「給湯器の電気代やガス代って、年間でどれくらいかかるんだろう?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。毎月の光熱費の中でも、給湯にかかるコストは意外と大きな割合を占めています。特に不動産投資をされている方や、これから物件を購入・賃貸しようとしている方にとって、給湯器の種類による維持費の違いは、長期的な収支に直結する重要なポイントです。この記事では、給湯器の種類ごとの年間維持費の目安から、点検・保証にかかるコスト、さらに賢い節約方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。
給湯器の種類と年間ランニングコストの目安

まず押さえておきたいのは、給湯器の種類によって年間の維持費が大きく異なるという点です。一口に「給湯器」といっても、エコキュート・ガス給湯器・電気温水器など複数の種類があり、それぞれのエネルギー効率や料金体系によってコストに数万円単位の差が生まれます。
パナソニックが関西電力エリアを対象に行った試算によると、家庭用ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の年間給湯ランニングコストは月平均1,000円台とされています(パナソニック株式会社)。一方、同じ試算における都市ガス給湯器、石油給湯機、電気温水器と比較すると、エコキュートのランニングコストの低さが確認されています。つまり、エコキュートと都市ガス給湯器を比べると、年間で数万円以上の差が生まれる計算になります。
ダイキンが3人家族相当・関西電力エリアで行った試算でも、同様の傾向が確認されています。ヒートポンプ式給湯機と都市ガス給湯器を比較した場合、ヒートポンプ式の方がランニングコストで優位性を示しており、その差は数万円にのぼるとされています(ダイキン工業株式会社)。これらの数値はあくまでも特定条件下での試算であり、実際の料金は地域・家族構成・使用量・契約プランによって異なりますが、エコキュートのランニングコストの低さは複数のメーカー試算で一貫して示されています。
また、三菱電機の中部エリア試算では、古い電気温水器(2016年度発売モデル)の年間電気料金が約170,000円であるのに対し、最新エコキュート(2025年度発売モデル)では約40,000円まで下がるという比較データも公表されています(三菱電機株式会社)。電気温水器からエコキュートへの買い替えは、年間で約13万円もの節約につながる可能性があることを示しており、古い機器を使い続けることのコストの大きさが分かります。
ガス給湯器の種類による維持費の違い

ガス給湯器を使用している場合でも、「従来型」か「エコジョーズ(高効率型)」かによって年間コストに差が出ます。エコジョーズとは、排気熱を再利用することでガスの消費量を抑えた高効率タイプのガス給湯器のことです。
リンナイのエコジョーズ給湯専用機の資料によると、従来タイプの年間ガス料金が119,160円であるのに対し、エコジョーズは105,320円となっており、年間約14,000円のガス代節約、ガス消費量は約12%削減という訴求がされています(リンナイ株式会社)。毎年14,000円の節約は、10年間で14万円の差になります。初期費用でエコジョーズが多少高くても、長期的に見れば十分に元が取れる計算になることが多いでしょう。
さらにノーリツのデータでは、LPガス(プロパンガス)の条件でエコジョーズを使用した場合、ランニングコストが年間約43,200円おトクになるとしています(ノーリツ株式会社)。LPガスは都市ガスに比べて単価が高い傾向があるため、節約効果もより大きく出やすいという特徴があります。ただし、LPガスの料金は供給会社や地域によって差が大きいため、あくまでも参考値として捉えることが大切です。
東京ガスが公表した情報では、ガス平均使用量を12%削減できた場合の10年間の節約額として、1人暮らしで29,294円、2人家族で48,844円、3人家族で63,873円、4人家族以上で80,781円という試算が示されています(東京ガス株式会社、2024年7月)。年換算にすると1人暮らしで約2,929円、4人家族以上で約8,078円の節約イメージです。家族が多いほど使用量が増えるため、高効率機器への切り替え効果も大きくなる傾向があります。
点検・保証にかかる維持費も忘れずに
給湯器の維持費を考えるうえで、エネルギーコストだけでなく点検費用や保証費用も重要な要素です。これらは毎月かかるわけではありませんが、長期的な維持コストとして必ず見込んでおく必要があります。
ノーリツとリンナイはいずれも、家庭用給湯機器の設計上の標準使用期間を製造から10年と設定しています(ノーリツ株式会社・リンナイ株式会社)。10年を超えた機器は、修理を重ねるよりも交換を検討するタイミングと考えるのが一般的です。リンナイでは、使用期間が10年相当になるとリモコンに「88」または「888」が表示されて点検・交換を促す仕組みになっており、ユーザーが気づきやすい設計になっています。
点検費用については、リンナイの有償点検料金として、ガス給湯専用機・高温水供給式タイプが10,780円、ガスふろ給湯器が12,430円、壁貫通タイプが22,000円と公表されています(リンナイ株式会社)。ノーリツでは、特定保守製品である石油ふろ給湯機器の法定点検料金が11,000円、石油ふろがまが10,010円とされています(ノーリツ株式会社)。これらの点検は10年に1回程度の目安ですが、費用として事前に把握しておくことが大切です。
延長保証についても確認しておきましょう。三菱電機のエコキュートはメーカー保証2年で、有償の延長保証により最長10年間まで延長できます。延長保証料は10年保証で31,460円、8年保証で25,850円、5年保証で12,100円とされています(三菱電機株式会社、2023年10月改定)。10年保証を年割りで考えると約3,146円/年の積立イメージになります。ダイキンのエコキュートでは10年延長保証料が31,900円、ネオキュートは24,200円で、延長保証期間内は修理費が無料とされています(ダイキン工業株式会社、2025年8月発行カタログ)。
給湯器の交換を検討するなら補助金も活用しよう
給湯器の維持費を長期的に下げるためには、高効率機器への買い替えが有効な選択肢のひとつです。そして2026年現在、国の補助制度を活用することで初期費用の負担を抑えられる可能性があります。
経済産業省が実施する「給湯省エネ2026事業」では、高効率給湯器への買い替えに対して補助金が設けられています。補助額はヒートポンプ給湯機(エコキュート)が7万円/台、ハイブリッド給湯機が10万円/台、エネファームが17万円/台で、電気温水器を撤去する場合はさらに2万円/台が加算されます(経済産業省・給湯省エネ2026事業)。この補助制度には申請期限や要件があるため、詳細は必ず公式サイト(https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/about/)でご確認ください。
補助金を活用することで、エコキュートへの買い替えにかかる初期費用を大幅に抑えることができます。前述のとおり、エコキュートは都市ガス給湯器と比べて年間数万円程度のランニングコスト削減が見込めるケースもあります。補助金で初期費用を下げつつ、毎年の維持費も節約できるとなれば、長期的な経済メリットは非常に大きいといえるでしょう。
なお、井戸水や地下水を利用している地域では、ダイキンの資料によると水質検査費として16,500円(税抜15,000円)が別途必要になる場合があります(ダイキン工業株式会社、2025年8月発行カタログ)。こうした隠れコストも事前に確認しておくことが、予算計画を立てるうえで重要です。
まとめ
給湯器の年間維持費は、機器の種類によって大きく異なります。複数のメーカー試算では、エコキュートの年間ランニングコストは都市ガス給湯器や電気温水器と比べて大幅に低いという目安が示されています。ガス給湯器を使い続ける場合でも、エコジョーズへの切り替えで年間1〜4万円程度の節約が期待できます。また、10年を目安とした点検・交換の計画や、延長保証の活用も長期的なコスト管理に欠かせません。給湯省エネ2026事業の補助金を上手に活用しながら、自分の生活スタイルや物件の状況に合った給湯器を選ぶことが、賢い維持費管理への第一歩です。まずは現在使用している給湯器の種類と年数を確認するところから始めてみましょう。
参考文献・出典
- 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(給湯機器について) — https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/07/
- ダイキン工業株式会社 ネオキュートの特長(年間電気料金試算) — https://www.ac.daikin.co.jp/sumai/alldenka/neocute/feature
- パナソニック株式会社 関西電力エリア 給湯にかかるランニングコスト — https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/img/kanden_cost.pdf
- 三菱電機株式会社 買い替えのご提案|はじめてのエコキュート — https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ecocute/introduction/renew.html
- ノーリツ株式会社 エコジョーズについて — https://www.noritz.co.jp/product/kyutou_bath/gas/eco_j/
- リンナイ株式会社 給湯専用機(RUX-Eシリーズ)エコジョーズ — https://rinnai.jp/products/waterheater/gas/rux/e-series/
- 東京ガス株式会社 給湯器の交換はいくらかかる? — https://home.tokyo-gas.co.jp/column/boiler/10165/
- ノーリツ株式会社 点検・取り替えの目安について — https://www.noritz.co.jp/aftersupport/hosyu/kyutoki_tenken.html
- リンナイ株式会社 点検・取替の目安 — https://www.rinnai.co.jp/safety/replace/
- リンナイ株式会社 点検料金 — https://www.rinnai.co.jp/safety/system/info/pay/
- ノーリツ株式会社 法定点検について — https://www.noritz.co.jp/info/houtei/houtei_tenken/index.html
- 経済産業省 給湯省エネ2026事業(事業概要) — https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/about/
- 三菱電機株式会社 スマート電化延長保証制度の延長保証料改定に関するご案内 — https://www.mitsubishielectric.co.jp/smart-denka/warranty/pdf/information_202308.pdf
- ダイキン工業株式会社 家庭用ヒートポンプ給湯機 総合カタログ 2025/08発行 — https://ec.daikinaircon.com/ecatalog/CR25145-1X/images/CR25145-1X066.pdf