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円安で日本株は買うべき?REITで賢く稼ぐ戦略

円安が続くと「日本株を買うべきか」「どの銘柄が有利なのか」と悩む方が増えています。輸出企業の株価は円安で上昇しやすい一方、為替が急変すると利益が吹き飛ぶリスクもあります。そこで注目したいのが、円建てのまま国内不動産に投資できる不動産投資信託、いわゆるREIT(リート)です。

本記事では、円安環境下で日本株とREITをどう組み合わせるべきかを、公的データを踏まえて解説します。輸出株のメリットが必ずしも一様ではないという事実にも触れながら、現実的な戦略を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

円安は日本株に本当に追い風なのか

円安が家計と投資環境に与える影響

まず押さえておきたいのは、「円安だから日本株は買い」という単純な図式が成り立ちにくいという点です。円安が進むと輸出企業の海外売上は円換算で膨らみやすく、自動車や電機といった業種の株価が上昇する傾向はたしかにあります。しかし、円安の恩恵は思ったほど全体には広がっていません。

実際、経済産業省の通商白書2023年版では、今般の円安は輸出拡大の好機であったにもかかわらず、輸出が貿易収支に与える影響は限定的だったと明記されています。同白書によれば、輸出品目のうち円建ての輸出収益が増加した品目がある一方で、収益が減少した品目も存在していました。つまり、円安の恩恵は品目や企業によって大きく異なるのです。

この非対称性は中小企業でより鮮明です。中小企業基盤整備機構が2025年3月に公表した調査によると、円安の影響を「メリットの方が大きい」とした企業はわずか5.7%にとどまり、「デメリットの方が大きい」とした企業は38.8%に達しました。デメリットの具体的内容としては「原材料・商品仕入価格の上昇」が77.0%と最も多く、円安が輸入コスト高を通じて経営を圧迫している実態がうかがえます。

さらに同調査では、金利上昇の影響を受けている企業も23.9%あり、その多くが「借入金利上昇に伴う経費増加」を挙げていました。円安局面では金利動向も無視できません。こうした背景を踏まえると、輸出株一本に賭けるのではなく、値動きの性質が異なる資産を組み合わせる発想が重要になります。

なぜ円安時代にJ-REITが選択肢になるのか

REITの仕組みと円安との相性

円安局面での投資先として、J-REITは見落とされがちですが、実は検討に値する選択肢です。J-REITとは、多数の投資家から集めた資金で不動産を保有・運営し、賃料収入や売却益を分配する上場商品を指します。日本取引所グループの説明によれば、J-REITは東証で株式と同じように成行・指値の両方で売買でき、個人でも比較的小口から不動産に投資できる点が特徴です。

J-REITが円安時代に注目される理由の一つは、円建てのまま投資できることです。外貨建て資産を購入する場合、円高に転じると元本割れのリスクがありますが、J-REITなら為替リスクを直接負わずに済みます。加えて、後述するホテル系や商業系のように、訪日需要という円安メリットを不動産市場を通じて間接的に取り込めるセクターも存在します。

もう一つ理解しておきたいのが、J-REITの分配金が高めになりやすい仕組みです。ここは誤解の多いところですが、正確には「法人税が免除される」わけではありません。金融庁の資料によれば、投資法人は会計上の税前利益の90%超を配当するなどの要件を満たした場合、税務上は導管体として扱われ、利益配当を法人税の算定上、損金算入できる仕組みになっています。この構造により、分配金利回りが株式の配当利回りより高くなる傾向があります。

市場の規模感も確認しておきましょう。JPXの資料によると、2026年5月29日時点の東証REIT指数の構成銘柄数は58です。一方、JPXファクトシートでは直近時点で東証REIT指数の時価総額と分配金利回りが報告されています。なお、日本取引所グループの2026年4月の売買状況ではREITの上場銘柄数が63とされていますが、これはインフラファンドを含む数え方である点に注意が必要です。母数を語るときは、この算定基準の違いを意識しておくとよいでしょう。

セクター別に見るREITと円安の関係

J-REITにはさまざまなセクターがあり、円安の影響度合いはそれぞれ異なります。JPXが算出する東証REITセクターフォーカス指数は、物流・オフィス・住宅・ホテル&リテールの4系列で構成されており、これが市場で意識される主要な区分の目安になります。

最も円安メリットを受けやすいのはホテル系REITです。訪日外国人観光客の増加は、ホテルの稼働率と客室単価の両方を押し上げます。日本政府観光局によれば、2025年の年間訪日外客数は42,683,600人で、前年比15.8%増と過去最高を更新しました。観光庁の資料でも、2025年の訪日外国人旅行消費額は総額9兆4,549億円と推計されており、ホテルや商業系不動産にとって力強い追い風となっています。具体的なホテル系J-REITとしては、ジャパン・ホテル・リート投資法人や星野リゾート・リート投資法人などが上場しています。ただし景気連動性が高いため、ポートフォリオ全体のバランスを考慮することが大切です。

物流系REITも安定性の面で魅力があります。越境ECの拡大により倉庫や配送センターの需要が高まっており、テナントとの契約は長期が多いため賃料収入が比較的安定しています。代表的な銘柄としては、GLP投資法人や日本プロロジスリート投資法人などが挙げられます。

なお、近年話題のデータセンターについては、独立した大分類として扱うには注意が必要です。J-REIT.jpの用途説明では、データセンターは独立セクターではなく「その他」として、研究施設などと並ぶ産業用不動産の例示に位置づけられています。JPXの主要なセクター指数にも別立てで存在するわけではありません。成長期待のある分野ではありますが、市場区分としてはまだ発展途上と理解しておくとよいでしょう。

一方、オフィス系や住宅系、ヘルスケア系のREITは、円安の影響が比較的限定的です。テナントの多くが国内企業や個人であるため、為替変動の恩恵を直接受けにくい構造になっています。ヘルスケア系ではヘルスケア&メディカル投資法人などが上場しており、こうしたセクターは景気変動への耐性が高く、ポートフォリオの守りとして重要な役割を果たします。

REIT選びで金利リスクを軽視しない

REITを選ぶ際には、表面的な利回りだけで判断しないことが欠かせません。特に重要なのが金利の動向です。J-REITは借入を活用して不動産を取得しているため、金利の影響を受けやすい特徴があります。

投資信託協会系の解説によれば、J-REITの投資口価格は不動産市況や景気見通し、需要動向に加えて金利動向によっても変動します。さらに、金利上昇に伴う支払利息の増加など、費用の増加によって分配金が減少することもあると明記されています。つまり、円安メリットに目を奪われるあまり、金利上昇局面のリスクを見落とすと痛手を負いかねません。

そのため、銘柄を選ぶ際は借入金比率や返済期限の分散状況を確認することをおすすめします。借入への依存度が高い銘柄ほど、金利上昇時に分配金が圧迫されやすくなります。有価証券報告書などで借入金の返済スケジュールを確認し、短期に集中していないかをチェックする習慣をつけると安心です。前述の中小企業調査でも借入金利上昇が経費増につながっている実態が示されており、金利論点は不動産投資において軽視できません。

新NISAを活用して非課税で運用する

J-REITへの投資では、税制優遇制度を活用することで効率を大きく高められます。国税庁の説明によれば、令和6年以降のNISAでは、18歳以上の居住者が非課税口座で取得した上場株式等について、その配当等や売却益が非課税となります。年間投資上限額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。

J-REITやREIT ETFは、多くが成長投資枠で購入できます。分配金と売却益が非課税になるため、長期で保有し分配金を再投資していけば、複利効果を活かした資産形成が期待できます。例えば毎月一定額をREIT ETFに積み立てれば、購入タイミングを分散しながら、非課税のメリットを継続的に受けられます。

ただし、NISAの制度内容や対象商品は個別事情によって異なる場合があります。つみたて投資枠と成長投資枠で購入できる商品には違いがあり、分配金の再投資の扱いも金融機関によって異なることがあります。最新の情報は国税庁や各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

円安時代のポートフォリオの考え方

実際にREITを組み入れる際は、攻めと守りのバランスを意識することが大切です。訪日需要を取り込むホテル系や、越境ECの成長を享受する物流系を攻めの中心に据えつつ、住宅系やヘルスケア系で守りを固める構成が一つの考え方になります。景気の追い風を狙う部分と、景気後退期でも収益が落ち込みにくい部分を組み合わせることで、全体の安定性を高められます。

同時に、REITだけに資金を集中させないことも重要です。為替市場の予測は極めて困難であり、急激な円高への転換も起こり得ます。REITへの配分は総資産の一部にとどめ、国内株式や債券、現預金とバランスよく保有することで、どのような市場環境でも一定の安定性を確保しやすくなります。

あわせて意識したいのが時間の分散です。一括投資ではなく毎月一定額を積み立てる方法を採れば、高値づかみを避け、平均購入単価を平準化する効果が期待できます。四半期ごとに評価額を確認し、当初の比率から大きくずれた場合にリバランスすれば、過度な売買を避けながらシンプルに運用できます。焦らず長期の視点で続けることが、円安時代を乗り切る鍵となります。

よくある質問

Q1. 円安の時にJ-REITを買うメリットは何ですか?

円建てのまま国内不動産からの賃料収入を得られる点が最大のメリットです。特にホテル系REITは、過去最高を更新する訪日需要を背景に稼働率が高まりやすい傾向があります。為替変動リスクを直接負わずに、円安のメリットを不動産市場を通じて間接的に取り込める点が魅力です。

Q2. 日本株とJ-REITのどちらに投資すべきですか?

どちらか一方ではなく、組み合わせる発想が現実的です。輸出企業株は円安で恩恵を受ける場面もありますが、通商白書が示すとおり効果は一様ではなく、景気変動の影響も大きく受けます。J-REITは賃料収入をベースにするため株式と異なる値動きをしやすく、分散効果が期待できます。リスク許容度に応じて配分を調整しましょう。

Q3. J-REITの分配金が高いのは法人税が免除されているからですか?

正確には免除ではありません。金融庁の資料によれば、投資法人は税前利益の90%超を配当するなどの要件を満たすと、税務上は導管体として扱われ、利益配当を法人税計算上で損金算入できます。この仕組みにより結果として分配金利回りが高くなりやすいのであって、無条件に税金がかからないわけではない点に注意が必要です。

まとめ

円安が長期化する中、「日本株を買うべきか」という問いへの答えは、投資先の選び方次第です。輸出株の恩恵は品目や企業によって一様ではなく、中小企業ではむしろコスト増の痛みが目立つのが実情です。輸出株だけに頼らず、J-REITを組み合わせることで、賃料収入という安定的なインカムと円安メリットの両方を追求できます。

ホテル系や物流系で訪日需要と越境ECの成長を取り込みつつ、住宅系やヘルスケア系で守りを固める。金利上昇による分配金減少のリスクを意識して銘柄を選び、新NISAの非課税枠を活用する。こうした戦略を、長期の視点で焦らず続けることが、円安時代の資産形成につながります。制度や市場データは変化しますので、最新情報は各公的機関の公式サイトでご確認のうえ、ご自身に合ったポートフォリオを構築してみてください。

参考文献・出典

  • 日本取引所グループ「REITの概要」 – https://www.jpx.co.jp/english/equities/products/reits/outline/
  • 日本取引所グループ「東証REIT指数ファクトシート」 – https://www.jpx.co.jp/english/markets/indices/factsheets/files/e_102_fac2_REIT.pdf
  • 日本取引所グループ「2026年4月売買状況(概算)」 – https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0063/
  • 経済産業省「通商白書2023年版」 – https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2023/2023honbun/i2220000.html
  • 中小企業基盤整備機構「円安等の影響に関する調査」 – https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/
  • 金融庁「平成27年度 税制改正要望項目」 – https://www.fsa.go.jp/news/26/sonota/20140829-9/01.pdf
  • 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」 – https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html
  • 観光庁「訪日外国人の消費動向」 – https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002003329.pdf
  • 国税庁「No.1535 NISA制度」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm

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