アパート経営を始めたばかりのオーナーにとって、管理会社への費用がどのくらいかかるのかは、収益計画を立てるうえで欠かせない情報です。「管理費の相場がわからない」「どの会社に頼めばいいか判断できない」という悩みを抱えている方は少なくありません。この記事では、国土交通省の調査データや実際の管理会社の料金プランをもとに、アパート経営における管理費の相場と、管理会社を選ぶ際に必ず確認すべきポイントをわかりやすく解説します。費用の全体像を把握することで、収益を最大化するための判断がしやすくなるはずです。
管理費の相場は家賃の何パーセントか

アパート経営における管理費の相場を知るには、まず公的なデータを確認するのが確実です。国土交通省が実施した賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年3月末時点)によると、受託管理業務の報酬設定では複数の料率帯に分散しており、全体では多くの業者が3%〜6%未満で報酬額を設定しているという結果が出ています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001320848.pdf)。
一方、大手運営会社のコラムなどでは「管理手数料の目安は家賃の5〜8%」と案内されているケースも多く、実際の市場では3〜8%程度の幅で料率が設定されていると考えるのが現実的です。公的調査と民間の案内を合わせると、5%前後が最も一般的な水準といえるでしょう。
ただし、この数字はあくまで月額の管理委託料のみを指しています。実際にオーナーが負担するコストは、月額管理料だけでは収まらないことが多いため、相場の数字だけを見て判断するのは危険です。次のセクションで詳しく説明しますが、契約時の事務手数料や更新手数料、清掃費などが別途かかるケースが一般的です。
月額管理料以外にかかる費用の全体像

管理費の相場を正しく理解するためには、月額管理料以外のコストにも目を向ける必要があります。実際の管理会社の料金体系を見ると、月額料金に加えてさまざまな費用が発生することがわかります。
たとえば、住友林業レジデンシャルの通常管理プランでは、月額管理手数料として賃料・共益費・駐車場料の5.5%(税込)が設定されています。しかしそれとは別に、入居契約時に賃料1か月分の「契約管理事務手数料」、退去時に1件あたり11,000円(税込)の「解約業務手数料」が発生します(住友林業レジデンシャル https://www.sumirin-residential.co.jp/business/chintai_direction/menu/)。
京急不動産の場合は、標準プランの月額管理手数料が賃料等の5%ですが、入居決定時と更新時に別途手数料が発生する仕組みになっています(京急不動産 https://www.keikyu-sumai.com/contents/code/chintai_03)。また、ベネフィットでは送金時の振込手数料がオーナー負担と明記されており、細かなコストが積み重なる点にも注意が必要です(ベネフィット https://chintai.bene-ltd.com/sub/chintai/plan/)。
さらに、一棟アパートや一棟マンションでは、管理委託料とは別に建物の保守点検費用や清掃費がかかりやすいという点も見落とせません(アットホーム https://www.athome.co.jp/contents/for-owners/owners-cost/running-cost/)。サンエイホームの事例では、基本管理料は賃料収入の5%(税別)としながら、共用部の清掃・保守点検、消防点検などは別途見積もりとしています(サンエイホーム https://www.sanei-home.co.jp/for_owners/manage_menu.html)。月額料率だけで会社を比較すると、実際の総コストが大きく異なる場合があるため、契約前に費用の全体像を必ず確認することが重要です。
管理プランの種類と選び方
管理会社が提供するプランは大きく分けて「通常管理委託」「家賃保証付き管理」「サブリース(一括借上)」の3種類があり、それぞれ料率と保証内容が異なります。自分の投資スタイルやリスク許容度に合ったプランを選ぶことが、長期的な収益安定につながります。
通常管理委託は、最もシンプルなプランで月額管理料が3〜5%程度と比較的低めに設定されています。入居者の募集から家賃の集金、クレーム対応までを管理会社に委託しますが、空室時の家賃収入はゼロになります。一方、家賃保証付きのプランは管理料が7〜8%程度と高めになる代わりに、滞納リスクをカバーしてくれます。日昇ホームの「セーフティプラン」は家賃総額の4%(税別)で滞納保証を含み、「メンテナンスプラン」は5%〜(税別)で修理費用保証まで付くという構成になっています(日昇ホーム https://nissho.co.jp/service/management_plan/)。
サブリース(一括借上)は、管理会社がオーナーから物件を借り上げて転貸する仕組みで、空室でも一定の家賃収入が保証されます。ただし、オーナーが受け取れる金額は満室時の家賃より低く設定されるのが一般的です。住友林業レジデンシャルのサブリースでは、オーナーへの支払いが賃料・共益費合計の一定割合となっており、入居可能日から一定期間の賃料支払猶予期間と退去時の支払免責があります(住友林業レジデンシャル https://www.sumirin-residential.co.jp/business/chintai_direction/menu/)。また、サブリースであっても建物維持保全のための修理費用や日常清掃費・設備保守管理費はオーナー負担となっているケースが多く、「すべてお任せ」ではない点を理解しておく必要があります。
管理会社を選ぶ際の5つの確認ポイント
管理会社を選ぶ際は、料率の安さだけで判断するのは禁物です。重要なのは、月額料率・業務範囲・追加費用・報告体制・修繕対応の5点をセットで確認することです。
まず確認すべきは、月額管理料に何の業務が含まれているかという「業務範囲」です。国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトでは、管理会社は具体的な管理業務の内容・実施方法について書面を交付して説明することが求められています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/system_commentary.html)。この書面をしっかり読み込み、清掃や点検が含まれているかどうかを確認しましょう。
次に重要なのが「追加費用の明示」です。管理受託契約では、月額管理料だけでなく「報酬に含まれていない費用」も重要事項として明示されるべき項目とされています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001384019.pdf)。契約前に追加費用の一覧を書面で確認し、口頭説明だけで済ませないことが大切です。
また、「集金代行のみのプラン」と「フル管理プラン」を混同しないよう注意が必要です。家賃・敷金・共益費などの金銭管理のみを行うサービスは、法律上の「賃貸住宅管理業」に該当しないため、業務範囲がフル管理とは大きく異なります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/faq.html)。料率が低いプランは、この集金代行のみのケースである可能性があるため、内容をしっかり確認してください。
さらに、修繕対応の透明性も見逃せないポイントです。管理委託の内容によっては修繕内容や費用が不明瞭になりやすいため、見積もりの内訳と報告手順まで事前に確認しておくことが推奨されています(アットホーム https://www.athome.co.jp/contents/for-owners/owners-cost/running-cost/)。最後に、空室時の管理料の扱いも確認しましょう。アオキ不動産やフィリックスのように「空室時は管理手数料を請求しない」方針の会社もあれば、空室中も一定の費用が発生する会社もあります(アオキ不動産 https://aokifudosan.co.jp/page-rent/、フィリックス https://www.felix-leasing.jp/fee/)。
「管理費・共益費」と「管理委託料」を混同しないために
アパート経営の情報を調べていると、「管理費」という言葉が2つの異なる意味で使われていることに気づきます。一つはオーナーが管理会社に支払う「管理委託料」、もう一つは入居者が毎月支払う「管理費・共益費」です。この2つは全く別の概念であるため、混同しないよう注意が必要です。
入居者が支払う管理費・共益費は、共用部分の電気代や清掃費などに充てられるものです。この金額はオーナーの収入の一部となりますが、管理会社への委託料とは別に発生するコストです。
つまり、アパート経営のコスト構造を正確に把握するには、「入居者から受け取る家賃+管理費・共益費」という収入側と、「管理会社への委託料+保守点検費・清掃費などの追加費用」というコスト側を、それぞれ分けて整理することが大切です。この区別ができていないと、収支シミュレーションが大きくずれてしまう可能性があります。収益計画を立てる際は、両者を明確に分けて考えるようにしましょう。
まとめ
アパート経営における管理費の相場は、国土交通省の調査データによると3〜6%未満に集中しており、5%前後が最も一般的な水準です。ただし、月額管理料だけでなく、契約時の事務手数料・更新手数料・清掃費・修繕費などの追加コストを含めた総費用で比較することが不可欠です。また、通常管理・家賃保証付き・サブリースという3つのプランタイプを理解したうえで、自分の投資目的とリスク許容度に合ったプランを選ぶことが成功への近道となります。管理会社を選ぶ際は、料率の安さだけでなく業務範囲・追加費用・修繕対応の透明性を必ず書面で確認してください。まずは複数の管理会社に見積もりを依頼し、条件を比較するところから始めてみましょう。
参考文献・出典
- 国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(管理業者)」 – https://www.mlit.go.jp/common/001320848.pdf
- 国土交通省「管理受託契約に係る重要事項説明書への記載事項」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001384019.pdf
- 国土交通省「制度解説|賃貸住宅管理業法ポータルサイト」 – https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/system_commentary.html
- 国土交通省「よくある質問|賃貸住宅管理業法ポータルサイト」 – https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/faq.html
- アットホーム「賃貸経営のランニングコストについて」 – https://www.athome.co.jp/contents/for-owners/owners-cost/running-cost/
- アットホーム「賃貸物件の『管理費』『共益費』って何?」 – https://www.athome.co.jp/contents/for-lessees/yachin/kanrihi-kyouekihi/
- 住友林業レジデンシャル「賃貸管理メニュー」 – https://www.sumirin-residential.co.jp/business/chintai_direction/menu/
- 京急不動産「管理プラン費用・手数料について」 – https://www.keikyu-sumai.com/contents/code/chintai_03
- 株式会社ベネフィット「選べる管理プラン」 – https://chintai.bene-ltd.com/sub/chintai/plan/
- 日昇ホーム株式会社「管理プラン」 – https://nissho.co.jp/service/management_plan/
- 株式会社アオキ不動産「不動産を貸したい方へ」 – https://aokifudosan.co.jp/page-rent/
- フィリックス「管理料金」 – https://www.felix-leasing.jp/fee/
- サンエイホーム「不動産を貸す・託す」 – https://www.sanei-home.co.jp/for_owners/manage_menu.html