横浜市の中心部・関内エリアに、大きな変化が訪れています。長年にわたって市民の行政サービスを支えてきた旧横浜市庁舎が移転し、その跡地が新たな街区として生まれ変わりました。「跡地はどうなるの?」「不動産投資への影響は?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、横浜市庁舎移転跡地の再開発プロジェクトの概要から、関内エリアの街づくりの方向性、そして不動産投資家として注目すべきポイントまでを、初心者にもわかりやすく解説します。
旧横浜市庁舎跡地の再開発とは

まず押さえておきたいのは、この再開発プロジェクトがどのような経緯で始まったかという点です。横浜市は、市庁舎を移転した後の旧庁舎街区について、関内・関外地区の賑わい創出を目的として、公募型プロポーザル方式により土地の貸付を行う形で事業者を選定しました(横浜市公式サイト)。
旧市庁舎街区の所在地は横浜市中区港町1丁目1番地で、関内駅のすぐそばという抜群の立地にあります。この好立地を活かしながら、単なる商業施設ではなく、業務施設・教育施設・観光・集客施設・商業施設・宿泊施設などを含む複合施設として整備する提案が採用されました(横浜市公式サイト)。選定された事業者グループは令和元年9月に事業予定者として決定しており、長い準備期間を経てプロジェクトが動き出した形です。
重要なのは、この再開発が単なる建て替えではなく、歴史的建造物の保存と新しい開発を組み合わせた「新旧融合」をコンセプトにしている点です。旧横浜市庁舎行政棟は、横浜市認定歴史的建造物として保存活用の対象となっており、戦後建造物として初めて歴史的建造物に認定されたという経緯があります(横浜市記者発表資料 2025年8月5日)。歴史ある建物を壊さずに活かしながら、新しい価値を生み出すというアプローチは、近年の都市再開発における重要なトレンドのひとつです。
BASEGATE横浜関内の誕生と特徴

この再開発プロジェクトの中核となる施設が、「BASEGATE横浜関内(ベースゲート横浜関内)」です。2026年3月19日にグランドオープンを迎えたこの街区は、旧横浜市庁舎行政棟を保存・活用しながら、横浜の文化を継承し、格式ある景観を形成することを特色としています(三井不動産プレスリリース)。
事業主体は、三井不動産株式会社を代表企業とする8社コンソーシアムです。具体的には、鹿島建設・京浜急行電鉄・第一生命保険・竹中工務店・株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)・東急・星野リゾートという、各分野を代表する企業が名を連ねています(三井不動産プレスリリース)。建設・不動産・交通・保険・エンターテインメント・ホスピタリティと、多彩な業種の企業が集結していることからも、このプロジェクトの規模と期待の大きさが伝わってきます。
アクセス面でも非常に恵まれた立地です。横浜市営地下鉄ブルーライン「関内」駅から徒歩1分、横浜高速鉄道みなとみらい線「日本大通り」駅から徒歩7分という位置にあります(BASEGATE横浜関内公式サイト)。複数路線を利用できる利便性の高さは、商業施設としての集客力を高めるだけでなく、周辺エリアの不動産価値にも好影響を与える要素のひとつと考えられます。
関内エリアの活性化という大きな文脈
BASEGATE横浜関内の開業は、単独のプロジェクトとして見るのではなく、関内エリア全体の活性化という大きな流れの中で捉えることが大切です。横浜市は、市役所移転を契機とした関内駅周辺地区の活性化を進めており、旧市庁舎街区等の活用はその中核的な取り組みとして位置づけられています(横浜市公式サイト)。
関内エリアはもともと横浜の歴史的な中心地であり、横浜スタジアムや横浜市開港記念会館など、歴史的・文化的な施設が集積しています。しかし近年は、みなとみらい地区の発展に伴い、相対的に存在感が薄れていた側面もありました。そこに旧市庁舎跡地という大規模な再開発が加わることで、エリア全体の魅力が底上げされることが期待されています。
また、星野リゾートがコンソーシアムに参加していることは、宿泊施設としての高い品質が期待できるという点で注目に値します。インバウンド需要が回復・拡大している現在、横浜の歴史的な街並みを活かした宿泊施設は、国内外の観光客を引きつける大きな魅力になり得ます。観光・集客機能が強化されることで、周辺の飲食店や小売店にも波及効果が生まれ、エリア全体の経済活動が活発化することが見込まれます。
不動産投資家が注目すべきポイント
実は、このような大規模再開発は、周辺エリアの不動産市場にも大きな影響を与えることが一般的とされています。ここでは、投資家として意識しておきたい視点を整理します。
まず注目したいのは、エリアの「再評価」という動きです。関内・関外地区は、横浜の中でも歴史ある商業・業務エリアですが、BASEGATE横浜関内の開業によって新たな人の流れが生まれることが予想されます。人が集まるエリアには、飲食・サービス業のテナント需要が高まり、商業系不動産の賃料水準が上昇する傾向があります。また、業務施設が充実することで、オフィス需要も高まる可能性があります。
次に、住宅系不動産への影響も見逃せません。駅徒歩圏内の利便性が高く、かつ文化・商業施設が充実したエリアは、居住地としての魅力も増します。特に、都心へのアクセスが良く、生活環境が整ったエリアは、単身者や共働き世帯からの賃貸需要が安定しやすいとされています。関内エリアは横浜駅や桜木町駅にも近く、広域的な利便性も高い点が強みです。
一方で、再開発エリア周辺の不動産投資には慎重な判断も必要です。再開発の期待感から物件価格が先行して上昇している場合、実際の収益性(利回り)が低下するリスクがあります。投資を検討する際は、現在の賃料水準や空室率、将来的な需給バランスを丁寧に調査することが重要です。また、再開発の効果が周辺全体に均等に波及するとは限らないため、具体的な物件の立地条件を個別に確認することをおすすめします。
歴史的建造物の保存活用が持つ意味
「新旧融合」というコンセプトが示すように、旧横浜市庁舎行政棟の保存活用は、このプロジェクトの大きな特徴です。戦後建造物として初めて横浜市認定歴史的建造物に認定されたこの建物が、新しい街区の中に組み込まれることで、単なる商業施設とは異なる独自の価値が生まれます(横浜市記者発表資料 2025年8月5日)。
歴史的建造物を活かした再開発は、近年の都市づくりにおいて重要なアプローチとして注目されています。建物の歴史や記憶を継承することで、その場所にしかない「ストーリー」が生まれ、観光資源としての価値も高まります。横浜という街が持つ開港以来の歴史的な文脈と、旧市庁舎という市民の記憶が重なることで、BASEGATE横浜関内は単なる商業施設を超えた文化的な拠点になることが期待されています。
不動産投資の観点からも、このような「場所の物語性」は長期的な資産価値を支える要素になり得ます。歴史的な背景を持つエリアは、ブランド力が維持されやすく、景気変動に対しても一定の耐性を持つ傾向があるとされています。もちろん、これはあくまで一般的な傾向であり、個別の物件や市場環境によって大きく異なりますので、投資判断は専門家への相談も含めて慎重に行うことが大切です。
まとめ
横浜市庁舎移転跡地は、三井不動産を代表とする8社コンソーシアムによって「BASEGATE横浜関内」として2026年3月19日にグランドオープンを迎えました。旧横浜市庁舎行政棟という歴史的建造物を保存しながら、業務・商業・宿泊・観光などの機能を複合させた「新旧融合」の街区は、関内エリア全体の活性化を牽引する存在として期待されています。
不動産投資家にとって、このような大規模再開発は周辺エリアの市場動向を読む上で重要な情報です。エリアの再評価による賃料上昇の可能性がある一方、物件価格の先行上昇には注意が必要です。最新の市場データや専門家のアドバイスを活用しながら、関内・関外エリアの動向を継続的にウォッチしていくことをおすすめします。横浜の歴史と未来が交差するこのエリアの変化を、ぜひ投資の視点からも注目してみてください。
参考文献・出典
- 横浜市 旧市庁舎街区活用事業 — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/toshin/genshichoshagaikutou/genshichosha.html
- 横浜市 現市庁舎街区等活用事業実施方針 — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/toshin/genshichoshagaikutou/houshin.html
- 横浜市 公共空間の活性化について — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/toshin/genshichoshagaikutou/koukyou/kokyokukan.html
- 横浜市 旧横浜市庁舎行政棟(歴史的建造物認定) — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/design/ikasu/rekishi/kyuushichousya.html
- 横浜市 記者発表資料(令和7年8月5日)旧横浜市庁舎行政棟の歴史的建造物認定 — https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/toshi/2025/0805kyuushichousya.files/0004_20250804.pdf
- 三井不動産 「BASEGATE横浜関内」グランドオープン(2026年3月19日)プレスリリース — https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2025/0924/
- BASEGATE横浜関内 公式サイト — https://www.basegate-yokohama-kannai.com/
- BASEGATE横浜関内 街区マップ — https://www.basegate-yokohama-kannai.com/cityblockmap/