物価は上がるのに給料は伸び悩み、預貯金だけでは将来が心配だと感じていませんか。実は、競売をうまく活用すれば、相場より安く収益物件を取得し、堅実な家賃収入を得ることが可能です。本記事では、初心者がつまずきやすい購入手順を丁寧に解説しつつ、2025年10月時点で有効な制度や最新データを交え、リスクを抑えた不動産投資の始め方を具体的に示します。読み終えるころには、物件探しからキャッシュフロー管理まで、行動に移せるロードマップが頭に描けるはずです。
市場を読み解いて機会を見極める

まず押さえておきたいのは、収益物件全体の価格動向です。国土交通省の不動産価格指数によると、2024年まで続いた上昇は2025年に入り横ばい傾向へ移りました。つまり、過熱感が薄れた今こそ慎重に仕込む好機といえます。ただしエリア格差は依然として大きく、都心の中古マンションは指数が前年比+3%なのに対し、地方中核市では−1%というデータが示されています。将来の人口流入が見込める地域に照準を合わせつつ、割安感が出始めた区分や一棟物を探す姿勢が重要です。
一方で賃料は緩やかな上昇を維持しています。総務省家計調査では、単身世帯の平均家賃が前年比1.2%増と堅調です。家賃が下がりにくい構造を活かせば、購入価格を抑えた競売物件はキャッシュフローを厚くできる可能性が高まります。こうしたマクロデータを見ながら、次のステップである物件選定に臨むと判断ミスが減ります。
競売物件の特徴とリスクを正しく理解する

重要なのは、競売の安さの裏に隠れたリスクを見逃さないことです。競売とは、ローンを返済できなくなった所有者から担保権者が裁判所を通じて不動産を売却する手続きで、入札者は通常の売買契約より約10〜30%低い価格で取得できるケースがあります。しかし現況調査が不十分だったり、占有者の退去交渉が必要だったりする点が大きな違いです。
たとえば、競売三点セットの「物件明細書」に賃借権が記載されているのに見落とすと、落札後に賃借人へ明け渡し請求ができず、長期にわたり収益化できない事態も起こります。また、内覧できないため、雨漏りや給排水管の劣化といった隠れた瑕疵を事前に完全把握するのは難しいのが現実です。こうしたリスクを織り込んで入札価格を決める計算力が求められます。
さらに、地方の築古アパートは利回りが高く見えても、将来の修繕費がかさみやすい傾向があります。過去10年の大規模修繕履歴が把握できる通常売買と違い、競売では書類が限定的です。購入後に突発的な支出が発生しても耐えられるよう、予備費を多めに積む堅実な姿勢が失敗を防ぎます。
具体的な購入手順をステップごとに把握する
ポイントは、裁判所公告の確認から落札後の引き渡しまでを一気通貫でイメージすることです。まず、BIT(不動産競売物件情報サイト)でエリアと種別を絞り、三点セットを読み込みます。次に、近隣の公示地価や家賃相場を調べ、予想利回りを試算します。ここで入札上限額を決め、必要なら専門家にセカンドオピニオンを依頼すると安心です。
入札は通常1週間の期間入札方式で、保証金として売却基準価額の2割を納付します。落札後5日以内に残代金を納付しないと保証金が没収されるため、あらかじめ融資の内諾を得ておくのが堅実な進め方です。金融機関は競売物件への融資に慎重ですが、法人名義での収支計画を提出し、自己資金を3割以上用意すると承認されやすくなります。
残代金を支払うと裁判所から「売却許可決定」が確定し、所有権移転が完了します。その後、占有者がいれば任意交渉または明渡訴訟に移ります。スムーズな引き渡しを実現するため、事前に専門弁護士の費用と期間を見積もり、収益化までのタイムラグをシミュレーションしておくと資金計画が狂いません。
キャッシュフローと出口戦略を設計する
実は、競売で安く買っただけでは成功は約束されません。大切なのは運用期間中のキャッシュフロー管理と出口戦略です。家賃収入からローン返済、固定資産税、管理費を差し引いたネットキャッシュフローが毎月プラス5万円以上なら、仮に金利が1%上昇しても十分に耐えられるケースが多いと金融機関の融資事例で示されています。
修繕積立は年間家賃収入の10〜15%を目安に別口座へプールしましょう。特に築25年以上のRC造マンションは、2025年時点で外壁改修に1戸当たり平均80万円が必要という日本建築学会の試算があります。まとまった費用を計画的に積み上げることで、突然の大規模修繕でも自己資金が尽きる事態を避けられます。
出口については、10年後の再販価格を保守的に見積もることが堅実です。国交省の長期不動産価格予測(2025年改訂版)は、人口減少地域で年率−1%、三大都市圏で年率+0.5%としています。取得時の利回りが高くても将来価値が下がる場所では、賃貸経営を継続しながら繰上返済で返済比率を下げ、売却せずキャッシュフローを取り続ける戦略が有効です。一方、都心部では資産価値維持を前提に、低金利時に借り換えを行いレバレッジを高める選択肢もあります。
2025年度の税制・法制度で押さえるポイント
まず確認したいのは、2025年度の「特定取得に係る登録免許税軽減措置」が2026年3月まで延長されたことです。個人が一定条件を満たす住宅用物件を取得する場合、所有権移転登記の税率が2.0%から0.3%へ下がります。ただし、競売で取得した場合でも自己居住用に転用するなら適用されるため、将来的に自宅にする計画がある投資家にとってはメリットが大きいといえます。
また、法人で収益物件を取得するケースでは、2025年度税制改正で決定した「中小企業向け設備投資促進税制」が賃貸用住宅にも一部適用され、断熱改修や太陽光発電を導入した際の即時償却が可能です。省エネ改修により家賃競争力を高めながら税負担を抑えられる点は見逃せません。
さらに、改正マンション管理適正化法が2025年4月に全面施行され、管理計画認定制度がスタートしました。一定基準を満たした管理組合のあるマンションは将来価値が維持されやすいと評価され、金融機関の評価も上がります。競売で区分所有を狙う場合は、公告に管理計画認定の有無が記載されているか必ず確認し、長期保有リスクを低減しましょう。
まとめ
本記事では、市場動向の把握から競売特有のリスク、具体的な購入手順、キャッシュフロー管理、そして2025年度制度まで、収益物件を堅実に取得するための流れを一気に整理しました。結論として大切なのは、安さに飛びつかず入札前に十分な情報と資金を準備し、取得後の運営計画と出口戦略まで描いておくことです。今すぐBITで物件を検索し、気になる案件があれば収支シミュレーションを作成してみてください。行動を一歩進めることで、将来の安定収入への道が開けます。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/
- 総務省 家計調査 – https://www.stat.go.jp/
- 東京地方裁判所 BIT(不動産競売物件情報サイト) – https://bit.sikkou.jp/
- 日本建築学会 大規模修繕費用調査報告書 2024 – https://www.aij.or.jp/
- 財務省 2025年度税制改正大綱 – https://www.mof.go.jp/
- 国土交通省 改正マンション管理適正化法ガイドライン – https://www.mlit.go.jp/