東京23区で区分マンション投資を検討しているものの、「2025年の利回り相場はどのくらいなのか」「エリアによってどれほど差が出るのか」と疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。実際のところ、都心マンションの利回りは全国平均と比べて低めに推移しています。しかし、この数字だけを見て投資判断を下すのは早計です。都心ならではの安定性や将来性を踏まえると、表面上の利回りでは測れない魅力が見えてきます。
本記事では、2025年最新のデータをもとに東京23区における都心マンションの利回り実態を詳しく解説していきます。物件タイプ別の相場感はもちろん、実質利回りへの換算方法やエリア選びの考え方、さらには金利上昇リスクへの備えまで順を追って説明します。最後まで読み進めていただければ、都心マンション投資の判断に必要な知識を体系的に身につけることができるはずです。
2025年東京23区の都心マンション利回り相場を読み解く

まず理解しておきたいのは、東京23区の区分マンション表面利回りが全国平均を大きく下回っているという現実です。健美家の収益物件市場動向レポートによると、全国平均の区分マンション利回りは6%台後半で推移しています。これに対して東京23区は、ワンルームタイプで約4.2%、ファミリータイプで約3.8%という水準にとどまっています。一見すると、地方物件の方が投資効率が良いように見えるかもしれません。
しかし、この差には明確な理由があります。東京23区は物件価格が高い反面、人口流入が継続しており空室リスクが全国的に見ても低い水準に抑えられています。総務省の住民基本台帳データを見ると、東京23区の人口は2025年も微増傾向を維持しており、賃貸需要は引き続き堅調です。日本不動産研究所の調査によると、2025年9月時点で東京23区の空室率はワンルームで3.1%、ファミリータイプで2.4%となっており、全国平均より2〜3ポイント下回っています。利回りの数字だけでは見えてこない安定性や将来的な資産価値を考慮すると、実質的な収益力は数字以上に高いケースが少なくありません。
なお、一棟アパートに目を向けると、東京23区でも平均5.1%程度の利回りが期待できます。ただし、購入価格が数千万円から数億円規模になるため、投資家層が区分マンションとは大きく異なります。初めて不動産投資に挑戦する方にとっては、1,500万円から3,500万円程度で取得できる区分マンションが現実的な選択肢となるでしょう。手堅く始めたい方は、まず区分マンションで経験を積み、その後に規模を拡大していくアプローチをおすすめします。
エリアによって大きく異なる都心マンションの利回り傾向

同じ東京23区内であっても、エリアによって利回りには明確な差が存在します。港区や渋谷区、千代田区といった都心3区では、表面利回りが4%を下回る物件が珍しくありません。これらのエリアでは物件価格が非常に高く設定されているため、賃料水準が高くても利回りとしては低くなりがちです。一方で、足立区や葛飾区といった城東エリアでは、過去には8%台の利回りを記録する物件も存在していました。
近年の傾向として注目すべきは、城東エリアの利回りが徐々に低下してきている点です。物件価格の上昇が進み、かつて8%台だった平均利回りは6%台後半へと収れんしつつあります。これは裏を返せば、城東エリアの不動産が投資対象として再評価されていることを意味します。再開発計画の進行や交通インフラの整備によって、エリアの魅力が高まっているのです。
利回りの差は、物件価格と賃料のバランスから生まれます。港区のワンルームマンションは3,500万円以上することも珍しくありませんが、家賃は10万円台後半が相場です。対して足立区では、同等の広さのワンルームが1,500万円前後で購入でき、家賃6万円台でも十分に借り手がつきます。単純計算では足立区の方が高利回りになりますが、入居者の属性や将来的な売却価格まで視野に入れると、どちらが有利かは一概には言えません。
都心3区のワンルームは表面利回り3〜4%台が中心ですが、城東エリア(江東・墨田・葛飾など)では5〜6%台に上昇します。さらに横浜・川崎エリアでは6〜7%台まで高まる傾向があります。都心で利回り5%を狙うのであれば、都心3区の新築よりも城東エリアや築古物件に目を向ける必要があるでしょう。
重要なのは、利回りの高低だけでなく、その背景にある需給構造をしっかりと理解することです。再開発計画が進行中のエリアや、大学キャンパスが近接する地域では、将来的な賃料上昇が期待できる可能性があります。逆に、人口減少が進む地域では、現在の高利回りを長期にわたって維持できない恐れもあります。国土交通省の不動産価格指数や各区の人口動態データを参照しながら、中長期的な視点でエリアを選定することが成功への近道となります。
表面利回りと実質利回りの違いを正しく把握する
表面利回りとは、物件価格に対する年間家賃収入の割合を示す指標です。計算式は「年間家賃収入÷物件価格×100」という非常にシンプルなもので、複数の物件を比較検討する際の入り口として便利に使えます。ただし、この数字には管理費や修繕積立金、固定資産税、空室損失といった経費が一切含まれていない点に注意が必要です。表面利回りだけで判断してしまうと、実際の収益性を大きく見誤る可能性があります。
一方で、金融機関は融資審査において表面利回りよりネット利回り(NOI利回り)を重視します。ネット利回りは「年間家賃収入−年間経費」を分子にするため、物件ごとに大きな差が出ます。たとえば年間家賃収入が240万円で物件価格が6,000万円の場合、表面利回りは4.0%になります。しかし管理委託費・修繕積立金・固定資産税などで年間50万円かかると、ネット利回りは3.2%まで下がってしまうのです。
具体的な例で考えてみましょう。2,500万円のワンルームマンションで、月額家賃が9万円の物件があるとします。年間家賃収入は108万円となり、表面利回りは4.32%と計算されます。しかし現実には、管理費と修繕積立金が月2万円、固定資産税が年7万円かかります。さらに平均的な空室率10%を見込むと、年間の手取りは約62万円まで下がってしまいます。これを物件価格で割った実質利回りは2.48%となり、表面利回りとの差は約1.8ポイントにも達するのです。
この乖離を理解せずに物件を購入すると、想定していた収益が得られずに困惑することになります。表面利回りはあくまで物件を「ふるい」にかけるための便利な指標であり、購入を最終決定する前には必ず実質利回りベースでシミュレーションを行うべきです。購入前には「ランニングコスト早見表」を作成し、修繕積立金の将来計画まで確認しておくことが重要です。諸経費の内訳を一つひとつ確認し、年間の手取りキャッシュフローがプラスになるかどうかを検証する習慣をつけることが、堅実な投資への第一歩となります。
2025年の価格動向と築年数別の利回り比較
データを活用する最大のメリットは「自分の感覚」を数字で検証できる点にあります。不動産経済研究所によると、2025年9月の新築マンション平均価格は東京23区で7,580万円となり、前年比3.2%上昇しました。価格が上がる一方で表面利回りが横ばいという状況は、購入後の値上がり益(キャピタルゲイン)を意識する戦略を取りやすいことを示唆しています。
しかし価格上昇局面で無理に新築を買うと、利回りがさらに低くなる恐れがあります。そこで注目したいのが築15年前後の「価格調整済み物件」です。国土交通省レインズの成約事例では、築15年区分マンションの平均成約単価は新築比で約30%低く、家賃は20%程度の下落にとどまるケースが多いとされています。このギャップを利用すれば、実質利回りを押し上げながら将来的な価格回復も狙えます。
新築物件は価格プレミアムが乗るため利回りが低く抑えられます。築5年では平均4.2%、築15年では4.8%、築20年超では5.5%程度と、築古になるほど表面利回りは改善します。東京都住宅供給公社のデータでは、築10年時点で新築時比マイナス7%という家賃下落率が示されており、長期的な収入減少リスクも考慮する必要があります。
築古物件で高利回りを狙う場合は、修繕積立金の増額や大規模修繕の時期を事前に把握しておくことが欠かせません。国土交通省のガイドラインによれば、築20年を超える区分マンションでは修繕費が築浅期の約1.5倍に増える傾向があります。また築30年を超えると大規模修繕費が累計で1,000万円を超える事例が多くなります。将来コストを織り込んだシミュレーションを行い、実質的な手残りを計算することが重要です。
物件選びで見落としてはならない重要ポイント
物件選びにおいて最も重視すべきは、立地の将来性です。現時点で利回りが高くても、入居者が集まらなければ投資として成り立ちません。立地を評価する際には、最寄り駅からの距離、周辺の生活利便施設、想定するターゲット入居者層という3つの観点から多角的に検討することをおすすめします。
20代から30代の単身者をターゲットにする場合、駅徒歩5分以内は必須条件と考えてよいでしょう。この層は通勤の利便性を最優先する傾向があり、徒歩10分を超えると急激に入居率が下がります。加えて、コンビニや飲食店が近くにあることも重要な要素です。忙しい単身者にとって、日常の買い物や食事の利便性は物件選びの大きな決め手になります。
一方で、共働きファミリー層をターゲットにする場合は評価軸が変わってきます。保育施設やスーパーが徒歩圏内にあることが重視され、間取りは2LDK以上が求められます。ターゲットの日常的な生活動線を具体的にイメージすることで、内見時のチェックポイントが明確になり、投資の失敗を避けやすくなるのです。
同じ利回りでも「家賃が高く空室が多い物件」と「家賃が低くほぼ満室の物件」ではリスクが大きく異なります。都心ワンルームで表面利回り4.2%とされる平均的な事例でも、空室期間が年間1か月あれば実質利回りは約3.8%に下がります。郊外アパートは表面利回り5.1%の例があるものの、入居付けに3か月以上要するエリアでは募集広告費や家賃値下げなどの追加コストが発生し、実質収益はさらに圧迫されます。
価格交渉の場面では、表面利回りと融資条件、空室リスクを総合的に判断する姿勢が求められます。売主との交渉で物件価格を2%下げることができれば、表面利回りは同じ割合だけ上昇します。さらに金融機関との交渉で融資金利を0.2ポイント下げられれば、年間のキャッシュフローが10万円以上改善するケースも珍しくありません。数字の小さな差が長期的な収益を大きく左右するため、妥協せずに粘り強く交渉に臨む姿勢が成功への鍵となります。
金利上昇リスクへの備えと資金計画の立て方
2025年の投資環境において見過ごせないのが金利動向です。日本銀行は緩やかな金融政策の正常化へと舵を切り、都市銀行の投資用ローン金利は2021年と比較しておよそ0.3ポイント上昇しました。主要都市銀行の投資用ローン変動金利は年1.8%前後で推移しており、金利上昇リスクを織り込んでもキャッシュフローが黒字化しやすい環境です。この上昇幅は一見すると小さく感じられるかもしれませんが、借入額が大きい不動産投資においては返済総額に直接的な影響を及ぼします。
具体的な数字で見てみましょう。2,000万円を30年返済で借り入れる場合、金利が1.5%から1.8%に上昇すると、返済総額は約100万円増加します。毎月の返済額に換算すると約2,800円の負担増ですが、これが空室期間と重なるとキャッシュフローが赤字に転落するリスクが生じます。安定した運用を続けるためには、返済比率を家賃収入の50%以下に抑え、修繕積立を含む固定費は15%以内に収めることを目安にするとよいでしょう。また返済比率を年収の35%以内に抑えるなど余裕を持った資金計画が必須です。
イールドスプレッド(NOI利回りと10年国債利回りの差)を見ると、都心3区では約0.7〜1.0%のプラス幅が確保されており、金利リスクを考慮しても投資成立性は高いといえます。この指標は不動産投資のリスクプレミアムを示すもので、投資判断における重要な参考値となります。
金利上昇への効果的な備えとして、繰上返済手数料が低い金融機関を選んでおくことが挙げられます。将来的に借り換えを検討できる余地を残しておけば、金利環境の変化にも柔軟に対応できるからです。また、地方銀行や信用金庫は地域活性化の観点から投資家に対して前向きな姿勢を示すことも少なくありません。都市銀行だけでなく、幅広い金融機関を比較検討することで、より有利な条件を引き出せる可能性が高まります。
修繕費と長期保有コストを見据えた投資計画
区分マンション投資において、修繕積立金の動向は見落としがちな重要ポイントです。2025年は建築資材費の高騰が続いており、外壁補修などの大規模修繕費が以前より1割から2割増しになる傾向が顕著になっています。購入前には必ず長期修繕計画を入手し、5年後や10年後に予定されている大規模修繕の内容と費用を確認しておくことで、不意の支出によるキャッシュショックを回避できます。
特に注意が必要なのは、修繕積立金が相場より低く設定されている物件です。現時点での支出が少なくて済むという利点がある一方で、将来的に一時金の徴収や積立金の大幅な値上げが発生する可能性を孕んでいます。管理組合の財務状況や積立金の残高推移、過去の修繕履歴をしっかりと確認することで、物件の健全性を客観的に判断できます。表面利回りが魅力的に見えても、数年後に修繕費負担で実質利回りが大きく低下してしまうケースは決して珍しくないのです。
管理委託費は賃料の5〜8%程度が相場であり、固定資産税は課税評価額の1.4%(都市計画税を含めると1.7%程度)です。これらの数字を事前にシミュレーションに組み込むことで、収益を安定させることができます。
リスク管理の観点からは、賃料保証付きの管理委託よりも、入居付けの実績を重視した管理会社選びをおすすめします。賃料保証は一見すると安心感がありますが、保証料の分だけ手取りが減少し、保証会社の経営状況次第では契約が継続されないリスクも存在します。サブリース契約は空室リスクを軽減しますが、保証賃料は市場家賃の80〜90%に設定される点に注意が必要です。複数の管理会社を比較検討し、空室期間の短さや入居者審査の質を基準に選定することが、長期的な収益の安定につながるのです。
税制優遇を最大限に活用して手残りを増やす
不動産投資の収益性を高めるうえで、税制の活用は非常に重要なテーマです。2025年度においても不動産取得税の軽減措置は継続しており、課税標準から1,200万円が控除されます。また固定資産税については、新築後3年間は建物部分が半額になる優遇措置が適用されます。なお耐火構造の場合は5年間に延長されるため、RC造のマンションを検討する際には早期取得が有利に働くケースが多いでしょう。
個人で賃貸経営を行う場合、青色申告を活用することで65万円の特別控除を受けることができます。さらに重要なのが減価償却費の存在です。減価償却費は実際のキャッシュ支出を伴わない経費として課税所得を圧縮する効果があり、税引後の手残りを大きく改善します。たとえば2,000万円の区分マンションで建物価格が80%、RC造47年の耐用年数を適用すると、定額法による年間の減価償却費は約34万円となります。表面利回りでは見えてこない「税引後利回り」の向上効果は、長期投資において非常に大きいと言えるでしょう。
減価償却費を適切に計上すれば課税所得が下がり、手残りが増えるケースがあります。2025年度も「建物部分の定額法」「耐用年数の短縮ルール」は継続しているため、税理士と連携してシミュレーションを行うことが賢明です。見かけ上は低利回りでも、税メリットを活用すれば実質的には高リターンを実現できる物件が見つかります。
ただし注意点もあります。2025年度末には「住宅省エネ2025キャンペーン」の補助金申請が終了予定となっていますが、投資用マンションはそもそも対象外です。居住用物件向けの優遇制度と混同しないよう気をつけてください。基本的には、汎用的な税制優遇と建物の耐用年数を意識しながら、長期にわたって恩恵が続く仕組みを選択することが堅実な戦略となります。
利回りを改善するための具体的な工夫
物件を買った後に利回りを「育てる」視点は非常に重要です。照明をLEDに交換しアクセントクロスを使うだけで、掲載写真の印象が変わり募集開始から1週間で申し込みが入った事例は少なくありません。壁紙の張り替えやフローリングのワックス掛けなど10万円以内の投資で、月額家賃を3,000〜5,000円アップできれば年間で3.6〜6.0万円の増収となります。表面利回りに換算すると0.6〜1.0ポイントの改善が見込めます。
インターネット無料設備の導入も効果的な施策です。総務省の通信利用動向調査では、入居者の約65%が「ネット無料」を物件選定の必須条件に挙げており、月額1,800円程度のコストで家賃を3,000円アップできれば表面利回りは確実に向上します。都心部では競合物件もネット無料を導入しているため、差別化のためには必須設備といえるでしょう。空室リスクを軽減する観点からも、設備投資でリスクを軽減する姿勢が重要です。
賃料査定を定期的に依頼し周辺相場と比較することで、値下げリスクを早期に察知できます。入居者トラブルや設備故障への迅速な対応は長期入居を促し、空室率を下げる効果があります。不動産会社が提示する利回りは「新築時の家賃設定」で計算されている場合が多い点にも注意が必要です。家賃下落率を加味せず購入すると、5年後には収入が5〜10%減ることも珍しくありません。将来の下落幅を保守的に見込むことで、計画と現実のギャップを縮められます。購入後も継続的に物件の競争力を維持する姿勢が、長期的な利回り改善につながります。
出口戦略と長期的なリスク管理
投資では「買うとき」と同じくらい「売るとき」を考えることが重要です。表面利回りが高くても将来的に買い手が付かなければ、キャピタルゲインは望めません。都心3区のように流動性が高いエリアでは、築15年前後の物件でも買い手が見つかりやすく、売却時の価格下落リスクを抑えられます。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、郊外ベッドタウンの人口は今後10年で4〜7%減少するとされています。人口減少エリアでは流動性が低下し、売却時に大幅な値下げを強いられる可能性があります。出口戦略を考える上でも、立地選びは極めて重要な判断材料となります。
長期的に利回りを高めるには、賃料査定の見直しを自主的に行い、管理会社と密に連携して募集条件を柔軟に変える姿勢が欠かせません。将来の市場動向を見据えながら、売却タイミングまで視野に入れた投資計画を立てることで、トータルリターンを最大化できるのです。
投資判断のための実践的な検討ステップ
ここまでの内容を踏まえて、実際に物件を検討する際の流れを整理しておきましょう。最初のステップは、投資に充てられる自己資金と金融機関からの借入可能額を正確に把握することです。この2つの数字をもとに、ターゲットとする物件の価格帯を現実的な範囲で決定します。無理のない資金計画を立てることが、長期的な投資成功の土台となります。
次のステップでは、表面利回りを目安にしながら候補物件をピックアップしていきます。この段階ではまず数をこなすことが大切です。気になる物件を10件ほどリストアップしたら、エリアの将来性やターゲット入居者層との適合性という観点から、候補を3〜5件程度に絞り込みます。