不動産融資

不動産投資ローンの固定金利と変動金利、シミュレーションで差を確認しよう

不動産投資を始めようとしたとき、多くの方が「固定金利と変動金利、どちらを選べばいいのか」という壁にぶつかります。金利の違いは月々の返済額だけでなく、長期にわたる総返済額にも大きく影響するため、慎重に検討したい重要なポイントです。この記事では、固定金利と変動金利それぞれの仕組みをわかりやすく解説したうえで、実際のシミュレーション数値を使って差を具体的に確認していきます。金融機関ごとの特徴も紹介しますので、ローン選びの参考にしてください。

固定金利と変動金利の基本的な違い

固定金利と変動金利の基本的な違いのイメージ

まず押さえておきたいのは、固定金利と変動金利の根本的な仕組みの違いです。固定金利は借入期間中(または一定期間中)の金利が変わらないため、返済計画を立てやすいという特徴があります。一方、変動金利は市場金利の動向に連動して定期的に見直されるため、金利が下がれば返済負担が軽くなる反面、上昇すれば負担が増えるリスクがあります。

変動金利の見直しタイミングは金融機関によって異なります。たとえばオリックス銀行の不動産投資ローンは「適用利率を半年ごとに見直す」仕組みを採用しており、返済額の増額はそれまでの返済額の1.25倍を上限としています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/repayment.html)。もみじ銀行のアパートローンでは、毎年4月1日と10月1日の基準利率をもとに見直しが行われ、6月・12月の約定返済日の翌日から新しい金利が適用される仕組みです(もみじ銀行 https://www.momijibank.co.jp/personal/borrow/house/lease/pdf/manual.pdf)。

固定金利を選んだ場合も、「全期間固定」と「一定期間固定」の2種類があることを理解しておく必要があります。SMBC信託銀行の固定金利型不動産投資ローンは3年・5年・7年・10年の固定期間から選ぶ仕組みで、固定期間終了後は改めて金利条件が設定されます(SMBC信託銀行 https://www.smbctb.co.jp/loan/products/pdf/housing_loan02.pdf)。もみじ銀行も同様に固定金利3年・5年・10年を用意しており、固定期間終了後に申し出がなければ自動的に変動金利へ移行します(もみじ銀行 https://www.momijibank.co.jp/personal/borrow/house/lease/pdf/manual.pdf)。

シミュレーションで見る金利差の影響

シミュレーションで見る金利差の影響のイメージ

実は、金利がわずか1%違うだけで、総返済額には驚くほど大きな差が生まれます。アットホームのシミュレーションによると、借入5,000万円・20年返済で金利1.9%と3.0%を比べた場合、月々の返済額は約2万6,000円、総返済額は約640万円もの差が生じます(アットホーム https://www.athome.co.jp/contents/for-owners/owners-cost/interest-rate-market/)。借入額が大きくなるほど差はさらに広がり、借入8,000万円・30年返済で同じ金利差を比べると、月々の返済額は約4万5,000円、総返済額では1,640万円もの差になります(アットホーム 同上)。

この数字を見ると、金利選びがいかに重要かがよくわかります。しかし、シミュレーションを活用する際には注意点があります。多くのシミュレーションツールは「返済している間、金利が固定されていると仮定」して計算されており、変動金利の将来的な上昇リスクはそのままでは反映されません(アットホーム 同上)。オリックス銀行の返済シミュレーションも「金利等の当初の借入条件が一定で変化しないものと仮定し、計算しています」と明示しています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/house/simulation.html)。

つまり、変動金利でシミュレーションを行う場合は、現在の金利だけでなく「金利が1〜2%上昇したケース」など複数のシナリオを試算することが不可欠です。楽観的な数字だけを見て投資判断をしてしまうと、金利上昇局面で収支が大幅に悪化するリスクがあります。シミュレーションはあくまでも「目安」として活用し、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。

主要金融機関の金利水準と商品特性

各金融機関の金利水準や商品条件は、投資家にとって重要な比較ポイントです。変動金利の目安として、複数の金融機関では様々な金利水準が提示されていますが、実際の適用金利は個人の属性や物件条件によって異なります。

固定金利商品の一例として、アサックスの法人・事業者向け不動産担保ローンは年率1.95%〜7.80%の固定金利で、融資額300万円〜10億円、期間3か月〜35年という幅広い条件に対応しています(アサックス https://www.asax.co.jp/jigyou/)。また、セゾンファンデックスの不動産担保ローンは変動3.4〜5.2%(2026年5月時点)と固定4.50〜9.90%を用意していますが、どちらの金利タイプが適用されるかは審査によって決定されます(セゾンファンデックス https://www.fundex.co.jp/business/product/f/lp4.html)。

公的機関の融資として注目したいのが、住宅金融支援機構の賃貸住宅建設融資です。最長40年の融資期間を持ち、融資手数料・繰上返済手数料が不要という特徴があります。2026年7月の参考金利では、子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資(一般住宅型)の35年固定が3.94%、15年固定が3.19%となっています(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf)。民間金融機関とは異なる条件設定がされているため、対象物件に該当する場合は比較検討する価値があります。

固定・変動を選ぶ際の判断ポイント

重要なのは、固定金利と変動金利のどちらが「絶対に正解」というわけではなく、投資家自身の状況やリスク許容度に合わせて選ぶことです。一般的に、固定金利は返済計画の安定性を重視する方や、金利上昇リスクを避けたい方に向いています。一方、変動金利は当初の金利水準が低い傾向があるため、短期間での売却を想定している場合や、金利動向を継続的にウォッチできる方に向いているとされています。

ただし、変動金利を選ぶ際には「1.25倍ルール」の理解が欠かせません。オリックス銀行やもみじ銀行のように、多くの金融機関では金利が上昇しても返済額の増加を旧返済額の1.25倍までに抑える仕組みを設けています。しかし、これは返済額の上限を定めるものであり、支払いきれなかった利息が元本に上乗せされる「未払い利息」が発生するリスクがある点には注意が必要です。

また、金融機関によっては固定金利から変動金利への変更、またはその逆が制限されている場合があります。SMBC信託銀行の固定金利型は「固定金利型から変動金利型へ変更することはできません」と明示されており(SMBC信託銀行 https://www.smbctb.co.jp/loan/products/pdf/housing_loan02.pdf)、もみじ銀行も「固定金利選択期間中に変動金利への変更はできません」としています(もみじ銀行 https://www.momijibank.co.jp/personal/borrow/house/lease/pdf/manual.pdf)。借入後に金利タイプを変えたいと思っても対応できない場合があるため、最初の選択を慎重に行うことが大切です。

諸費用も含めた総合的なコスト比較

金利だけに注目しがちですが、実際には諸費用も含めた総合的なコストで比較することが不可欠です。事務手数料は金融機関によって大きく異なり、SMBC信託銀行では「Aプラン:借入金額の2.2%、Bプラン:22,000円」という2つのプランが用意されています(SMBC信託銀行 https://www.smbctb.co.jp/loan/products/pdf/housing_loan02.pdf)。新生インベストメント&ファイナンスの事務手数料は融資金額の1.10〜2.20%、AGビジネスサポートは0.00〜3.00%と幅があります(各社公式サイト参照)。

繰上返済を検討している場合は、違約金の有無も重要な確認事項です。新生インベストメント&ファイナンスでは期限前返済違約金が2.00%、AGビジネスサポートも早期返済違約金として支払期日前に返済する元金の2.00%が設定されています。一方、住宅金融支援機構の賃貸住宅建設融資は繰上返済手数料が不要ですが、繰上返済制限制度を利用した場合は10年以内の任意繰上返済で元金5%相当の違約金が発生します(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf)。

保証料についても見落とせません。オリックス銀行は「保証料不要」を前面に出していますが(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/)、もみじ銀行のアパートローンは保証料が一括0.20%で、借入1,000万円・35年の例では428,091円が必要です(もみじ銀行 https://www.momijibank.co.jp/personal/borrow/house/lease/pdf/manual.pdf)。表面上の金利だけでなく、こうした諸費用を含めた実質的なコストを比較することで、より正確な判断ができます。

まとめ

固定金利と変動金利の選択は、不動産投資の収益性を左右する重要な判断です。シミュレーションで確認したように、金利差1%でも総返済額には数百万円から1,000万円超の差が生まれることがあります。まずは複数の金利シナリオでシミュレーションを行い、最悪のケースでも収支が成り立つかどうかを確認することが第一歩です。そのうえで、各金融機関の諸費用・繰上返済条件・金利タイプ変更の可否なども含めて総合的に比較検討してください。金利環境は常に変化しますので、最新の適用金利や条件は各金融機関の公式サイトや窓口で必ず確認するようにしましょう。慎重な準備が、長期にわたる安定した不動産投資の基盤を作ります。

参考文献・出典

  • オリックス銀行 不動産投資ローン — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/
  • オリックス銀行 借入金利と返済方法 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/repayment.html
  • オリックス銀行 返済シミュレーション — https://www.orixbank.co.jp/personal/house/simulation.html
  • SMBC信託銀行 不動産投資ローン(固定金利型)商品説明書 — https://www.smbctb.co.jp/loan/products/pdf/housing_loan02.pdf
  • SMBC信託銀行 不動産投資ローン(変動金利型)商品説明書 — https://www.smbctb.co.jp/loan/products/pdf/housing_loan02_floating.pdf
  • りそな銀行 りそなビジネスローン「不動産購入ローン」 — https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/kakushu/real_estate/
  • もみじ銀行 商品概要説明書(アパートローン) — https://www.momijibank.co.jp/personal/borrow/house/lease/pdf/manual.pdf
  • 住宅金融支援機構 賃貸住宅建設融資 令和8年7月参考金利 — https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf
  • 新生インベストメント&ファイナンス 不動産購入ローン — https://www.shinsei-if.com/real-estate/buyer/
  • アサックス 法人・事業者向け不動産担保ローン — https://www.asax.co.jp/jigyou/
  • セゾンファンデックス 不動産担保ローン — https://www.fundex.co.jp/business/product/f/lp4.html
  • AGビジネスサポート 不動産担保ビジネスローン — https://www.aiful-bf.co.jp/products/mortgage_loan/business.html
  • Wealth Agent 主要14銀行の不動産投資ローン比較 — https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-comparison/
  • アットホーム 不動産投資ローンの金利相場とシミュレーション解説 — https://www.athome.co.jp/contents/for-owners/owners-cost/interest-rate-market/

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