「REITを始めたいけれど、どこで買えばいいのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。実は、REITは株式と同じように証券取引所に上場しているため、証券会社で口座を開設すれば誰でも購入できます。本記事では、REITの基礎知識から購入先の選び方、税金の仕組みと節税策までを丁寧に解説していきます。
REITとは?仕組みと利益の生まれ方

REIT(リート)とは「Real Estate Investment Trust」の略称で、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれています。この金融商品は、投資家から集めた資金を使って複数の不動産を保有し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みになっています。日本で上場しているREITは「J-REIT」と呼ばれており、2024年5月末時点で58銘柄が東京証券取引所に上場しています。
REITから得られる収益は大きく二つに分かれます。ひとつは保有物件から得られる賃料収入をもとにした「分配金」です。もうひとつは市場価格の上昇による「譲渡益」で、株式と同様に値上がり益を狙うことができます。日本取引所グループの統計によると、J-REITの平均分配利回りは2025年時点で3.5〜4.0%前後となっており、国内株式の平均配当利回りをやや上回る水準です。
安定したインカムゲイン(定期的な収入)を得ながら、市況に応じてキャピタルゲイン(売却益)も期待できる点がREITの大きな魅力といえます。実物不動産を購入する場合は数千万円単位の資金が必要になりますが、REITなら1口あたり数万円から20万円程度で購入可能です。さらに、上場商品であるため市場が開いている時間帯ならいつでも売買でき、換金性が高い点も初心者にとって安心材料となります。
加えて、物件の選定やテナント管理といった手間のかかる業務はすべて専門の運用会社が行ってくれます。1銘柄で複数の物件に投資できるため、自然とリスク分散が図れるのもメリットのひとつです。ただし、価格変動リスクや金利上昇リスク、災害リスクなども存在しますので、投資判断の際はこれらのリスクも十分に考慮することが大切です。
REITはどこで買える?3つの購入方法

REITの購入方法は主に3パターンあります。それぞれ特徴が異なりますので、自分の投資スタイルや経験に合った方法を選ぶことが重要です。
まず1つ目は「個別銘柄(J-REIT)」を直接購入する方法です。オフィスビル特化型、住居特化型、物流施設特化型など、投資対象となる不動産の種類を自分で選べるのが特徴です。最低投資額は数万円から20万円程度が目安となります。特定の物件タイプや運用会社にこだわりがある方、REITの分析を楽しみたい方に向いています。
2つ目は「REIT ETF」を購入する方法です。ETFとは上場投資信託のことで、東証REIT指数などに連動する商品を購入することで、複数のREIT銘柄に一度に分散投資できます。1万円から2万円程度で始められるため、初心者が最初に選ぶ商品として適しています。個別銘柄の分析に自信がない方でも、市場全体の動きに連動した運用ができる点が魅力です。
3つ目は「REITファンド(投資信託)」を利用する方法です。こちらは投資信託形式で運用されるため、毎月一定額を積み立てる「積立投資」にも対応しています。証券会社によっては100円から購入できるため、少額から始めたい方にとってはハードルが最も低い選択肢といえます。ただし、運用会社に支払う信託報酬がかかる点は考慮しておきましょう。
初心者の方には、少額から分散投資ができるREIT ETFがおすすめです。まずはETFでREIT投資の感覚をつかみ、慣れてきたら個別銘柄の分析に挑戦するという流れが無理のないステップといえるでしょう。
証券会社の選び方:ネット証券と店舗型の違い
REITを購入するには、まず証券会社で口座を開設する必要があります。証券会社は大きく「ネット証券」と「店舗型証券」に分かれており、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ネット証券の最大の特徴は、売買手数料が無料または非常に低コストである点です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった大手ネット証券では、一定の条件を満たせばREITの売買手数料が無料になるサービスを提供しています。さらに、スマートフォンアプリから24時間いつでも注文できるため、忙しい方でも隙間時間を活用して取引できます。
SBI証券は取扱商品数が非常に豊富で、Tポイントを使った投資にも対応しています。楽天証券は楽天ポイントが貯まる・使えるため、楽天経済圏を活用している方には相性が良いでしょう。マネックス証券は銘柄分析ツールが充実しており、投資判断のサポートを重視したい方に向いています。いずれの証券会社もNISA口座に対応しているため、節税しながらREIT投資を始められます。
一方、店舗型証券(野村證券、大和証券など)は対面でアドバイスを受けられる点がメリットです。投資経験が浅く、専門家の意見を聞きながら判断したいという方には安心感があります。ただし、売買手数料はネット証券と比べて割高になる傾向があり、頻繁に売買する場合はコスト負担が大きくなります。コストを抑えながら自分のペースで投資したい方は、ネット証券を選ぶとよいでしょう。
口座の種類と税務手続きの関係
証券口座を開設する際には、「口座の種類」を選ぶ必要があります。選択する口座によって、確定申告の要否や税金の扱いが変わってきますので、しっかり理解しておきましょう。
最も手間がかからないのは「特定口座(源泉徴収あり)」です。この口座を選ぶと、分配金や売却益に対する税金(20.315%)が自動的に差し引かれるため、原則として確定申告は不要になります。投資初心者の方や、税務手続きに時間をかけたくない方にはこの口座がおすすめです。
「特定口座(源泉徴収なし)」は、税金の計算は証券会社がしてくれますが、納税は自分で確定申告をして行う必要があります。他の金融商品との損益通算を自分で細かくコントロールしたい方に向いています。ただし、確定申告の手間がかかるため、初心者にはあまりおすすめできません。
そして「NISA口座」は、分配金と譲渡益が非課税になる最も節税効果の高い口座です。長期保有を前提としてREITに投資する方は、まずNISA口座の活用を検討すべきでしょう。後述しますが、2024年から始まった新NISA制度では非課税期間が無期限化されており、REITとの相性は非常に良いといえます。
REITにかかる税金の基本を理解する
REITの分配金と譲渡益には、株式と同じく20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。この税率を念頭に置いて、税引き後のリターンを計算することが重要です。
分配金は「配当所得」に分類され、受け取り時に税金が源泉徴収されます。特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、証券会社が税金を自動的に差し引いてくれるため、自分で計算や納税をする必要はありません。たとえば年間10万円の分配金を受け取った場合、約2万円が税金として引かれ、手元に残るのは約8万円ということになります。
譲渡益についても同様の税率が適用されます。REITを売却して利益が出た場合、売却価額から購入価額と手数料を差し引いた金額に20.315%が課税されます。こちらも特定口座(源泉徴収あり)であれば、証券会社が計算から徴収まですべて代行してくれます。
一方、REITの売却で損失が出た場合は、確定申告を活用することで節税につなげられます。上場株式等の利益と損益通算することで、すでに源泉徴収された税金の一部が還付される可能性があります。さらに、損失は確定申告により翌年以降3年間繰り越すことができますので、含み損を抱えた状態で年をまたぐ場合は、繰越しておくことで将来の節税効果が期待できます。
新NISAを活用した節税戦略
2024年から始まった新NISA制度は、REIT投資における最も効果的な節税手段です。この制度を使えば、年間360万円、生涯で1,800万円までの投資枠において、分配金と譲渡益がすべて非課税になります。
新NISAでREITを購入するメリットは非常に大きいといえます。まず、分配金にかかる約20%の税金がゼロになるため、受け取った分配金がそのまま手元に残ります。先ほどの例でいえば、年間10万円の分配金が税金を引かれることなく丸ごと受け取れるのです。売却益についても非課税となるため、値上がりした時点で売却しても全額が手取りになります。
さらに、新NISA制度では非課税期間が無期限化されました。これは長期保有を前提とするREIT投資において大きなメリットです。以前の旧NISA制度では5年間という期限がありましたが、新制度ではその制限がなくなり、何年保有しても非課税の恩恵を受け続けられます。複利効果を最大化するためには、NISA口座の活用は必須といえるでしょう。
なお、NISA口座以外で投資する場合でも、確定申告を活用した損益通算は有効な節税手段です。たとえば株式で利益が出てREITで損失が出た場合、両者を相殺することで税負担を軽減できます。複数の金融商品に投資している方は、年間の損益状況を定期的に確認しておくことをおすすめします。
国内REITと海外REITの税金の違い
海外REITに投資する場合、税金の仕組みが国内REITと異なる点に注意が必要です。特に「二重課税」の問題を理解しておくことが重要です。
国内REITの分配金には日本国内での課税(20.315%)のみがかかります。しかし海外REITの場合、現地の国でまず源泉徴収が行われ、さらに日本でも課税されるため、税負担が二重になってしまいます。たとえば米国REITでは、現地で10%の税金が引かれた上に、日本でも20.315%が課税されます。
この二重課税を軽減するために用意されているのが「外国税額控除」という制度です。確定申告でこの控除を申請すれば、現地で納めた税金の一部または全部を日本の税金から差し引くことができます。ただし、手続きには一定の手間がかかりますし、控除額には上限があるため完全に相殺できるとは限りません。
また、海外REITには為替リスクも伴います。分配金や売却代金を日本円に換算する際に、為替変動の影響を受けるのです。円高になれば受け取る金額が目減りし、円安になればその逆になります。税務手続きの複雑さと為替リスクを考慮すると、初心者の方はまず国内REITから始めることをおすすめします。海外REITへの投資は、ある程度経験を積んでからでも遅くないでしょう。
REIT購入の具体的な3ステップ
ここからは、実際にREITを購入するまでの流れを具体的に解説していきます。手順はシンプルで、証券口座の開設から注文完了まで、初心者でも迷うことなく進められます。
最初のステップは証券口座の開設です。SBI証券や楽天証券などのネット証券のウェブサイトにアクセスし、口座開設の申込みフォームに必要事項を入力します。本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)とマイナンバーの提出が求められますので、事前に準備しておくとスムーズです。このとき、NISA口座も同時に開設しておくと後から手続きする手間が省けます。口座開設の審査は通常1週間程度で完了し、完了通知が届いたら取引を始められます。
次のステップは投資商品の選定です。個別銘柄、ETF、投資信託のいずれを購入するか決めましょう。銘柄を選ぶ際は、分配利回り、投資対象の不動産タイプ(オフィス、住宅、物流施設、商業施設など)、運用会社の実績や財務状況を確認することが大切です。初心者の方は、まず東証REIT指数に連動するETFを選ぶと、個別銘柄の分析をしなくても分散投資の効果が得られます。
最後のステップは注文の実行です。証券会社の取引画面にログインし、購入したい銘柄の証券コードを入力します。購入数量と注文方法を指定して注文を出せば完了です。注文方法には、価格を指定して注文する「指値注文」と、現在の市場価格で購入する「成行注文」があります。初心者の方は、すぐに約定する成行注文を選ぶのが簡単でおすすめです。注文が成立すれば、晴れてREITの投資家としてのスタートを切ることができます。
まとめ
REITは証券会社で口座を開設すれば、誰でも少額から不動産投資を始められる金融商品です。購入先を選ぶ際は、売買手数料の水準、取扱商品数の豊富さ、NISA口座への対応状況という3つのポイントを比較検討しましょう。コストを抑えながら手軽に取引したいなら、SBI証券や楽天証券などのネット証券がおすすめです。
税金面では、新NISA口座を最大限に活用することで、分配金と譲渡益を非課税にできます。非課税期間が無期限となった新制度は、長期保有を前提としたREIT投資と非常に相性が良いといえます。まずはNISA口座で国内REITやREIT ETFを少額から試してみて、投資の感覚をつかんだら徐々に投資額を増やしていくのが現実的なアプローチです。
証券会社の口座開設は無料ですし、最近ではスマートフォンだけで申込みから取引まで完結できます。不動産投資に興味があるけれど大きな資金を用意できないという方にとって、REITは最初の一歩として最適な選択肢です。まずは口座開設から始めて、不動産投資の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 日本取引所グループ – https://www.jpx.co.jp
- 財務省「令和7年度(2025年度)税制改正の概要」 – https://www.mof.go.jp
- 金融庁「NISA制度の概要」 – https://www.fsa.go.jp
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の税率表」 – https://www.nta.go.jp