長引く物価上昇と金利変動のなかで「預金だけでは資産が増えない」という焦りを感じていませんか。とくに住居費や光熱費が上がった2025年、将来に備えるための投資先を探す人が急増しています。そんな読者にとって、少額から始められ管理手間も少ない不動産投資信託、つまりREIT(リート)は魅力的な選択肢です。本記事では「REIT おすすめ 初心者 アフターコロナ」という視点から、最新データを交えつつ市場動向、銘柄選び、リスク管理、税制メリットまでを丁寧に解説します。読み終えたころには、自分に合ったREITを見つけて小さく第一歩を踏み出せるはずです。
2025年のREIT市場はどうなっているのか

まず押さえておきたいのは、2025年10月時点で日本のREIT市場が回復基調にあるという事実です。東京証券取引所の統計によると、東証REIT指数は2023年末比でおよそ12%上昇しました。背景には、オフィス稼働率の改善と訪日客増加によるホテル収益の伸びがあります。一方で物流施設への過剰投資は落ち着き、賃料横ばいが続くセクターも見られます。
この流れはアフターコロナ特有の需要変化を反映しています。在宅勤務の定着で中小規模オフィスの空室率が下がり、逆に超大規模ビルの一部フロアは空席が続くという二極化が進みました。その結果、テナント入れ替え時の賃料増減が銘柄ごとにばらつき、分散投資の必要性がこれまで以上に高まっています。
さらなる注目点は金融政策です。日本銀行は2025年春にマイナス金利を解除し、短期金利は+0.25%前後で安定しました。上昇局面とはいえ、欧米に比べ低金利で推移しているため、配当利回り3〜4%台のREITには相対的な魅力が残ります。つまり今から始めても「遅すぎる」ということはなく、むしろ金利と物件価格が均衡する現在が仕込み時といえます。
初心者が理解すべきREITの仕組みとメリット

重要なのは、REITが「不動産を小口化した商品」であるという基本を理解することです。投資家は証券取引所で1口単位から購入でき、運用は専門家が行います。毎年3月と9月を中心に分配金が支払われ、そこから得られるインカムゲイン(配当収入)が主な収益源です。
一方、価格変動に伴うキャピタルゲイン(売却益)も狙えますが、短期売買は難易度が高く、初心者は分配金重視で長期保有するほうが安心です。加えて、REITは上場株式と同様に透明性が高く、四半期ごとの運用報告や保有物件データが公開されます。この点が個別の現物不動産投資よりも情報収集しやすい大きな魅力です。
また、2025年度の税制では新しいNISAを活用すれば、年間成長投資枠240万円までのREIT投資で得られる分配金と売却益が非課税になります。つまり、税引き後利回りを大きく改善できるため、初心者ほど制度を利用する価値があります。資金拘束が嫌なら特定口座で始め、慣れてからNISAに移す方法も選択できます。
アフターコロナで注目されるセクター別REIT
ポイントは、コロナ禍を経て需要構造が変わったセクターを見極めることです。具体的に注目されるのはホテル、オフィス、物流、住宅の四つで、それぞれに異なるリスクとリターンの特徴があります。
ホテル系REITは訪日客数が2019年比94%まで回復し、平均客室単価も上昇基調です。観光庁のデータによれば、2025年の年間訪日客は4100万人を突破する見込みで、運用会社は旺盛な宿泊需要を分配金に反映しています。ただし地政学リスクで需要が急減する可能性もあるため、組入比率は20%程度に抑えるのが無難です。
オフィス系は前述のとおり中小規模ビルに追い風が吹いています。特に都心五区の築浅・駅近物件に集中投資するREITは堅調で、賃料上昇率が平均2%を維持しています。しかし大型ビル比率が高い銘柄は苦戦しているため、物件ポートフォリオを確認したうえで選ぶことが必要です。
物流系はEC需要の伸びが一巡し、賃料の天井感が出ています。それでも立地の良い都市近郊の冷凍冷蔵倉庫やデータセンター併設型施設は高稼働を維持しており、収益性の差は拡大中です。住宅系REITは少子化の影響を受けにくい単身者向け物件が中心で、平均稼働率は96%を超えています。家賃上昇余地は小さいものの、安定配当を求める層には最適です。
ポートフォリオ構築とリスク管理のポイント
実は、REIT投資で想定外の損失を被る多くの人が「分散不足」に陥っています。分散とはセクターだけでなく、運用会社の特色、資産規模、上場市場も含めた多面的な組み合わせを指します。例えば、ホテル20%、オフィス30%、物流30%、住宅20%といった配分にすると、特定セクターの不振が全体を揺るがすリスクを抑えられます。
次に注視したいのがLTV(ローン・トゥー・バリュー)です。これは総資産に対する借入金比率を示し、高すぎると金利上昇局面で分配金が削られます。日本取引所グループの平均LTVは43%ですが、55%を超える銘柄は注意が必要です。逆に健全な財務をもつREITは資金調達コストが低く、追加投資のタイミングで成長余地があります。
加えて、日々の値動きに動揺しないために月次レポートを定点観測する習慣を持ってください。チャートに一喜一憂するより、空室率や賃料改訂率の推移を追うほうが本質的なリスク管理につながります。どうしても価格変動が気になる人は、毎月一定額を購入するドルコスト平均法を使うと心理的負担が和らぎます。
2025年度税制・制度を活用した投資戦略
まず覚えておきたいのは、2025年度も新しいNISAが継続し、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合算した年間360万円までが非課税になる点です。REITは成長投資枠で購入できますが、枠を超えた部分は特定口座に振り分けても問題ありません。分配金利回り4%のREITを240万円分保有すると、年間約9万6000円の分配金がまるごと非課税となり、課税口座に比べ約2万円の手取り差が生まれます。
また、2025年4月から東京都が始めた「個人投資家向けSDGsサポート補助金」は、都内在住者が気候変動対策物件を組み込むREITを購入した際、購入手数料を最大1万円補助する制度です。予算上限は12月末までの先着順となっており、利用を検討するなら早めの申し込みが必要です。ただし、対象銘柄が限定されるため、補助金目当てでポートフォリオを歪めないよう注意しましょう。
最後に、iDeCo(個人型確定拠出年金)の商品ラインナップにもREITインデックスファンドが拡充されています。掛金が全額所得控除されるうえ、運用益も非課税なので、退職金代わりにコツコツ積み立てる戦略と相性がよいです。ただし60歳まで原則引き出せないため、生活防衛資金とは切り分けて運用してください。
まとめ
アフターコロナで需要構造が変わったいま、REITは手間なく分散投資できる有力な選択肢です。市場全体は回復基調にありつつもセクター間で明暗が分かれるため、ホテルやオフィスなどの需要動向を見極めたポートフォリオが重要になります。また、LTVや月次レポートを確認することでリスクを小さく抑えられます。さらに、新しいNISAやiDeCoを活用すれば税引き後利回りが向上し、長期資産形成のスピードが加速します。まずは少額から始め、自分の投資スタイルを固めつつ資産を育てましょう。
参考文献・出典
- 東京証券取引所 – https://www.jpx.co.jp
- 国土交通省 観光庁 – https://www.mlit.go.jp/kankocho
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
- 日本取引所グループ REIT月次レポート – https://www.jpx.co.jp/markets/reit
- 内閣府 経済社会総合研究所 統計 – https://www.esri.cao.go.jp
- 東京都 SDGs金融支援事業 – https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp
- 金融庁 新しいNISA特設ページ – https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2024