法人として不動産投資を始めようとしたとき、「どの銀行が法人向けローンに対応しているのか」「金利はどのくらいなのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。個人向けのローン情報は比較的見つけやすい一方で、法人向けとなると公開情報が少なく、条件の全容をつかみにくいのが実情です。この記事では、2026年7月時点の最新情報をもとに、法人が不動産投資ローンを利用する際の金利の仕組みや主要金融機関の特徴、選び方のポイントをわかりやすく解説します。資金調達の選択肢を広げるための参考として、ぜひ最後までお読みください。
法人向け不動産投資ローンの基本的な仕組み

まず押さえておきたいのは、法人向け不動産投資ローンが個人向けとどう違うのか、という点です。個人向けのアパートローンや住宅ローンと比べると、法人向けは審査の視点が異なり、法人の財務状況や事業計画が重視される傾向があります。
法人向けローンでは、借り入れの主体が法人となるため、個人の年収よりも法人の決算内容や資産状況が審査の中心になります。一般的には、直近2〜3期分の決算書の提出が求められ、売上や利益の安定性が評価されます。また、多くの金融機関では代表者の連帯保証を求めるケースが多く、法人と代表者の信用力を合わせて審査する形が標準的です。
金利の種類については、変動金利と固定金利の2種類が基本です。変動金利は短期プライムレートに連動して年2回程度見直されるのが一般的で、金利水準が低い時期には返済負担を抑えられる反面、将来的な金利上昇リスクを伴います。固定金利は返済期間中の金利が変わらないため、収支計画を立てやすいというメリットがあります。どちらを選ぶかは、投資期間や金利動向への見通し、リスク許容度によって判断することが重要です。
主要金融機関の金利と融資条件を比較する

実際にどの金融機関がどのような条件を提示しているのかを知ることは、資金調達戦略を立てる上で欠かせません。ここでは、リサーチで確認できた主要な金融機関の情報をご紹介します。
変動金利の目安として、Wealth Agentの2026年比較情報(https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-comparison/)によると、複数の地銀やノンバンク系で1%台後半から3%台の金利水準が提示されています。ただし、これらはあくまで公開・ヒアリングベースの目安であり、実際の適用金利は個別の審査結果によって異なります。
ノンバンク系では、AGビジネスサポートの不動産投資ローン(https://www.aiful-bf.co.jp/affiliate/investment2LP.html)が法人・個人事業主・新規参入者を対象に、固定・変動ともに2.49%〜7.99%(2025年3月時点)、融資額100万円〜5億円、最長30年という条件を公開しています。また、L&Fアセットファイナンスは個人・法人ともに利用可能で、融資額や融資期間に応じた複数の金利プランが用意されており、融資期間は最大30年という条件が確認されています(Wealth Agent、https://www.agent-hp.com/lf-asset-financ/)。
融資割合(LTV)についても機関によって差があります。同じくWealth Agentの情報では、オリックス銀行が最大100%、スルガ銀行が70%〜95%、りそな銀行が70%〜80%、東日本銀行が70%〜90%とされています。自己資金の準備状況に応じて、LTVの柔軟性が高い金融機関を選ぶことも一つの戦略です。
住宅金融支援機構の賃貸住宅融資という選択肢
銀行ローン以外の選択肢として、住宅金融支援機構の賃貸住宅融資も法人にとって有力な資金調達手段の一つです。固定金利で長期の借り入れができる点が大きな特徴で、金利変動リスクを避けたい法人に向いています。
住宅金融支援機構が公表した令和8年7月の参考金利(https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf)によると、子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資(まちづくり融資・長期建設資金)は、繰上返済制限制度ありの場合、35年固定で年3.94%、15年固定で年3.19%となっています。制度なしの場合は35年固定で年4.10%、15年固定で年3.64%です。最長融資期間は40年と、銀行ローンよりも長期の借り入れが可能な点も魅力です。
さらに、省エネ性能や子育て対応によって金利引き下げが受けられる制度も用意されています。同機構の情報によると、長期優良住宅に適合する賃貸住宅の場合は当初15年間に年0.3%の引き下げ、機構の定めるZEH基準に適合する場合は年0.2%の引き下げ、子育て配慮賃貸住宅の場合も年0.2%の引き下げが適用されます。これらを組み合わせることで、最大年0.4%または年0.5%の引き下げになるケースもあります。
なお、住宅金融支援機構の融資を受けるには、敷地および建物に対して機構のために第1順位の抵当権を設定する必要があります。一方で、融資手数料・返済方法変更手数料・繰上返済手数料は不要とされており、諸費用の面では比較的シンプルな構造です。法人が連帯保証人を立てる場合は、機構が承認した保証機関の利用も可能ですが、別途保証料が必要になります。
金融機関を選ぶ際に確認すべきポイント
金融機関を選ぶ際には、金利の数字だけでなく、諸費用や融資条件の全体像を比較することが重要です。表面上の金利が低くても、手数料や保証料が高ければ実質的なコストは変わらないケースがあります。
手数料については、金融機関によって大きな差があります。オリックス銀行の不動産投資ローン(https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html)では、取扱事務手数料が借入額の2.20%以内とされており、変動金利期間中に繰上返済を行う場合は経過期間に応じて2.00%〜0.50%の解約金が発生します。一方、セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン(https://www.fundex.co.jp/business/mortgage/)では、事務手数料が融資金額の1.65%以内、調査料が0.55%以内、中途解約手数料が返済元金の3.0%以内と公開されています。
融資エリアの制限も見落とせないポイントです。たとえば東日本銀行は東京都・埼玉県(23区寄り)を中心とした地域密着型の金融機関で、支店エリアへの居住を条件とするケースがあります(Wealth Agent、https://www.agent-hp.com/higashi-nippon-bank/)。地方銀行や信用金庫は特に営業地区内の物件に限定されることが多く、投資対象エリアと金融機関の対応エリアが合致しているかを事前に確認する必要があります。
また、環境性能に関する優遇金利も近年注目されています。オリックス銀行では、ZEH等の環境配慮型投資用不動産に対して、適用利率から年0.05%を融資期間中継続して引き下げる制度を設けています(https://www.orixbank.co.jp/personal/property/zeh.html)。省エネ性能の高い物件を取得・建設する場合は、こうした優遇制度の活用も検討に値します。
法人スキームと金利交渉を有利に進めるコツ
法人として不動産投資ローンを活用する際、どのような法人スキームを選ぶかによって、利用できる金融機関や条件が変わってきます。資産管理会社として設立した法人と、本業を持つ事業法人とでは、審査の見られ方が異なるのが一般的です。
りそな銀行では、資産管理会社向けのアパート・マンションローン(https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/bs/apaman/)を設けており、最長35年以内の融資期間で変動金利型または固定金利選択型を選べる商品を提供しています。このように、法人の性格に応じた専用商品を持つ金融機関を選ぶことで、より適切な条件を引き出せる可能性があります。
金利交渉を有利に進めるためには、複数の金融機関に同時にアプローチして競合させることが効果的とされています。また、自己資金比率を高めてLTVを下げることや、法人の財務内容を整えて決算書の見栄えを改善することも、審査通過率と金利条件の改善につながります。さらに、実績のある不動産会社や融資コンサルタントを通じて金融機関にアプローチすることで、窓口での交渉がスムーズになるケースも少なくありません。
なお、法人向けローンの実際の適用金利は、公開情報だけでは把握しきれない部分が多く、最終的には各金融機関への個別相談が不可欠です。特にメガバンクについては、法人向け収益不動産ローンの公開情報が限られており、窓口での確認が前提となります。
まとめ
法人の不動産投資ローンは、金融機関によって金利・融資期間・LTV・手数料など条件が大きく異なります。変動金利の目安は概ね1.7%〜4%台と幅広く、ノンバンク系では7%台まで対応するケースもあります。住宅金融支援機構の固定金利融資は長期安定を重視する法人に向いており、省エネ基準を満たすことで金利引き下げも受けられます。重要なのは、表面金利だけでなく諸費用・融資エリア・LTV・保証条件を総合的に比較することです。まずは複数の金融機関に相談し、自社の財務状況や投資計画に合った最適なローンを見つけることが、法人不動産投資を成功させる第一歩となります。
参考文献・出典
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅融資金利 — https://www.jhf.go.jp/kinri/chintai.html
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅を建設する場合 令和8年7月の参考金利のお知らせ — https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf
- オリックス銀行 借入金利と返済方法 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/repayment.html
- オリックス銀行 不動産投資ローン 商品説明書 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html
- オリックス銀行 環境配慮型住宅(ZEH等)へのローン特別優遇金利 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/zeh.html
- スルガ銀行 法人向け投資用不動産ローン 商品概要説明書 — https://www.surugabank.co.jp/surugabank/prod/pdf/real_estate_houjin.pdf
- りそな銀行 りそなアパート・マンションローン(資産管理会社タイプ) — https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/bs/apaman/
- AGビジネスサポート 不動産投資ローン — https://www.aiful-bf.co.jp/affiliate/investment2LP.html
- セゾンファンデックス 事業者向け不動産担保ローン — https://www.fundex.co.jp/business/mortgage/
- もみじ銀行 アパートローン — https://www.momijibank.co.jp/personal/borrow/house/lease/
- もみじ銀行 ローン金利 — https://www.momijibank.co.jp/outline/rates/loan/
- 横浜信用金庫 《よこしん》アパートローン — https://www.yokoshin.co.jp/_houjin/shikin/apart_loan.html
- Wealth Agent 主要14銀行の不動産投資ローン比較 — https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-comparison/
- Wealth Agent L&Fアセットファイナンスの不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/lf-asset-financ/
- Wealth Agent 東日本銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/higashi-nippon-bank/