不動産投資に関心を持ちながらも、いざ行動となると二の足を踏む人は多いものです。年収1000万あっても税負担や将来の不安を完全に解消できるわけではありません。実は収益物件を活用することで、節税と安定収入の両方を実現するチャンスが広がります。本記事では、年収1000万の会社員や自営業者が収益物件を保有するメリットを、2025年12月時点の制度を踏まえて丁寧に解説します。
年収1000万が持つ融資面の優位性

まず押さえておきたいのは、高収入ゆえに金融機関からの信用力が高い点です。この信用力は、低金利かつ長期のローンを引き出すうえで大きな武器になります。住宅金融支援機構の2024年度データによると、年収900万以上の借入者の平均金利は、全体平均より0.2%ほど低く抑えられています。
金融機関は返済比率を重視します。返済比率とは年収に対する年間返済額の割合で、35%を超えると審査が厳しくなる傾向があります。年収1000万の場合、年間350万までが一つの目安となり、融資枠はおおむね8000万前後まで拡大します。つまり、ワンルームだけでなく小規模アパートまで射程に入るのです。
さらに2025年度も継続する「住宅ローン減税」は、投資用区分に直接適用されませんが、自己居住用ローン残高が少ないほど投資ローンの審査に有利に働きます。高年収層ほど自宅ローンを早期に返済する余力があり、その余力が新たな借入の後押しになります。一方で借り過ぎは空室リスクに直結するため、慎重なシミュレーションが欠かせません。
節税とキャッシュフローの二重効果

ポイントは、経費計上による税負担の軽減と、家賃収入による現金増が同時に得られることです。国税庁の令和6年民間給与統計では、年収1000万層の平均税率は約23%に達しています。この税率を抑えつつ、手元資金を増やせるのが収益物件の醍醐味です。
減価償却は建物価格を耐用年数で割り、毎年経費として計上できる仕組みです。木造なら22年、鉄筋コンクリートなら47年が目安となり、帳簿上の赤字が発生すれば所得税と住民税が減ります。ただし赤字が大きすぎると金融機関の評価を下げるため、適度なバランスが重要になります。
もう一つ見逃せないのが、住宅ローン金利の総返済額に対するインフレ耐性です。家賃は物価に連動しやすく、インフレ局面では実質負債が目減りします。つまり、固定金利で借りておけば支払いは一定でも家賃収入が増える可能性があるわけです。日本銀行の物価見通しが2%を超えて推移する現在、この仕組みは将来の防衛手段となります。
資産形成におけるレバレッジ効果
重要なのは、自己資金に融資を掛け合わせることで資産を雪だるま式に増やせる点です。たとえば自己資金1000万で4000万のローンを組み、5000万の区分マンションを購入したとします。この場合、自己資金比率は20%ですが、資産としては全額が自分のものになります。
仮に年間家賃収入が300万、諸経費と金利、元本返済を差し引いて手残りが60万だとしても、元本返済に充てた部分は純資産の増加と同義です。日本不動産研究所のデータでは、都心ワンルームの価格は過去10年で年平均3%程度上昇しています。価格上昇が続く間は含み益も積み上がり、売却益とインカムゲインの両取りが狙えます。
一方でレバレッジは諸刃の剣です。空室や修繕費が想定を超えると、キャッシュフローが一気に悪化します。そのため、購入前に長期修繕計画と周辺の人口動態を精査し、最低でも10年間の資金繰りに耐えられるか確認する必要があります。
ライフプランと収益物件の相性
実は年収1000万層は、ライフプランの変化が大きい時期と重なります。子どもの教育費や親の介護費など、突発的な支出が増えるため、追加のキャッシュフロー源があると心強いものです。特に学資負担がピークを迎える40代後半には、家賃収入が家計のバッファーになります。
また、退職金や企業年金が縮小傾向にある中、私的年金代わりに家賃収入を確保する動きが広がっています。厚生労働省の2024年モデル試算では、標準的な夫婦世帯の公的年金は毎月22万円程度とされています。ゆとりある生活費を賄うには、月8万から10万のプラスが必要とされ、このギャップを埋める手段として収益物件は現実的な選択肢です。
さらに相続対策としても効果があります。小規模宅地等の特例は2025年度も継続中で、一定要件を満たすと評価額を最大80%減額できます。現金で残すよりも不動産で残すほうが、相続税評価額を抑えやすい点が高年収層に好まれています。
失敗を防ぐためのリスク管理
まず大切なのは、物件選定で利回りだけを追わないことです。表面利回りが10%を超えても、立地が悪く空室が続けば実質利回りは急落します。国土交通省の空家率調査では、地方郊外の空室率が20%を超える地域も珍しくありません。立地分析には賃貸需要だけでなく、将来の人口推移や再開発計画を含める必要があります。
次に管理会社の力量を見極めます。管理委託手数料は通常家賃の5%前後ですが、入居付けや修繕対応の速さで収益は大きく変わります。実際に複数社へヒアリングし、入居率と平均空室期間を確認すると、数字で比較しやすくなります。
最後に資金繰りの余裕を確保しましょう。家賃収入の3カ月分を緊急予備資金としてプールし、突発修繕や退去リフォームに備えることが推奨されます。また変動金利を選ぶ場合は、金利上昇2%まで耐えられるかを試算しておくと安心です。保険加入も忘れず、火災保険と家賃保証保険を組み合わせてリスクを分散します。
まとめ
結論として、年収1000万の人が収益物件を保有する最大の魅力は、高い信用力を生かした融資と、節税を同時に達成できる点にあります。適切な物件を選び、長期の資金計画を立てれば、家賃収入は将来の年金不足を補い、相続対策にもなります。まずは自己資金とライフプランを整理し、信頼できる専門家とともに試算表を作ることから始めてみてください。
参考文献・出典
- 国税庁 – https://www.nta.go.jp
- 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp
- 日本銀行 – https://www.boj.or.jp
- 国土交通省 – https://www.mlit.go.jp
- 日本不動産研究所 – https://www.reinet.or.jp
- 厚生労働省 – https://www.mhlw.go.jp