年収が1,500万円を超えてくると、給与収入だけで将来の資産形成を完結させるのは非効率だと感じる方が増えます。税負担が重くなり、手取りベースで資産を増やす難しさを痛感するからです。そこで注目されるのが、安定収益と節税の両面でメリットが見込めるマンション投資です。本記事では「年収1500万以上 マンション投資 始め方」というキーワードに沿い、資金計画、物件選び、リスク管理、最新の税制まで、初めての方でも迷わず行動に移せるステップを丁寧に解説します。読み終えたときには、自分に合った投資戦略を具体的に描けるようになるはずです。
高年収層だからこそ押さえたい投資戦略の基本

まず押さえておきたいのは、年収1,500万円以上の投資家は通常より多くの金融機関から好条件で融資を受けやすい点です。安定した給与と高い与信力が、低い金利や長期返済期間の提案を引き出します。その結果、自己資金を抑えつつ複数物件へ分散投資する選択肢が広がります。
一方で、高所得者に特有の課題もあります。所得税・住民税の実効税率が30%を超えるケースが多いため、運用益に加え節税効果まで視野に入れた計画が不可欠です。しかし節税だけを目的にすると、採算度外視の物件をつかみやすいので注意が必要です。
ポイントは、税メリットとキャッシュフローを両立させる投資戦略を描くことです。具体的には、空室リスクの低い都心・駅近の単身者向け区分マンションと、利回り重視の準都心エリアを組み合わせるポートフォリオが典型例として挙げられます。こうした複線型の投資戦略は、安定収益と資産拡大スピードをバランス良く両立させるうえで有効です。
資金計画とローン選択の最新ポイント

重要なのは、融資条件によって年間キャッシュフローが大きく変動する点です。2025年12月時点、メガバンクの投資用ローン固定金利はおおむね2.1〜2.3%で推移しています。一方、地方銀行や信用金庫は物件と居住エリアの親和性が高い場合、1.6%前後まで下がる事例もあります。
年収1,500万円層なら、フルローン(諸費用を除く物件価格の100%)を引ける可能性が高いものの、返済比率を35%以内に抑える設計が無理なく続けるコツです。たとえば7,500万円の新築区分マンションを金利1.8%、35年で借り入れると、月々の返済は約23万円です。これに対して、都心ワンルームの平均賃料が約16万円の場合、単体ではキャッシュフローがマイナスになるため、自己資金を1,500万円程度入れて返済額を18万円前後に圧縮しておくと安心です。
また、2025年度の住宅ローン減税は投資用物件に直接適用されませんが、自宅を先に購入し、投資物件を2件目として組み立てる「住居ローン+投資ローン」の二段構えも検討余地があります。この方法なら自宅分で所得控除を確保しつつ、投資用は事業所得として損益通算を図れます。
基本的に、資金計画では「融資比率」「金利タイプ」「返済期間」をセットで比較することが大切です。シミュレーションは金利+1%上昇、空室率15%という保守的な条件でも黒字が残るか必ず確認しましょう。
物件選びで差がつく五つの視点
実は、物件選びを誤ると高年収者でも一瞬で赤字が広がります。まず立地です。国土交通省の地価LOOKレポート(2025年10月)では、東京23区の駅徒歩5分圏内は今後3年も平均2%の価格上昇が見込まれる一方、徒歩15分を超えると横ばいとの予測が出ています。駅近は購入価格が高くても、賃料下落率が低いため長期的にキャッシュフローが安定します。
次に築年数です。築浅は修繕コストが読める反面、利回りが低めになります。築15〜20年の物件で大規模修繕済みなら、購入価格が抑えられ利回り6%超も狙えます。さらに、管理体制の良し悪しが将来価値を左右します。管理組合の修繕積立金が不足しているマンションは要警戒です。総会議事録や長期修繕計画を確認し、10年先に大規模修繕と積立金のバランスが取れているか見極めましょう。
四つ目は賃貸需要の質です。たとえば都心オフィス街に徒歩圏のワンルームは、テレワークの定着後も「一人暮らし+通勤機会あり」のニーズが根強く残っています。最後に出口戦略です。売却時に実需・投資家双方へ転売できる物件は値崩れしにくい傾向があります。具体的には30m²超の1LDKやファミリータイプが当てはまりやすく、将来の価格下支えになります。
つまり、立地・築年数・管理体制・賃貸需要・出口戦略の五つを総合評価することで、購入直後だけでなく10年後の資産価値まで視野に入れた物件選定が可能になります。
運用開始後の管理とリスクコントロール
運用フェーズでまず意識したいのは、空室対策よりも「早期成約」を徹底することです。広告掲載の写真をプロが撮影しただけで、成約スピードが平均10日短縮したという仲介会社の社内データもあります。短期空室でも家賃が発生しない期間は確実に収益を圧迫するため、募集力の高い管理会社選びが欠かせません。
また、賃料改定のタイミング管理も重要です。大手ポータルサイトの相場データを毎年確認し、周辺新築との差が広がり過ぎる前に設備リニューアルを提案するだけでも解約率を下げられます。たとえばエアコン・給湯器・照明をまとめて交換しても70万円程度で済むケースが多く、1万円の家賃アップが叶えば利回り改善が期待できます。
一方で、火災保険や地震保険の長期契約を取り入れると、災害リスクを低コストでカバーできます。2025年度の保険料改定では首都圏の地震保険料が平均4.8%上昇しましたが、5年契約にすれば保険料負担を約8%抑えられます。こうした固定費の最適化は、複数物件を保有するほど効いてきます。
さらに、確定申告で損益を正確に把握することも忘れてはいけません。不動産所得は青色申告により最大65万円の控除が適用され、赤字が生じた場合は給与所得との損益通算が可能です。クラウド会計ソフトと税理士のスポット契約を組み合わせれば、手間を最小限にしつつ税務リスクを抑えられます。
節税と資産形成を加速させる制度活用術
ポイントは、高所得者でも合法的に税負担を軽減しながら資産を増やす仕組みを活用することです。2025年度時点で有効な代表例が「不動産所得の損益通算」と「相続時精算課税の活用」です。前者は前段で触れたとおり、減価償却や金利負担を経費計上することで課税所得を圧縮できます。とくに鉄筋コンクリート造(RC)の法定耐用年数47年を超えた中古物件であれば、短期で大きな減価償却費を計上しやすい特徴があります。
一方で、長期的な資産移転を計画するなら相続時精算課税制度が検討候補になります。2,500万円までの贈与を非課税で行い、将来相続時に精算する仕組みで、贈与時点の評価額で固定されるためマンション価格が上昇する局面では有利です。2025年12月現在、この制度は2026年以降も継続予定と発表されています。
また、2025年度からは「省エネ性能ラベル取得物件への固定資産税減額(最大3年間)」が始まっています。対象は新築かつ一定の断熱基準を満たすマンションに限られますが、区分所有でも適用されるため、新築投資を検討する場合は確認しておくと良いでしょう。
最後に、法人化による節税も選択肢です。課税所得が900万円を超える頃から、個人の所得税・住民税合計より法人実効税率のほうが低くなるケースが増えます。もっとも、設立コストや赤字でも発生する均等割税が生じるため、年間家賃収入が1,200万円を超えるまではシミュレーションの上で慎重に判断してください。
まとめ
ここまで、年収1,500万円以上の方がマンション投資を始める際に欠かせない視点を、資金計画から物件選び、運用、節税まで総合的に解説しました。高い与信力を武器に好条件で融資を引き出しつつ、立地と管理体制に優れた物件を選ぶことで、安定収益と税メリットを同時に享受できます。実践の第一歩としては、返済比率35%以内を条件にシミュレーションを行い、自分のライフプランに合うポートフォリオを設計してみましょう。資産形成のレバレッジを最大限に活かし、将来の経済的自由を現実のものにしてください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 国土交通省 地価LOOKレポート(2025年10月) – https://www.mlit.go.jp/
- 財務省 税制改正資料(2025年度) – https://www.mof.go.jp/
- 住宅金融支援機構 金利統計(2025年12月) – https://www.flat35.com/
- 総務省 統計局 家計調査 – https://www.stat.go.jp/