固定資産税の請求書を見て「なぜこんなに高くなったのだろう」と驚いた経験はありませんか。新築から数年が経過したタイミングや、建物を取り壊した後に突然税額が跳ね上がるケースは、実は多くの方が直面する問題です。しかし、その仕組みを事前に理解しておけば、慌てることなく資金計画を立てられます。この記事では、固定資産税がいくら上がるのかを左右する主な要因を、公的機関のデータをもとにわかりやすく解説します。新築住宅の軽減終了・更地化・評価替えという3つのパターンを中心に、具体的な金額の目安まで紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
固定資産税の基本的な計算の仕組み

まず押さえておきたいのは、固定資産税がどのように計算されるかという基本的な仕組みです。固定資産税は「課税標準額×税率1.4%」という式で求められます(東京都主税局)。この課税標準額は、土地や建物の評価額をもとに算出されるため、評価額が変わると税額も連動して変化します。
重要なのは、課税標準額と評価額が必ずしも一致しないという点です。土地には「住宅用地特例」と呼ばれる軽減措置があり、住宅が建っている土地は評価額よりも低い課税標準額が適用されます。具体的には、200㎡以下の部分は評価額の6分の1、200㎡を超える部分は評価額の3分の1で計算されます(東京都主税局)。この特例があるかどうかで、税額は大きく変わります。
また、固定資産税に加えて「都市計画税」が課される地域もあります。都市計画税は市街化区域内の土地・建物に課される税で、固定資産税とは別に計算されます。後述する新築軽減の仕組みでも、固定資産税は減額されますが都市計画税は減額されないケースがあるため、合計の請求額を把握する際には両方を確認することが大切です(横浜市)。
新築住宅の軽減が終わると税額はどう変わるか

新築住宅を購入した方が最も驚きやすいのが、軽減措置の終了による税額の変化です。新築住宅には、一定期間にわたって固定資産税が2分の1になる軽減措置が設けられています。一般的な一戸建ては3年間、マンションなどの中高層耐火建築物は5年間が対象期間とされています(国土交通省)。
この軽減が終わると、税額は本来の水準に戻ります。「増税」というよりも「元の税額への回帰」と理解するのが正確ですが、家計への影響は同じです。神戸市のFAQでは、2025年に新築した住宅の場合、2026〜2028年度は家屋の固定資産税が2分の1に減額され、2029年度から軽減がなくなると案内されています(神戸市)。つまり、軽減が終わる年度から突然税額が上がったように感じるわけです。
具体的な金額の目安として、横浜市が公表している計算例が参考になります。110㎡・価格1,040万円の2階建て住宅では、軽減適用年の合計税額が104,000円であるのに対し、本来の合計税額は176,800円です。差額は72,800円となり、軽減終了後はこの分だけ負担が増えることになります(横浜市)。さらに140㎡・価格1,330万円の2階建て住宅では、軽減適用年が146,300円、本来の税額が226,100円で、差額は79,800円です(横浜市)。住宅の規模や価格によって差額は異なりますが、年間数万円から10万円近い変化が生じることは十分にあり得ます。
なお、都市計画税は軽減の対象外となるケースがあるため、実際の請求額の変化は固定資産税の増加分だけで単純に計算できない点にも注意が必要です(横浜市)。
建物を取り壊して更地にすると税額が急増する理由
建物が老朽化したり、相続した実家を処分しようとしたりする際に、「取り壊せば税金が安くなる」と思い込んでいる方は少なくありません。しかし実際には、住宅を取り壊して更地にすると、土地の固定資産税が大幅に上がるケースがほとんどです。
その理由は、先ほど説明した住宅用地特例にあります。住宅が建っている間は土地の課税標準額が評価額の6分の1に抑えられていますが、建物を取り壊すと翌年1月1日時点では「住宅用地」と見なされなくなり、特例が外れます(富山市)。多摩市の案内によると、200㎡の小規模住宅用地特例を受けていた土地が住宅の取り壊しによって特例外になると、土地の固定資産税・都市計画税が「4倍程度」になると説明されています(多摩市)。
また、富山市は年の途中で住宅を取り壊して更地にした場合、次の1月1日時点では住宅用地と見なされず、土地の固定資産税が特例適用時より約3倍程度に上がることが一般的だと説明しています(富山市)。建物の固定資産税は取り壊しによって翌年度から課税されなくなりますが、土地の負担増が建物分の減少を大きく上回るため、合計の税額が増えてしまうのです。
空き家を所有している場合にも注意が必要です。管理不全空家等や特定空家等として行政から勧告を受けると、建物が残っていても住宅用地特例が適用されなくなります(国土交通省)。つまり「家が残っていれば必ず軽減される」というわけではなく、空き家の管理状態によっては更地と同様の税負担が生じる可能性があります。
評価替えと負担調整措置で税額が変わるケース
固定資産税の土地・家屋の評価額は3年ごとに見直されます。これを「評価替え」と呼び、広島市の説明によると直近の評価替えは令和6年度で、令和7・8年度は原則として令和6年度の価格が据え置かれます(広島市)。評価替えの年に地価が上昇していれば、評価額が引き上げられ、翌年以降の税額に影響が出ます。
実は、評価額が据え置かれていても税額が上がる場合があります。これは「負担調整措置」と呼ばれる仕組みによるものです。横浜市の説明によると、価格が据え置かれた場合でも税額が上がることがあるとされており、これは課税標準額を本来の水準に段階的に近づけていく調整が行われているためです(横浜市)。「地価が上がっていないのに税金が上がった」と感じる場合、この負担調整措置が原因である可能性があります。
評価替えの影響は土地だけでなく家屋にも及びます。ただし、家屋の評価額は建築後の経年劣化を反映して下がっていくのが一般的です。一方で、建築資材の価格上昇などが評価に反映されるケースもあるため、評価替えの年には自分の物件の評価額がどう変わったかを確認しておくことをおすすめします。評価額の詳細は各市区町村の窓口で確認できますので、疑問があれば積極的に問い合わせてみましょう。
まとめ
固定資産税がいくら上がるかは、「新築軽減の終了」「更地化による住宅用地特例の喪失」「評価替えと負担調整措置」という3つのパターンによって大きく変わります。横浜市の具体例では、新築軽減終了後に年間7〜8万円程度の増加が生じることが示されており、更地化では土地の税額が3〜4倍程度になる可能性もあります。これらは突然の出来事ではなく、仕組みを理解すれば事前に予測できるものです。まずは自分の物件がどのパターンに当てはまるかを確認し、税額の変化を見越した資金計画を立てることが大切です。具体的な税額については各市区町村の窓口や公式サイトで確認できますので、ぜひ一度問い合わせてみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省「住宅:新築住宅に係る税額の減額措置」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」 — https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi
- 横浜市「新築住宅に係る固定資産税の減額制度」 — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/y-shizei/koteishisan-toshikeikakuzei/koteishisan-toshikeikakuzei-shosai/kaoku-genmen/shinchikugengaku.html
- 横浜市「令和8年度固定資産税(土地)の税額計算の仕組み」 — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/y-shizei/koteishisan-toshikeikakuzei/koteishisan-toshikeikakuzei-shosai/tochishikumi.html
- 神戸市FAQ「新築後3年(5年)経ったら急に固定資産税が高くなったのは?」 — https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/241?site_domain=default
- 多摩市「固定資産税・都市計画税に関するQ&A」 — https://www.city.tama.lg.jp/kurashi/zei/koteishisan/1001866.html
- 富山市「家屋(住宅)を取り壊して更地にしたら、土地の固定資産税が急に高くなったのはなぜですか」 — https://www.city.toyama.lg.jp/faq/1008447/1009955/1009484.html
- 広島市「固定資産の評価替えとはどういうものですか」 — https://www.city.hiroshima.lg.jp/faq/zei/1002293/1028143/1006304.html
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部改正等について」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712332.pdf