不動産の税金

品川区 収益物件の魅力と2025年投資戦略

都心に近いのに落ち着いた住環境があり、さらに新幹線や羽田空港へのアクセスも良い品川区は、収益物件を探す投資家から熱い視線を浴びています。しかし「価格が高そう」「空室リスクはないのか」といった不安も尽きません。本記事では、実際に数字で裏づけされた需要の強さやエリア選定のコツ、キャッシュフローの組み立て方まで、初心者でも実践できる方法を丁寧に解説します。読み終えるころには、品川区での物件探しを進める具体的な指針が手に入るでしょう。

品川区が投資エリアとして注目される理由

品川区が投資エリアとして注目される理由のイメージ

まず押さえておきたいのは、交通と人口の安定が生む賃貸需要の強さです。JR山手線と京浜東北線が交わり、2027年リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅周辺は再開発が続きます。国土交通省の都市開発レポートによれば、品川駅港南口地区だけで延べ床面積約13万㎡の複合ビルが2026年に竣工予定です。こうした大型プロジェクトは長期的な雇用を生み、単身者向け賃貸ニーズを押し上げます。

一方で大井町や戸越銀座周辺には昔ながらの商店街が残り、家賃相場は品川駅近辺より平均15~20%低水準です。総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2025年版)では、品川区の転入超過数は23区内で4位を維持し、特に20~34歳が全体の53%を占めます。つまり、単身からDINKsまで幅広い層が区内に流入し続けているのです。

加えて、区内小学校の通学距離基準が短く設定されているため、子育て世帯が生活利便性を求めて転居するケースも増えています。人口ピラミッドが若いまま維持されれば、空室リスクは相対的に低下します。

最後に、品川区は固定資産税の標準税率が1.4%と全国平均並みであり、家賃水準を考えると税負担比率は低めです。都心6区と比較しても、表面利回りは平均3.9%とやや高く、実質利回りの改善余地も残されています。

エリア別に見る賃貸需要の温度差

エリア別に見る賃貸需要の温度差のイメージ

ポイントは、同じ品川区でも駅徒歩と用途地域で収益性が大きく変わる点です。たとえば高輪台や五反田の第一種住居地域は開発規制が厳しく、供給が抑えられることで家賃維持力が高まります。東京都都市整備局の空室率データ(2025年9月)では、このエリアのワンルーム空室率が2.1%と23区平均3.4%を下回ります。

一方、大井競馬場や京急本線立会川駅周辺は準工業地域が多く、築古アパートがまだ残っています。物件価格は割安ですが、夜間騒音や環境面で敬遠される借り手もおり、空室率は4%台まで上昇します。それでも、賃料を周辺相場の1割下げれば稼働率を改善できる余地があります。

また、品川シーサイドや天王洲アイルは、IT企業の進出でオフィス需要が高まり、2024年から2025年にかけて転入した外国籍労働者が区全体で8,700人増えました(品川区統計書)。家具付き賃貸やSOHO可の物件に人気が集中する傾向があり、利回り5%超の事例も散見されます。

要するに、駅徒歩・用途地域・ターゲット層を組み合わせて需給を読むことで、購入価格が高めでもリスクを抑えた運用が期待できます。

成功する物件選びのポイントと落とし穴

重要なのは、表面利回りだけで決めないことです。例えば築20年・表面利回り4.5%のワンルームを選ぶ場合、設備更新費が年間家賃収入の10%超に達する可能性があります。管理会社の修繕履歴を確認し、直近5年で給排水管やエレベーターの更新が済んでいるかを確かめると、思わぬ出費を防げます。

次に、管理コストのチェックです。品川区の管理委託料相場は家賃の3~5%ですが、インターネット無料やスマートロック導入を含むプランでは7%程度に上がります。家賃単価が高いエリアほど管理料の絶対額も増えるため、費用対効果を試算することが欠かせません。

さらに、品川区では2025年度も「中高層建築物の事前協議制度」が継続しており、建物高さが20mを超える場合は近隣説明が義務付けられます。土地から新築を検討する場合、スケジュールが長期化し利回り低下を招く恐れがあります。中古区分マンションや小規模一棟RCであれば、このリスクを回避しやすいでしょう。

落とし穴として見逃しがちなのが、周辺再開発による一時的な家賃競争です。例えば、品川駅東口の大型タワマン竣工時には、既存築浅マンションが2割前後の賃料値下げキャンペーンを実施しました。買付前に近隣の建築計画を区役所で確認し、完成時期と重なる空室を想定しておくことが大切です。

キャッシュフロー計算の基礎と品川区の相場感

まず押さえておきたいのは、実質利回りを手取りベースで把握することです。家賃収入から管理費、修繕積立金、空室損、固定資産税を差し引き、さらに金利1.5%・期間30年の返済を加えると、区分マンションの場合は手取り率が家賃の40%前後に落ち着きます。

三田駅徒歩圏の築15年1K(販売価格2,800万円)のケースで試算すると、年収入120万円、年間経費42万円、ローン返済66万円となり、純収益は約12万円です。利回り換算で0.4%に見えますが、減価償却による非課税効果が年間70万円見込めるため、課税所得が下がることで実質手取りは増えます。

一方、一棟木造アパート(総額1億2,000万円・表面利回り6.1%)を想定すると、融資は金利2.2%・期間25年が現実的です。家賃収入732万円、経費215万円、返済594万円でキャッシュフローはマイナス77万円となります。しかし、土地比率60%、建物耐用年数22年で計算すると、初年度の減価償却費は300万円超です。所得税・住民税の節税に回すことで赤字幅を吸収し、3年目以降に黒字転換するシナリオも描けます。

つまり、品川区ではキャッシュフローが薄くても、税引後ベースでの実質収益や売却益まで視野に入れた総合判断が不可欠です。

2025年度の税制・融資動向を踏まえた戦略

実は、2025年度税制改正で不動産所得の損益通算ルールは大きく変わりませんでした。よって、現行の減価償却メリットは維持されます。ただし、金融庁の「モニタリング方針2025」により、住宅ローンを投資目的に転用する行為への監視が強化され、違反時は一括返済を求められるリスクがあります。健全な投資計画を立てることが最優先です。

融資面では、日本政策金融公庫の「生活衛生貸付」が2025年度も継続し、旅館業ライセンス取得予定の簡易宿所向けには年1.3%程度の低利融資が利用可能です。品川区は羽田空港からのアクセスが強みで、民泊運用でキャッシュフローを厚くする手法も検討できます。ただし、区条例で最低営業日数が年間180日以下に制限されているため、長期賃貸とのハイブリッド運営が現実的でしょう。

また、住宅用地の固定資産税が新築から3年間半額となる措置は2025年度も継続します。木造アパート新築を検討している場合、引き渡し時期を年度内に合わせると初期費用を圧縮できます。さらに、国土交通省が2025年4月に開始した「既存住宅のインスペクション情報活用推進事業」では、第三者検査済み物件の瑕疵保険料が40%補助されます。中古物件の流動性が高まるため、出口戦略で有利に働く可能性があります。

要するに、税制優遇と低利資金を組み合わせ、短期のキャッシュフローと長期の資産価値上昇を両立させることが、2025年時点の最適解と言えるでしょう。

まとめ

ここまで品川区で収益物件を選ぶ際の視点を確認してきました。交通利便性と人口流入が家賃市場を底支えし、エリアと用途地域を読み解くことで安定した賃貸経営が可能になります。大規模再開発や税制優遇を味方につければ、キャッシュフローが薄い物件でも総合収益を高められます。まずは希望エリアの空室率と将来の建築計画を調べ、融資条件と減価償却をシミュレーションしてみましょう。早めに行動することで、2025年の市場変動を味方に付けるチャンスが広がります。

参考文献・出典

  • 国土交通省 都市再生プロジェクト情報 – https://www.mlit.go.jp/
  • 東京都都市整備局 住宅市場動向調査 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/
  • 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp/
  • 品川区公式ホームページ 統計書 – https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/
  • 金融庁 モニタリング方針2025 – https://www.fsa.go.jp/

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