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REIT 2027年 デメリットを深掘り!初心者が知るべき4つの注意点

不動産投資を調べると「REITなら手軽で安心」といった情報が目に入ります。しかし「2027年まで保有して本当に大丈夫だろうか」と不安になる人も多いはずです。本記事では、REIT 2027年 デメリットを中心に、将来の利回り低下や金利上昇リスクなど見過ごしがちな落とし穴を整理します。専門用語を丁寧に解説しつつ、公的データを交えて具体的に説明するので、読み終える頃には自分に合った投資判断の軸が見えてくるでしょう。

まず押さえておきたいREITの仕組みと2027年の見通し

まず押さえておきたいREITの仕組みと2027年の見通しのイメージ

ポイントは、REIT(不動産投資信託)が不動産を小口化し、投資家に分配金を届ける仕組みだということです。東京証券取引所に上場しているため、株式と同じ感覚で売買できる一方、市場全体の景気や金利動向に大きく左右されます。

まずREITの収益源は賃料収入と物件売却益です。金融庁のモニタリング報告では、2025年時点のJ-REIT平均分配利回りは約3.6%となっています。一方、国土交通省の「不動産価格指数」は三大都市圏で横ばい傾向にあり、急激な賃料上昇は期待しにくい状況です。つまり、分配金は大幅に伸びにくいという前提でプランを立てる必要があります。

加えて、東証REIT指数のボラティリティ(価格変動幅)はTOPIXより高い年度もあります。2022年度の標準偏差は約17%と、安定資産と呼ぶにはやや動きが大きい水準でした。2027年までの中期予測でも、日銀が目標とする物価2%が定着すれば利上げ余地が生まれ、指数変動は続くと見込まれます。安定した配当だけを期待すると、想定外の値下がりで含み損を抱える可能性がある点を覚えておきましょう。

重要なのは利回り低下という落とし穴

重要なのは利回り低下という落とし穴のイメージ

実は、REITの魅力である分配利回りは、物件のキャッシュフローと市場価格の両面から圧迫を受けやすい構造です。利回りは「年間分配金÷投資口価格」で計算されるため、賃料が横ばいでも価格が上がると自然に低下します。

第一に、物件の賃料増加余地が限られるという現実があります。国交省のテナント調査によると、都心オフィス空室率は2025年春に6%台で頭打ちとなり、賃料も横ばいです。賃料収入が伸びなければ、分配金は維持が精いっぱいになります。第二に、機関投資家の資金流入が続くと投資口価格が上昇し、計算上の利回りは押し下げられます。つまり、人気が出るほど利回りは下がるという逆説的なリスクが存在します。

さらに、2027年にかけて実需の少ない地方物流施設の供給増が予想されています。需要予測を誤ると稼働率が低下し、分配金原資が減少する恐れがあります。人口減少地域では高齢化に伴い消費行動が縮小するため、施設のテナント確保は容易ではありません。利回りが予定より1%下がると、1000万円投資した場合、年間10万円の収入減となる計算です。長期計画を立てる際は、このような数値シミュレーションも欠かせません。

金利動向が与える影響と価格変動リスク

まず押さえておきたいのは、REITが多額の借入金を活用して物件を取得している点です。資本構成比率(LTV)が50%前後の場合、金利1%の上昇で純利益が数%押し下げられる試算もあります。

日本銀行は2024年にマイナス金利を解除し、2025年10月時点で政策金利は0.25%です。日本経済研究センターのシナリオでは、2026年末に0.75%へ到達する可能性が示されています。仮に借入金利が1%上がると、年間融資コストは1000億円規模のファンドで10億円増える計算です。この負担は分配金の原資を直撃し、投資口価格の下落要因になります。

また、金利上昇局面では債券利回りも上がります。投資家は相対的に安全性の高い国債へ資金をシフトするため、REITの需要が薄れやすくなります。2023年の米国REIT市場では、10年国債利回りが4%を超えたタイミングでREIT指数が年初来10%以上下落しました。日本でも先行事例として参考になります。言い換えると、金利が上がるほど価格変動リスクは拡大し、タイミングによっては分配利回りより値下がり損の方が大きくなる恐れがあるのです。

制度変更・物件老朽化という長期的デメリット

ポイントは、投資期間が長いほど税制や建物の物理的な劣化に影響されやすいことです。2025年度の税制では、個人が受け取るREIT分配金は配当所得に区分され、上場株式と同じ約20%の申告分離課税が適用されています。しかし将来の税率引き上げや、金融所得課税の一体化議論が再燃する可能性もゼロではありません。制度変更があれば手取り利回りが下がり、収益計画が崩れるリスクがあります。

建物の老朽化も見逃せません。REITは平均築年数10〜15年の物件を多く保有していますが、2027年時点で築25年を超える資産が増えます。耐震補強や設備更新には多額の資本的支出が必要です。修繕積立金を超える費用が発生した場合、分配金が減額された過去事例もあります。特にホテル型REITは改装周期が短く、パンデミック後の需要回復と設備更新が重なりやすい点に注意が必要です。

さらに、脱炭素の潮流により、低エネルギー性能ビルへの投資需要が高まっています。環境性能の低いビルは賃料ディスカウントを余儀なくされ、資産価値が落ち込む恐れがあります。2025年度の国交省「グリーンリース促進事業補助金」はREITも対象ですが、交付にはZEB(ゼロエネルギービル)基準など厳しい条件があります。追加投資を行わなければ空室率が上がり、行えばキャッシュフローが圧迫されるというジレンマに直面します。

まとめ

本記事では、REIT 2027年 デメリットとして利回り低下、金利上昇、制度変更、物件老朽化の四つを中心に整理しました。安定した分配金に魅力を感じる一方で、景気や金利に影響されやすい商品性を正しく理解することが欠かせません。投資を検討する際は、分配金だけでなく借入比率や築年数、環境性能など非財務情報も確認し、将来のコスト増を織り込んだシミュレーションを作成しましょう。最終的に、自身のリスク許容度や投資期間と照らし合わせて、REITをポートフォリオに組み入れるかどうかを判断する姿勢が大切です。

参考文献・出典

  • 金融庁「モニタリングレポート」2025年版 – https://www.fsa.go.jp/
  • 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/
  • 東京証券取引所 REITデータライブラリ – https://www.jpx.co.jp/
  • 日本銀行「金融政策決定会合 議事要旨」 – https://www.boj.or.jp/
  • 日本経済研究センター「中期経済予測」 – https://www.jcer.or.jp/

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