「少額から高配当株を始めたい」と考える方にとって、10万円以下で買える銘柄は心強い選択肢です。東証プライム市場には、数万円の投資で配当利回り3%を超える銘柄が数多く存在します。本記事では、少額で始める高配当株の選び方から、NTTやソフトバンクといった具体的な銘柄の特徴、人気のKDDI株価の状況、そして配当を最大化するNISA活用法までをわかりやすく解説します。
10万円以下の高配当株が注目される理由

株式投資を始めるとき、最初のハードルになるのが投資金額です。かつては人気銘柄を買うのに数十万円が必要でしたが、近年は株式分割が進み、10万円以下で買える銘柄が大きく増えました。高配当株は保有しているだけで定期的に配当金を受け取れるため、投資初心者にも取り組みやすいスタイルといえます。
高配当株の魅力は、株価の値上がり益だけでなく、定期的なインカムゲインが得られる点にあります。たとえば配当利回り4%の銘柄を10万円分保有すれば、年間4,000円の配当金を受け取れる計算です。この水準は銀行預金の利息と比べて圧倒的に高く、長期保有を前提とした資産形成に適しています。
さらに、10万円以下の投資であれば複数の銘柄に分散することも可能です。1銘柄に集中するよりリスクを抑えられるため、初心者でも安心して始められます。短期的な売買益を狙うのではなく、じっくりと資産を育てるスタイルに向いているのです。
配当金の仕組みと計算方法を理解する

銘柄を選ぶ前に、配当金がどう計算されるのかを理解しておきましょう。配当金とは、企業が事業で得た利益の一部を株主に還元するお金のことです。企業には配当を出す義務がないため、業績が悪化すれば減配や無配になる可能性がある点も覚えておく必要があります。
配当利回りの計算式
配当利回りは、株価に対して年間配当金がどれくらいの割合かを示す指標です。計算式は「1株あたり年間配当金÷株価×100」で求められます。たとえば株価1,000円で年間配当金40円の銘柄なら、配当利回りは4%です。投資額からの年間配当を知りたい場合は「投資額×配当利回り÷100」で計算でき、10万円を利回り4%に投資すれば年間4,000円が期待できます。ただし、これは税引前の金額である点に注意しましょう。
投資額別の配当金シミュレーション
投資を始める前に、どれくらいの配当金が見込めるかを把握しておくと目標を立てやすくなります。下の表は、投資額と配当利回りごとの年間配当金の目安です。
| 投資額 | 利回り3% | 利回り4% | 利回り5% |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 3,000円 | 4,000円 | 5,000円 |
| 30万円 | 9,000円 | 12,000円 | 15,000円 |
| 50万円 | 15,000円 | 20,000円 | 25,000円 |
| 100万円 | 30,000円 | 40,000円 | 50,000円 |
月1万円(年間12万円)の配当収入を目標にするなら、利回り4%で約300万円の投資が必要です。最初は少額から始め、徐々に投資額を増やすことで、着実に配当収入を積み上げられます。
10万円以下で買える高配当株の選び方
高配当株を選ぶときは、配当利回りの高さだけでなく複数の観点から総合的に判断することが重要です。利回りの高さだけで選ぶと、減配リスクや株価下落リスクを見落とす可能性があります。具体的には、連続増配の実績、業績の安定性、必要資金、NISAとの相性という4つの軸で見ていくとよいでしょう。
配当性向をチェックする
配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち配当として支払う割合のことです。この数値が高すぎると、業績が悪化したときに配当を維持できなくなる恐れがあります。一般的に、配当性向が30〜50%程度の企業は、利益の一部を内部留保しながら安定した配当を続けやすいと考えられています。たとえばKDDIは、2027年3月期の会社予想で1株84.0円、配当性向42.8%を見込んでおり、無理のない水準を保っています。
連続増配の実績を重視する
毎年配当を増やしている「連続増配株」は、株主還元に積極的な企業といえます。連続増配企業は経営方針として還元を重視していることが多く、業績が多少悪化しても配当を維持しようとする傾向があります。長期投資では、配当が年々増えていくことが複利効果を高める大きなメリットになります。
実際に、KDDIは2002年度より24期連続の増配を実現しており、2025年度の年間配当は前年度比+10.3%の80円でした。NTTも2026年度に16期連続増配となる年間5.4円を予定し、2003年度比で10倍以上に拡大しています。こうした長期の増配実績は、銘柄選びで重視したいポイントです。
業績の安定性を確認する
安定した配当を期待するには、企業の業績が安定していることが前提です。過去5年程度の売上高や営業利益の推移を確認し、大きな変動がないかをチェックしましょう。通信、電力・ガス、食品、医薬品といった業種は、景気が悪くても需要が大きく減らないため業績が安定しやすい傾向があります。一方、自動車や鉄鋼、海運などは景気変動の影響を受けやすく、配当も変動しやすい点を理解しておく必要があります。
利回りが高すぎる銘柄には注意
配当利回りが市場平均を大きく上回る銘柄には注意が必要です。利回りが高く見えるのは、株価が大きく下落した結果である可能性があるからです。業績悪化や財務不安で株価が下がっている場合、将来的に減配されるリスクが高まります。高利回りの銘柄に出会ったら、企業のIR情報や決算資料を読み、「なぜ利回りが高いのか」を確認する姿勢が大切です。
10万円以下で買える高配当銘柄の特徴
10万円以下で買える高配当株は、株価が比較的低い銘柄や、株式分割によって買いやすくなった銘柄が中心です。どのような業種やタイプがあるのかを把握しておくと、銘柄選びの参考になります。二次情報による日経平均採用銘柄の「10万円以下 高配当ランキング」では、王子ホールディングスや日本製鉄、ソフトバンク、NTT、コニカミノルタといった名前が上位に並んでいます。
通信セクターの銘柄
通信業界は、携帯電話やインターネット回線という安定した収益基盤を持ち、景気に左右されにくいディフェンシブ性が魅力です。なかでもNTTは少額投資の有力候補で、2026年6月30日時点の株価は145円、1単元100株での最低購入代金は14,500円と1万円台で買えます。予想配当利回りは3.72%で、連続増配の実績も伴う点が安心材料です。
同じ通信セクターのソフトバンク株式会社(証券コード9434)も、売買単位は100株で、2026年6月26日時点の株価は204.7円でした。1単元でおおむね2万円台と手が届きやすく、2027年3月期の普通株式配当は年間8.80円を予想しています。同社は2027年3月期から2031年3月期にかけて継続的な増配を目指す方針を示しており、長期の配当成長を期待する投資家に向いています。
注目のKDDI株価と買い方の工夫
同じ通信大手のKDDIは連続増配の代表格として人気ですが、必ずしも10万円以下では買えない点に注意が必要です。2026年6月30日時点の株価は2,745円で、1単元100株の最低購入代金は274,500円でした。予想配当利回りは3.06%と魅力的なものの、まとまった資金が求められます。KDDI株を少額で持ちたい場合は、1株単位で買える単元未満株のサービスを利用するなどの工夫が選択肢になります。
紙・素材セクターの銘柄
10万円以下の高配当候補としては、製紙大手の王子ホールディングスも挙げられます。2026年6月30日時点の株価は795.4円、1単元100株の最低購入代金は79,540円で、10万円以下に収まります。予想配当利回りは4.53%と高く、年間配当は36円で次期も36円を予定しているとされています。ただし、紙市況や資源価格の影響を受けやすい業種である点は理解しておきましょう。
なお、石油元売り大手のENEOSは高配当銘柄として知られますが、2026年6月30日時点の最低購入代金は119,700円で、「10万円以下」という条件からは外れます。同じ高配当でも必要資金は銘柄ごとに大きく異なるため、購入前に最低購入代金を確認することが欠かせません。
配当金にかかる税金とNISAの活用
配当金を受け取る際には税金がかかるため、実際の手取りは額面より少なくなります。しかし、NISAを活用すれば配当金を非課税で受け取れるため、効率的な資産形成が可能です。
配当金の税率
国税庁によると、上場株式等の配当等は原則として20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で源泉徴収されます。たとえば年間配当が1万円の場合、約2,032円が差し引かれ、手取りは約7,968円です。特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば税金は自動で差し引かれるため、原則として確定申告は不要となります。
新NISAで配当金を非課税にする
2024年から始まった新NISAでは、成長投資枠で買った株式の配当金が非課税になります。金融庁の資料によると、年間投資枠は成長投資枠240万円とつみたて投資枠120万円の合計360万円で、非課税保有限度額は1,800万円です。配当利回り4%の銘柄を10万円分NISA口座で保有すれば、年間4,000円がそのまま手取りになります。課税口座なら約3,187円に減ることを考えると、その効果は大きいといえます。
ただし、NISA口座で配当金を非課税にするには、受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。郵便振替方式などを選んでいると、NISA口座で保有していても課税されてしまうため、口座開設時に必ず確認しましょう。なお、NTTの案内では、保有株式の一部が特別口座に記録されている場合は株式数比例配分方式を申し込めず、その株式を証券会社の口座へ振り替える必要があるとされています。複数の方法で株を保有している方は、自分の口座の状態を確認しておくと安心です。
配当金を受け取るまでの流れ
配当金投資を始めるには、証券口座の開設から銘柄の購入、配当金の受け取りまでいくつかのステップがあります。手順を理解しておけば、スムーズにスタートできます。
まずは証券会社で口座を開設します。ネット証券ならスマートフォンやパソコンから申し込み、最短で数日後に取引を始められます。口座開設時にNISA口座も同時に申し込めるため、非課税で配当を受け取りたい場合は忘れずに申請しましょう。次に、投資したい銘柄の配当情報を証券会社のサイトや企業のIRページで確認し、過去の配当実績や予想配当、配当性向などをチェックして自分の方針に合った銘柄を選びます。
配当金を受け取るには、権利確定日の2営業日前にあたる権利付き最終日までに株を保有している必要があります。権利確定日は銘柄ごとに異なりますが、多くの企業は3月末や9月末に設定しています。権利付き最終日を過ぎてから買っても、その期の配当は受け取れない点に注意しましょう。配当金は権利確定からおおむね2〜3か月後に証券口座へ入金され、3月末が権利確定日なら6月頃に振り込まれるのが一般的です。
高配当株投資で気をつけたいポイント
高配当株投資は比較的リスクが低いといわれますが、いくつかの注意点を理解しておくことで、より安定した運用が可能になります。
まず意識したいのが株価下落リスクです。配当が安定していても、株価が下がれば保有資産の評価額は減少します。たとえば年4%の配当を受け取っても、株価が10%下落すればトータルでは損失になります。高配当株投資は長期保有が前提となるため、短期的な値動きに一喜一憂しない姿勢が大切です。
次に重要なのが分散投資です。1銘柄に集中投資すると、その企業の業績悪化や減配が大きく響きます。通信、素材、金融など複数のセクターに分けて投資することで、個別銘柄のリスクを抑えられます。NTTのように1万円台で買える銘柄を複数組み合わせれば、少額でも分散が実現できます。そして何より、受け取った配当を再投資して複利を効かせ、5年、10年という長期の視点で取り組むことが成功への鍵となります。
まとめ
10万円以下で買える高配当株は、投資初心者が資産形成を始めるのに適した選択肢です。NTTやソフトバンク、王子ホールディングスのように少額で買える連続増配銘柄もあれば、KDDIのように人気でも1単元では10万円を超える銘柄もあります。銘柄を選ぶ際は、利回りだけでなく配当性向や連続増配の実績、必要資金、NISAとの相性まで確認することが重要です。
配当金には約20%の税金がかかりますが、NISAを活用し受取方法を株式数比例配分方式に設定すれば非課税で受け取れます。なお、株価や配当予想は変動するため、最新情報は各企業の公式IRや証券会社のサイトで必ずご確認ください。まずは証券口座を開設し、無理のない範囲で高配当株投資を始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 配当情報|KDDI株式会社 – https://www.kddi.com/corporate/ir/stock-rating/dividend/
- 株主還元(配当・自己株式取得)|NTT – https://group.ntt/jp/ir/shares/dividend.html
- 株式基本情報|ソフトバンク – https://www.softbank.jp/corp/ir/stock/info/
- 配当|王子ホールディングス – https://www.ojiholdings.co.jp/ir/stock/dividend/
- 株式・配当・利子と税|国税庁 – https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_5.htm
- NISA制度の概要|金融庁 – https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf