不動産の税金

年収1000万の人がアパート経営で得られる5つのメリット

年収が1000万円あると、生活には余裕があっても「今の収入が将来も続くとは限らない」と感じる方が少なくありません。銀行預金の利息は低く、株式や暗号資産は値動きが激しいため、安定収入を求める声が高まっています。本記事では、そんな悩みを抱える会社員や自営業者に向けて、アパート経営がどのように資産形成に役立つのかを解説します。メリットだけでなくリスクや制度も最新情報で整理するので、読後には具体的な行動指針が見えてくるはずです。

なぜ年収1000万の人にアパート経営が向くのか

なぜ年収1000万の人にアパート経営が向くのかのイメージ

ポイントは、年収1000万円という「信用力」と「キャッシュフローの余裕」を最大限に生かせる点です。まず金融機関の融資審査では、安定した高年収が強力なアドバンテージになります。自己資金を多く投入しなくても、物件価格の80%前後を借りられるケースが増えるのです。

さらに、家計にゆとりがあると長期保有に必要な修繕費や広告費を計画的に準備できます。収入の余裕が精神的な余裕につながり、空室が出ても慌てて家賃を下げる必要がありません。つまり、収益を最大化しやすい立場にあると言えます。

国土交通省の住宅統計(2025年10月公表)によると、全国のアパート空室率は21.2%と高止まりしていますが、都心の駅徒歩10分圏に限ると10%台前半まで下がります。資金力がある投資家ほど立地を厳選できるため、この差を収益に反映しやすいのも魅力です。

一方、取得費が大きくなるほど損失も膨らみます。高年収だからこそ、シミュレーションを慎重に行い、無理のない返済計画を立てる姿勢が欠かせません。信用力とリスク許容度のバランスを把握することが、スタートラインになります。

融資と税金を味方にする具体的な仕組み

融資と税金を味方にする具体的な仕組みのイメージ

まず押さえておきたいのは、レバレッジ効果です。自己資金2,000万円で1億円のアパートを取得した場合、家賃収入が年間900万円、経費が400万円なら営業利益は500万円になります。元手に対する利回りが25%に達する計算で、これが融資活用の醍醐味です。

税制面では「減価償却」が強力な節税手段になります。建物の購入価格を法定耐用年数で均等に経費化できるため、実際のキャッシュアウトがなくても所得を圧縮できます。年収1000万円の給与所得者がアパート損失を10%程度計上すると、所得税・住民税を合計80〜120万円節約できるケースも珍しくありません。

ただし、損益通算が使えるかどうかは不動産所得の区分や規模によって変わります。2025年度の税制では、事業的規模(概ね5棟10室以上)の場合に経費認定が広く認められる一方、区分所有1室だけでは対象外になることがあります。自分の投資計画がどの枠に入るか、事前に税理士へ相談する価値は大きいです。

また、金融機関ごとに金利や融資期間が異なります。地方銀行は固定金利が2%前後で期間20年程度が多いのに対し、都市銀行は変動金利1%台で期間30年超を提示することもあります。金利差1%が30年間で数百万円単位の返済差になるため、複数行を比較する姿勢が欠かせません。

キャッシュフローとリスク管理の基本

実は、アパート経営で一番大切なのは手元に残るキャッシュフローです。表面利回りが高くても、管理費・修繕費・税金を差し引くと赤字になる物件は少なくありません。家賃年収と返済額のバランスを示す「返済比率」は50%以下が目安とされます。例えば家賃年収900万円で年間返済400万円なら返済比率は約44%で安定圏です。

空室リスクを減らすには、立地選びと入居者ニーズの把握が重要になります。単身者向けなら駅近と通信環境、ファミリー向けなら学区と駐車場が成否を分けます。人口動態を市区町村別に確認し、世帯構成の変化まで目を配ることで、長期的な募集力を確保できます。

修繕計画も先回りが肝心です。屋根防水や外壁塗装は12〜15年周期で実施し、1回で300万円前後かかることがあります。年に家賃収入の5%を修繕積立に回せば、将来の大規模修繕にも慌てず対応できます。手元資金を厚く保つことが、家賃の値下げ交渉への強さにも直結します。

リスク管理では、火災保険と家賃保証会社の選定が欠かせません。火災保険は水災オプションを付けても年20万円以内が目安で、自然災害リスクを抑えられます。家賃保証会社は保証範囲と免責期間が異なるため、保証限度額が賃料12か月分以上のプランを選ぶと安心度が高まります。

2025年度制度の活用と将来展望

重要なのは、2025年度に実際に利用できる制度を正しく理解することです。まず、金融庁が推進する「住宅ローンの長期固定低金利化」に合わせ、一部の民間ローンで1.2%台の固定金利が提供されています。金利上昇局面で長期固定を確保できれば、キャッシュフローが読みやすくなります。

次に、環境性能に優れた賃貸住宅を新築すると所得税の特別控除が受けられる「令和7年度 省エネ投資促進税制」が継続中です。断熱等級5以上などの条件を満たした場合、取得価格の5%を上限に控除が得られるため、新築計画がある投資家には大きな追い風になります。期限は2026年3月決算分までなので、スケジュール管理が欠かせません。

また、地方自治体の空き家活用補助金も見逃せません。例えば東京都は2025年度予算で、耐震改修付き賃貸化に最大200万円を補助しています。補助要件は早期に募集枠が埋まる傾向があるため、物件選定と同時に申請準備を進めるとスムーズです。

将来展望としては、人口減少とDX化が賃貸市場を二極化させます。入居者は室内IoTや高速ネットワークを当たり前に求めるようになり、対応できない物件は空室率が上がる見込みです。つまり、高年収投資家が持つ資本力で先進設備を導入すれば、競合物件との差別化が進み、長期安定経営につながります。

成功事例に学ぶ戦略と注意点

まず、35歳の会社員Aさん(年収1050万円)は、都内駅徒歩8分の木造アパート6戸を取得し、自己資金1,500万円で利回り6.8%を実現しました。入居者属性をIT系単身者に絞り、Wi-Fi無料と宅配ボックスを設置したことで、空室期間は平均15日と短く、家賃下落も抑えられています。

一方、地方都市で表面利回り10%超の中古RC造を購入したBさん(年収980万円)は、実際の入居率が60%台にとどまり、想定家賃が下がってしまいました。修繕費が予想以上にかさみ、年間キャッシュフローは黒字ぎりぎりという状況です。立地調査を怠った結果、人口減少エリアで苦戦しています。

この対比から学べるのは、利回りの数字より需要の裏付けが重要という点です。加えて、自己資金比率を高めればローン返済負担が減り、長期的な安定が得られることも分かります。高年収の強みを「無理なく自己資金を厚くできる」方向に使う発想が、リスク抑制につながるといえるでしょう。

結論として、年収1000万の投資家が成功する鍵は、立地・資金計画・制度活用を三位一体で設計し、数字とエリアの双方からリスクを検証する姿勢にあります。

まとめ

本記事では、年収1000万円の方がアパート経営で得られるメリットと注意点を整理しました。高年収は融資枠と税制の両面で大きな武器になりますが、同時に投資額が大きくなるためリスク管理が不可欠です。立地選定、キャッシュフロー計画、2025年度の有効な制度活用を組み合わせれば、安定した家賃収入と節税効果を両立できます。まずは数字に基づくシミュレーションと専門家相談を行い、一歩ずつ準備を進めることをおすすめします。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅統計調査2025年10月速報 – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省「住民税課税状況の調」2025年度版 – https://www.soumu.go.jp
  • 金融庁「金融レポート2025」 – https://www.fsa.go.jp
  • 東京都住宅政策本部「住宅施策概要2025」 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp
  • 財務省「令和7年度税制改正大綱」 – https://www.mof.go.jp

関連記事

TOP