不動産の税金

アパート経営 本当に儲かるのか?仕組みと最新データで徹底検証

アパート経営に興味はあるものの、「本当に儲かるのか」と疑問に感じていませんか。利回りの数字だけを見て飛び込むと、思わぬ支出や空室で赤字になるケースもあります。この記事では、収益構造から空室率、2025年度の税制まで最新情報を交えて解説します。読み終える頃には、アパート経営の収支を自分で計算し、リスクを見極める力が身につくはずです。

アパート経営で利益が生まれる仕組み

アパート経営で利益が生まれる仕組みのイメージ

重要なのは、家賃収入と支出のバランスを正確に把握することです。家賃からローン返済や管理費を差し引いた残りがキャッシュフローで、これが投資家の手元に残る利益になります。

まず家賃収入は、物件の立地と築年数で大きく変わります。都心部は家賃が高く空室率が低い一方、取得価格も高くなるため利回りが下がりやすいです。郊外や地方都市は逆に取得価格が抑えられ、高い表面利回りを提示する物件が多いものの、長期的な人口減少リスクを抱えます。つまり、収益性と安全性はトレードオフの関係にあると理解しましょう。

さらに、家賃収入には更新料や礼金などの一時金も含まれますが、これらは安定しないため、長期の収支シミュレーションでは除外して計算するほうが安全です。家賃が下落しても耐えられるかを確認しておくと、景気変動に左右されにくい経営が可能になります。

初期費用とランニングコストを正しく把握する

初期費用とランニングコストを正しく把握するのイメージ

まず押さえておきたいのは、物件価格以外にも多くの費用が発生する点です。取得時には仲介手数料、登記費用、火災保険料などがあり、合計で物件価格の6〜8%前後が目安となります。これらを自己資金で賄うか、融資に含めるかでキャッシュフローは大きく変わります。

運営中のランニングコストとしては、管理委託料、固定資産税、共用部の電気代、修繕積立金が代表的です。特に大規模修繕は築10年、20年で一気に数百万円単位かかるため、毎月の家賃から積み立てを行う習慣が欠かせません。

また、退去時の原状回復費用も見落としがちです。国土交通省ガイドラインでは入居者負担と大家負担の区分が細かく示されていますが、実務上は大家負担が増える傾向にあります。家賃の1〜2カ月分を目安に引当金を計上しておけば、急な出費にも慌てずに済みます。

キャッシュフローの計算方法と落とし穴

ポイントは、表面利回りではなく実質利回りで判断することです。実質利回りは、年間家賃収入から運営費用を差し引き、さらに取得諸費用を含めた総投資額で割って算出します。

例えば、年間家賃360万円の木造アパートを3000万円で購入し、取得諸費用が200万円、年間運営費が90万円だった場合、実質利回りは360万円−90万円=270万円を3200万円で割り約8.4%です。表面利回り12%に比べると下がりますが、こちらが現実に近い数字になります。

実は、金利変動もキャッシュフローを左右する大きな要素です。金利が1%上がるだけで、3000万円の30年ローンでは総返済額が約500万円増えます。変動金利を選ぶなら、上昇局面に備えて月2万円程度の返済増を想定したシミュレーションを行い、余剰資金を確保しておくと安心です。

空室リスクと地域選びの最新動向

まず、2025年10月時点の全国アパート空室率は21.2%で、前年から0.3ポイント改善しています(国土交通省住宅統計)。しかし地域間格差は大きく、三大都市圏の空室率は16%台、地方中小都市では30%前後に達するエリアもあります。数字の平均値だけで判断すると危険です。

一方で、地方でも大学や病院が集まるエリアは人口が安定し、賃貸需要も旺盛です。実際に筆者が所有する北陸の築15年アパートは、家賃を相場より5%下げる代わりに、宅配ボックスと無料インターネットを導入したことで稼働率97%を維持できています。設備投資が収益を底上げする好例と言えるでしょう。

また、新築と中古の選択も空室リスクに影響します。新築は初期稼働率が高く、減価償却メリットも得られますが価格が高いです。築古は購入価格が低い分、リフォームで差別化が必要になります。どちらを選ぶにせよ、将来の出口戦略を考え、売却時の価格下落までシミュレーションする姿勢が大切です。

2025年度の税制と融資環境のポイント

重要なのは、税制を理解し適切に活用することです。2025年度も不動産所得は総合課税で、家賃収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象になります。青色申告特別控除は電子申告なら65万円を維持しており、家族を専従者として給与を支払えば、所得分散による節税も可能です。

減価償却では、木造アパートの法定耐用年数は22年ですが、中古取得の場合は簡便法で耐用年数を短縮できます。例えば築20年の木造なら、残存耐用年数が2年となり、取得価格の半分を初年度に経費化できるため、初期の税負担を大きく抑えられます。ただし、2年後からは経費が減るため、長期の収支計画を作る際は注意が必要です。

融資環境については、金融庁の監督指針に基づき、各金融機関がストレステストを厳格化しています。自己資金2割を求めるケースが増え、返済比率(年間返済額÷家賃収入)は50%以内が目安です。融資を引き出すには、個人の信用力だけでなく、物件収支を第三者にも説明できる資料を用意することが成功の鍵となります。

まとめ

この記事では「アパート経営 本当に儲かるのか」という疑問に対し、収益構造、コスト管理、空室リスク、そして2025年度の税制と融資環境まで多角的に検証しました。結論として、正確な実質利回りの計算と将来のリスクシナリオを織り込んだ資金計画を立てれば、アパート経営は依然として魅力的な投資手段です。まずは気になる物件のキャッシュフローを試算し、自己資金や修繕積立の準備状況を確認するところから始めてみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省住宅局「住宅市場動向調査2025」 – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省統計局「人口推計(2025年10月)」 – https://www.stat.go.jp
  • 金融庁「金融行政方針2025」 – https://www.fsa.go.jp
  • 国税庁「令和7年度(2025年度)所得税法令集」 – https://www.nta.go.jp
  • 日本政策金融公庫「中小企業の資金調達動向2025」 – https://www.jfc.go.jp

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