「部屋を探しているのに、なぜか不動産屋でうまく話が進まない」「審査に落ちてしまったけれど、理由がよくわからない」という経験をしたことはないでしょうか。実は、賃貸住宅の入居審査で断られるケースは決して珍しくなく、その背景にはさまざまな理由が隠れています。この記事では、不動産屋に断られる主な理由とその実態を、国土交通省の資料などをもとにわかりやすく解説します。審査の仕組みを正しく理解することで、次のステップに向けた具体的な対策が見えてくるはずです。
賃貸審査で断られる最大の理由は「家賃支払いへの不安」

賃貸住宅の入居審査において、大家さんや不動産会社が最も気にするのは「この人はきちんと家賃を払い続けてくれるか」という点です。国土交通省の資料でも、「家賃が支払われないことへの不安」が入居を断られる大きな理由として明記されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001124558.pdf)。
収入が安定しているかどうかは、審査の中心的な判断基準のひとつです。一般的には、月収が家賃の一定倍数程度あることが望ましいとされていますが、これはあくまで目安であり、金融機関や保証会社によって基準は異なります。また、収入の安定性という観点から、正社員と比べてフリーランスや個人事業主、転職直後の方は審査が厳しくなる傾向があるとされています。ただし、この点については公的機関による具体的な数値は確認されていないため、個別の状況によって大きく異なります。
さらに、過去に家賃の滞納歴がある場合、保証会社の信用情報に記録が残っていることがあります。審査結果の理由や、どの信用情報をもとに審査が行われたかは申込者には知らされないのが一般的です(CHINTAI https://www.chintai.net/news/152503/)。そのため、「なぜ断られたのかわからない」という状況が生まれやすく、申込者にとって非常に不透明に感じられることも少なくありません。
保証人が立てられないと審査が通りにくくなる理由

賃貸住宅を借りる際、連帯保証人を求められるケースは今でも多く存在します。国土交通省の資料によれば、保証人が立てられない方は、緊急時の対応などに不安を感じた家主さんから入居を断られる場合があると明記されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001124558.pdf)。
連帯保証人の役割は、入居者が家賃を払えなくなったときや、退去時に原状回復費用が発生したときに代わりに責任を負うことです。家族や親族に頼める人がいない場合、あるいは頼める人はいても収入や年齢の条件を満たさない場合には、保証人を立てることが難しくなります。こうした状況は、単身の若者や高齢者、外国籍の方などに特に起こりやすいとされています。
保証人が立てられない場合の代替手段として、家賃債務保証会社(保証会社)を利用する方法があります。国土交通省では家賃債務保証業者の登録制度を設けており、登録業者の一覧を公開しています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000024.html)。ただし、保証会社にも独自の審査基準があるため、必ずしも全員が通過できるわけではありません。重要なのは、保証会社はひとつではなく、A社で落ちてもB社では通るというケースもよくあるという点です(SUUMO https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_other/chintai_sinsa/)。また、大家さんによっては連帯保証人を2人つければ保証会社不要という場合もあるため、不動産会社に相談してみることが大切です。
高齢者が断られやすい実態とその背景
高齢者の賃貸入居拒否は、社会問題として広く認識されるようになっています。国土交通省の資料によると、高齢者の4人に1人以上(27%)が「年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否」を経験しているというデータがあります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001969956.pdf)。この数字は、高齢者が賃貸市場で直面している困難の深刻さを示しています。
高齢者が断られやすい背景には、大家さん側のさまざまな懸念があります。認知症を発症すると金銭の管理が難しくなり家賃を滞納するほか、設備の使い方がわからなくなる、コンロの火を消し忘れてボヤを起こす、ゴミ出しのルールを守れなくなるなど、さまざまなトラブルが起きる可能性が懸念されています(SUUMO https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_other/chintai_rogo/)。また、孤独死のリスクや、その後の部屋の処理に関する不安も、大家さんが入居を躊躇する理由のひとつとなっています。
国土交通省の資料では、高齢者が断られる理由の傾向として「保証会社の審査が通らない」「断られた理由が分からない」が相対的に高いことも示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001969956.pdf)。つまり、高齢者の場合は収入や家賃支払い能力よりも、保証審査の壁や不透明な拒否が問題になりやすいといえます。こうした状況を受けて、政府は住宅セーフティネット法の改正を行い、高齢者などの住宅確保要配慮者への支援を強化する取り組みを進めています(政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/article/202511/entry-9947.html)。
外国籍・LGBTQ+など属性による断られ方の実態
外国籍の方やLGBTQ+当事者が賃貸住宅を探す際にも、独自の困難が存在します。外国籍の方の場合、言語の壁や契約内容の理解に関する不安が、大家さん側の懸念につながることがあります。こうした状況に対応するため、国土交通省は日本語・英語・中国語・韓国語など14言語のチェックシートや入居申込書、重要事項説明書の見本をまとめたガイドラインを用意しており、外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援しています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html)。
一方、LGBTQ+当事者の場合は、やや異なる構造の問題が見られます。不動産会社のスタッフは協力的であっても、最終的にオーナー側が「よくわからないから断る」という予防的排除が起きているという実態が報告されています(SUUMO https://suumo.jp/journal/2025/09/30/211907/)。これは明確な差別意識というよりも、慣れ親しんでいない状況への不安から生じるケースが多いとされており、社会全体での理解促進が求められています。
低額所得者や障害者、子育て世帯についても、「現入居者との相性が合わない」「保証会社の審査が通らない」「家賃の支払い能力がない」といった理由で断られる傾向が高いことが、国土交通省の資料で示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001969956.pdf)。こうした属性による入居拒否の問題は、住宅確保要配慮者への支援という観点から、行政が対策を講じている分野でもあります。
断られたときに取れる具体的な対処法
審査に落ちてしまったとき、まず大切なのは「一度の結果がすべてではない」と理解することです。前述のとおり、保証会社はひとつではなく、審査基準もそれぞれ異なります。同じ物件でも保証会社を変えると通るケースがあるため、不動産会社に相談して別の保証会社での審査を試みることが有効な場合があります(SUUMO https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_other/chintai_sinsa/)。
また、物件や不動産会社を変えてみることも重要な選択肢です。大家さんによって審査基準は大きく異なり、ある物件では断られても別の物件では問題なく通るということは珍しくありません。特に、高齢者や外国籍の方、子育て世帯などを積極的に受け入れている「セーフティネット住宅」として登録された物件を探すことも、ひとつの有効な方法です。
収入面での不安が原因と考えられる場合は、収入証明書類をしっかり準備することが助けになります。フリーランスや個人事業主の方であれば、確定申告書や取引先との契約書など、収入の安定性を示す書類を複数用意しておくと、審査担当者に安心感を与えられる可能性があります。いずれにしても、断られた理由を冷静に分析し、次の申し込みに向けて準備を整えることが、最終的な解決への近道となります。
まとめ
不動産屋に断られる理由は、家賃支払いへの不安、保証人の問題、年齢や属性による懸念など、さまざまな要因が絡み合っています。国土交通省のデータが示すように、高齢者の27%が年齢を理由に断られた経験を持つなど、入居拒否の問題は広く実在するものです。しかし、審査に落ちたからといって諦める必要はありません。保証会社を変える、物件を変える、書類を充実させるといった対策を一つひとつ試していくことが大切です。また、住宅セーフティネット制度など、行政の支援制度も積極的に活用してみてください。自分に合った住まいを見つけるために、まずは今日から情報収集を始めてみましょう。
参考文献・出典
- 国土交通省「住宅確保要配慮者の居住支援の充実に向けたガイドブック(案)」 – https://www.mlit.go.jp/common/001124558.pdf
- 国土交通省「住宅確保要配慮者の供給の充実に向けた資料」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001969956.pdf
- 国土交通省「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html
- 国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000024.html
- 政府広報オンライン「単身高齢者などの賃貸住宅への入居の不安を解消!改正『住宅セーフティネット法』がスタート」 – https://www.gov-online.go.jp/article/202511/entry-9947.html
- CHINTAI「一人暮らしの入居審査が通らない!どうしたらいい?」 – https://www.chintai.net/news/152503/
- SUUMO「賃貸契約の入居審査は日数・期間はどのくらい?審査に落ちる理由・審査が遅くなる要因を不動産会社が解説」 – https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_other/chintai_sinsa/
- SUUMO「『老後に賃貸物件が借りられない』は嘘?高齢者が賃貸を借りづらい理由や対策」 – https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_other/chintai_rogo/
- SUUMO「『家を借りたいだけなのに…』LGBTQ+当事者の声から見えた、同性カップルと”賃貸の壁”」 – https://suumo.jp/journal/2025/09/30/211907/