ利用などの条件を満たすと、最下限で変動年0.800%まで下がる案内もありました。ただし、こうした最下限金利が魅力的に見えても、東邦銀行では保証料と事務手数料が別建てとなり、35年で1,000万円を借りる場合の保証料は103,080円〜515,280円、取扱手数料は88,000円がかかる点に注意が必要です。
初期コストの差は金融機関ごとに大きく異なります。イオン銀行は定額型110,000円(この場合は金利に年0.2%上乗せ)か、定率型2.20%を選ぶ形で、借入額や期間によって有利な方式が変わります。三井住友銀行は借入の都度2.2%、ドコモSMTBネット銀行も2.2%の事務手数料が発生します。金利表面だけを比べるのではなく、保証料や手数料まで含めた総コストで判断することが、長期的な負担を抑える鍵になります。適用金利は申込時期や審査結果、選ぶ団信プランでも変わるため、必ず各金融機関の公式サイトで最新条件を確かめましょう。
まとめ
土地のみの購入で住宅ローンを使えるかどうかは、将来の住宅建築計画があるかどうかで大きく分かれます。純粋な土地だけの購入では住宅ローンは原則使えませんが、住宅建築を前提とするなら、東邦銀行の「プラス7」やイオン銀行の土地先行住宅ローンといった仕組みを活用できます。特に「プラス7」は建築時期が未確定でも相談できる点で、土地探しから始める人にとって有力な候補です。
団信は遺族を守る重要な保障であり、東邦銀行のように加入必須の銀行が多い一方、フラット35のように団信なしでも借りられる商品もあります。健康面に不安がある方はワイド団信やフラット35、投資目的なら不動産担保ローンといった代替策も視野に入れましょう。土地購入は人生の大きな決断だからこそ、複数の金融機関を比較し、不明な点は担当者やファイナンシャルプランナーに相談しながら、納得のいく資金計画を立てていくことが大切です。
一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。
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